◆ 「ついに出ました」 弁護士も続々ツイートした
   「婚外子訴訟」違憲決定
(弁護士ドットコム)


 「最高裁が違憲判断」というニュースが流れると、多くの弁護士がツイッター上で言及した
 明治時代から続いてきた、非嫡出子(婚外子)の相続格差に関する民法の規定に「憲法違反」の判定が下された。民法900条4号では、結婚をしていない男女の間に生まれた子(非嫡出子)の相続分は、法律上の夫婦の間に生まれた子(嫡出子)の半分としている。しかし、最高裁判所大法廷は9月4日、「法の下の平等を定めた憲法に違反しており、無効」との判断を初めて示した。

※ 平成25年9月4日 大法廷決定(PDFファイル) - 主文と理由。最高裁判所

 最高裁の違憲決定を受け、国会は民法の改正を迫られる。
 今回のように、法律について最高裁が違憲と判断するのは、これまでで9例目


 違憲審査制度ができて65年以上たつが、その歴史のなかでも最高裁の違憲判決・決定はめったにないことだ。「最高裁が違憲判断」という貴重なニュースにツイッターで言及する弁護士も多かった。

 ● 「違憲判決が遅すぎた」

 「ついに出ました。婚外子の相続格差の違憲判決。学生時代に授業でやったことがついに現実となった」とツイートしたのは、渡辺輝人弁護士(?@nabeteru1Q78)。「ついに」という言葉を2回も使っていることから、待望感が伝わってくる。

 同じようなニュアンスで、菅野朋子弁護士(?@kanno_tomoko)は「ようやくですね。反対派の『法律婚の尊重』は、ちょっと視点がずれていると思います」とつぶやいている。

 さらに強い言葉を使っているのは、谷山智光弁護士(?@taniyama)だ。「違憲判決が遅すぎた。生まれてきた子にはどうすることもできない事情による差別でしたからね」。

 最高裁決定の直前に弁護士ドットコムが実施したアンケートでは、回答した43人のうち95%にあたる41人が「違憲」を支持する姿勢を表明していた。弁護士のあいだでは、「民法900条4号は違憲」というのは共通の見解といってもよい情勢だったようだ。
 ツイッターでも、最高裁が違憲と判断したことを当然と受け止める空気が強かった。

 ● 「婚外子差別を擁護していた政治家は猛省を」

 今回の最高裁決定を受けて、国会は民法改正を迫られることになるが、最高裁に「ノー」を突きつけられるまで放置してきたのは問題だともいえそうだ。
 たとえば、山口貴士弁護士(?@otakulawyer)は「当然の結論です。これまで、国会において、婚外子差別を擁護していた政治家は猛省を」とツイートしている。

 また法改正について、実務的な問題を指摘している弁護士もいる。
 高井重憲弁護士?(@takailaw)は 「非嫡出子の相続分の規定が違憲にされたけど、早く法改正してくれないと今関係する事件は手続き進めようがなくて困るよね。尊属殺のときは検察が事実上起訴しなかったから問題にならなかったらしいけど」と、早期の民法改正の必要性を訴えている。

 法律の改正は国会議員の仕事だ。
 弁護士資格をもつ国会議員の一人、社民党の福島瑞穂参院議員(@mizuhofukushima)は「最高裁は、全員一致で民法の規定は憲法違反だと婚外子差別について決定。全員一致も違憲決定も本当に嬉しい。これから民法改正について頑張ります!」と、ツイッターで決意表明していた。

 ● 最高裁の決定文はネットで読むことができる

 野党議員だけではない。同じく弁護士出身で、与党・自民党の柴山昌彦衆院議員(@shiba_masa)は次のようにツイートしている。「最高裁の婚外子差別違憲判決。頭に浮かんだのがかつての尊属殺重罰違憲判決だ。かつての日本の価値観は変わった。一方でかつての常識から考えられない不適切映像の投稿はじめあちこちで見られるモラルの低下。外国での実態も含め、これから社会のあり方を真剣に考えねば」。

 なお、今回の最高裁大法廷の決定文は、最高裁のウェブサイトにアップされていて、誰でも読むことができる。そのことを何人かの弁護士がツイッターで、すかさず告知していたが、中村元弥弁護士(@1961kumachin)もその一人だ。
 「話題の大法廷決定がもうアップされている。こういうときは仕事が早い最高裁。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130904154932.pdf

 最高裁の「違憲判断」がどのように説明されているのか、決定文を直接読んでみて、そのロジックを確かめてみるのもよいだろう。

『弁護士ドットコム - Yahoo!ニュース』(2013年9月4日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130904-00000738-bengocom-soci 
 
パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2 
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言論・表現の自由を守る会 2013年7月11日
婚外子相続差別は自由権規約違反!
 
婚外子差別は、自由権規約第2条1項、24条、26条違反!
最高裁は、
自由権規約委員会第5回日本政府報告書審査における
勧告に従って直ちに大法廷に回付し、
出生届に子どもが「嫡出」か、否かの記入を規定している
戸籍法第49条1項の1と同様、
国籍法第3条と民法900条4項を含む、
婚外子に対するいかなる差別条項の法律を撤廃せよ!
 
 言論・表現の自由を守る会 2013年7月11日
 
 
 自由権規約委員会第5回日本政府報告書審査 勧告 2008年10月30日
 
 パラグラフ28.委員会(自由権規約委員会)は、婚外子が国籍取得や遺産相続権、
         そして出生 登録に関して差 別を受けていることに繰り返し懸念を表する。
          (第2条1項、24条、26条)

  締約国(日本政府)は、出生届に子どもが「嫡出」か、否かの記入を規定している戸籍法第49  条1項の1と同様、国籍法第3条と民法900条4項を含む、婚外子に対するいかなる差別条項の 法律を撤廃すべきである。
 
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 婚外子相続差別は違憲 最高裁大法廷
 結婚していない男女間に生まれた婚外子の相続分を、法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定の合憲性が争われた2件の遺産分割審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は4日、規定は違憲と判断し、二審の判断を破棄して審理を各高裁に差し戻す決定をした。大法廷の裁判官14人全員一致の判断。
 
 最高裁が法律の規定を違憲と判断したのは戦後9件目。決定を受け、国会は民法の改正を迫られる。
 今回争われたのは、東京都と和歌山県の男性の遺産分割事案。2人には法律婚の妻と内縁関係の女性との間にそれぞれ子供がおり、いずれも2001年に死亡したことで子供らに相続権が発生した。
 特別抗告審で婚外子側は「家族や結婚に関する価値観が変化し、国連からも相続の平等化を再三求められてきた規定の存在意義は既に失われており、無効と判断すべきだ」と主張。嫡出子側は「規定は法律婚を尊重しつつ、一定の相続分を認めることで婚外子にも配慮したもので、合理性がある」と反論した。
 一審の東京、和歌山両家裁は嫡出子側の主張を認め、「規定は合憲」と判断。二審の東京、大阪両高裁も支持していた。
 
 
  婚外子相続差別は「違憲」 最高裁決定、民改正へ  結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定を巡る裁判で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は4日、規定は法の下の平等を定めた憲法に違反し無効だとする決定をした。裁判官14人全員一致の判断で、規定を合憲とした1995年の判例を見直した。
 
 判例変更に伴う混乱を防ぐため、違憲判断は決着済みの遺産分割には影響しないとする異例の言及をした。
 菅義偉官房長官は4日の記者会見で「最高裁の判断は厳粛に受け止める必要がある」と発言。政府は早ければ秋の臨時国会への民法改正案の提出を目指す。
 決定が出たのは、2001年7月に死亡した東京都の男性と同年11月に死亡した和歌山県の男性の遺産分割審判の特別抗告審。いずれも法律婚の妻と内縁関係の女性との間にそれぞれ子供をもうけていた。
 大法廷は決定理由で、日本社会に法律婚制度が定着していることを認めながらも、家族の形態は多様化していると指摘。「父母が婚姻関係になかったという、子にとって選択の余地がない理由で不利益を及ぼすことは許されないという考えが確立されている」とした。
 「規定の合理的根拠は失われている」とし、今回の事案が発生した01年7月には違憲だったと判断。合憲とした二審の判断を破棄して審理を高裁に差し戻した。
 最高裁の裁判官15人のうち、寺田逸郎裁判官(裁判官出身)は法務省在職当時の公務との関係を理由に審理から外れた。