《木下黄太のブログ 「福島第一原発を考えます」》から
 無頭蓋症で人工死産、癒着胎盤で子宮全摘出、仙台30代の女性。
   身近でも、重度障害の中絶と脳障害児出産。


 いろんなことが起こっている中で、本当につらいメールが飛び込んできます。よく、ご本人が、被曝懸念も含め、これだけ踏み込んで記載されていると思いました。さらに、直接、一定時間お話を致しました。まず、彼女のメールからお読みください。

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 突然のメール、失礼いたします。
 私は、現在宮城県仙台市に住んでいる30代前半の母親です。
 2012年8月に第2子妊娠が分かりましたが、その子が『無頭蓋症』と診断され、妊娠18週で人工死産という結果に終わりました。
 そして、これだけではなく、重度の癒着胎盤により、今年1月に子宮全摘出をしました。


 私は、原発事故があった当時、東京都足立区東和に住んでおりました。
 一番放射線量が高かったと言われる2011年3月15日あたりも、危険だと言われる3月21日あたりの雨の時もまだ1歳になったばかりの息子と外出しておりました。
 2011年4月から仙台にきております。
 私は、原発事故の直後も危ないと言われていた関東産の野菜を食べていましたし、水道水も、報道されるまでは浄水器を通してですが飲んでおりました。
 その後、出来るだけ産地を選んで食事をとるようにしておりました。

 原発事故から1年半後に妊娠した訳ですが、私の周りでは脳に障害を持って産まれた赤ちゃんや、胎盤に異常が見られて障害ができた赤ちゃんの報告が少なくとも3~4件ありました。
 私の赤ちゃんに起きてしまった、『無頭蓋症』も、原因とされる『喫煙』『葉酸不足』は考えられず、(私自身も、夫も喫煙しません。葉酸は妊娠前からサプリメントでとっておりました。)原発事故が関係しているのではないかと思っております。

 そして、子宮に溜まる放射性物質もあると聞き、私の子宮がなくなってしまったのも、何か関係しているのでは?と思ってしまいます。
 長文になってしまいましたが、私の体験談でした。

 失礼いたします。
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 彼女は、三十代前半でも、まだ若く、体にはもともと不安な要素はなかったそうです。
 親族などで大震災の津波影響などがあったこともかなり影響していて、事故当初は原発のことなど、ほぼ気にかけていなかったそうです。
 そして四月末には、予定していた仙台に住むことになり、一定程度は食生活を気をつけていたそうですが、親族の付き合いや周りとの関係などで、完全に防御はできていなかっただろうと、話してくれました。

 「しかし、自分が妊娠して、このようなことになって、はじめて衝撃を受けた部分があります。」

 「足立区でも汚染の強い場所にいたし、仙台でも自分のエリアは、線量が高くて除染された場所があります。そういうところを歩いていました。よくなかったかもしれない。」

 「木下さんに連絡することも、かなり葛藤があって、自分の気持ちが落ち着くまでに時間がかかりました。」

 「喫煙もしていないし、葉酸も摂っていて、母や祖母などからも、何もそういう話も聞いていない。だから、放射能を疑ってしまう。」

 「最後は、東北大学病院で、子宮の全摘出をしました。年間2000組の母子を見るらしいですが、子宮全摘出になるのは、年に1人位だったそうです。でも、それが最近増えているんだよね、そう医師に言われました。私は、被曝の影響ではないんですか、と言いました。それを、いやそんなことはないよ、こう返されるんですが、私にはそうは思えなかったです。だって、最近増える要因がわからない。」

 「私の友人が、私を含めて、去年四人妊娠しました。みな仙台。うち一人が、30代なかば位の女性ですが、去年八月に産まれたんですが、重い脳障害があったそうです。友達四人で、半分の確率は多すぎます。」

 「友達の友達からは、やはり仙台で、去年、重度障害があって中絶した方もいます。最近も、胎盤の血管障害が判明した方の話も聞きました。」

 「今の子どもをどうやって守るべきか、それを考えています。」

 僕はご本人に、仙台で血液検査や甲状腺エコーに対応する病院をお伝えすることしかできませんでした。
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 健康被害と思われる症状が、更に深刻化しています。報告、相談はまずメールください。nagaikenji20070927@yahoo.co.jp

 事故発生当時の行動記録や数値データなどを細かく教えてください。問い合わせの内容も書いてください。健康被害の状態を皆で共有化し、事態の推移をあきらかにしていく作業が最も必要です。

 「関東・南東北の被曝エリア(東京全域を含む大半のエリア)にいる皆さんは、放射性物質の少ないエリア、できれば愛知県から西のエリアに、移住するべきです。妊婦、子供、未成年、妊娠可能な女性は優先して移住すべきです。被曝から2年半が経過しています。初期被曝は深刻で、慢性被曝の影響がさらに危険です。食物、飲料のみならず、吸気による被曝は危険です。回避する方法は限定的です。あなたやあなたの家族の命が何よりも大切です。早く移住してください。」

 甲状腺の検査、甲状腺のエコー検査、さらにふつうの血液検査のうち、血液像の検査(白血球、特に好中球)や異型リンパ球の確認、大人の女性はサイログロブリンの数値も確認した方が良いと思います。

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 さて、次も酷い話ですし、これは、刑事事件になると思います。

 滋賀県高島市の鴨川河川敷に、管理用通路上に、放射性物質に汚染されている木材チップが敷設され、鴨川の左岸琵琶湖流入付近の河川敷および隣接の民有地で土のうの中に木材チップが放置されている事案がおきています。

 1.河川管理用通路および民有地上に、木材チップを敷設(V=500立方メートル、W=3.5mL=570mt=2030cm程度)。
 2.河川敷および民有地に木材チップが入った大型土のう袋77袋(河川敷39袋、民有地38袋)が放置。

 木材チップを敷設した、管理用通路直上では1メートルの高さで、シンチレーションサーベイメーターで計測して、0.0980.41μSv/hの空間線量となっていて、平均値は0.24μSv/hですが。0.41μSv/hはあきらかに高い数値です。ありえません。

 敷設されたチップのうち、含水しているので、低く出ていますが、県の発表で、黒色のものに限ると、2200Bq/kg2700Bq/kg。土嚢内のチップは、2900Bq/kg3000Bq/kgになります。

 おそらく、これはサンプリングのやり方で、低く出ている可能性が高いし、含水率から考えて、実際は2倍から3倍の数値の可能性もあります。10,000Bq/kg程度になってもおかしくない。そうすると1メートルの高さでシンチレーション計測で考えても、0.4μSv/h程度の数値が出ても、納得できます。

 これは、放射性物質の不法投棄、不法敷設話としても、かなり異常な話です。しかも問題なのは、最初に通報があってから、今月初めまで、4ヶ月、県の適切な対応が為されていたかどうかが、大変に不透明です。というか、実質何もせずに放置したのは明らかだと思います。県の説明資料などから、確認してもおかしいです。

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 H25425日住民から高島土木事務所に対し、木材チップは放射性物質による汚染があるのではないかとの調査要望があった。

 (略)
 9.14 高島土木事務所が木材チップの飛散防止措置に着手した。(作業完了は919日の見込み。)

http://www.pref.shiga.lg.jp/h/kako/gyousei/files/02besshi1.pdf

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  最初に空間線量を確認しただけで、それも適当なやり方でおそらくは、ごまかしていて、きちんとやっていなかった話が、後でこんな結果になったのが、火を見るよりもあきらかな話です。きちんと放射能測定をしていません。Bq/kgで。

 民有地にも置かれているところから、これを置いた人間たちがだれかは、多分すぐにわかる話で、担当者が急ぎ対応すれば早期に解決した話です。
 通報までにも、すでに置かれていた可能性がありますから。数百メートル近隣には、琵琶湖の遊泳場やキャンプ場があります。
 本来は、夏までに決着させる話です。こうした場所に、放射性物資を含んだ木材チップが、大量に放置され、敷設されたのを、長期間、滋賀県が放置していることとなります。
 とにかく、放射性物質の、琵琶湖や河川への流失危険がありますから、速やかに敷設した木材チップを外して密閉し、大量の土嚢とともに、元の場所に戻すしかありません。
 おそらく、これだけ高濃度に汚染された大量の木材チップは福島からとしか考えられません。

 琵琶湖の水源を適切に守る自覚を、いったい滋賀県はもっているのか、それを疑う事案処理です。
 この馬鹿げた敷設や放置した人間は刑事罰にすべきだし、機能しなかった滋賀県にも厳しく申し入れる話です。放置すると、こういうことが、常態化する危険があります。

 (略)
 
最低の話といえば、箕面市が、福島県で開催される「ゆるキャライベント」に小学生を今週末に派遣しようとする問題です。
 本日、箕面市側と折衝した、地元のお母さんから、怒りのメールが届きました。内情が分かりやすいのでご一読下さい。

 (略)
 こちらの背景をお話ししておきますと、箕面市は観光地ですばらしい環境が残っています。高所得者の多く住む町で、(大阪府内では珍しく)財政は潤っていると聞きます。しかしながら、土着の土地持ちの跡取りたちが、暇とお金を持て余し、市議に多くなっているような、ど田舎的な状況があったりします。

 そこに、「東京もん」の「学のある」若い市長が入った格好です。(こういうところでは、いろんな面白いことがおこりがちです。)ゆずるくんは、ただのキャラクターだけでなく、地域の物産振興の役割も担っています。内々で一生懸命いろんなことをして、近畿1位の人気の座を獲得したとの噂ですが、ゆずるくんを押し上げたい市長の意向と、今回の福島でのゆるキャライベントが渡りに船だったようです。
 
( 略 )
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『木下黄太のブログ 「福島第一原発を考えます」』(2013-09-19
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/22451cb55ec8fee43ea872e821d069cc