兵庫県弁護士会主催・日本弁護士連合会共催 取調べの可視化市民集会 弁護人の立場から見た「虚偽自白と冤罪事件」~「再審・東住吉放火殺人事件」の真実~

兵庫県弁護士会では、取調べの全過程の録画の導入を含む刑事訴訟法改正の一刻も早い実現を目指して、国会や地方議会への働きかけ等、様々な活動を行ってまいりました。
このたび、後藤貞人弁護士(大阪弁護士会所属)、乘井弥生弁護士(同)を招き、取調べの可視化の必要性について考え、実現を訴える集会を開催します。
刑事弁護人として多数の無罪判決を勝ち取ってこられた後藤弁護士には、えん罪事件と虚偽自白の関係について、また「東住吉放火殺人事件」の中心的弁護人である乘井弁護士には、虚偽自白が悲惨な冤罪事件につながったケースについて、それぞれ語っていただきます。
多数の皆様の御参加をお待ちしています。
 
2013年8月3日(土)13時~15時30分(12時30分開場予定)
兵庫県弁護士会館4階講堂
兵庫県神戸市中央区橘通1-4-3
 JR「神戸」駅下車徒歩8分  神戸高速鉄道「高速神戸」駅下車徒歩7分
無料(事前申込不要。当日先着180人)
どなたでも御参加できます。
 
内容 1 取調べの可視化についての現状報告
    2 講 演  後藤 貞人 弁護士
           乘井 弥生 弁護士 
 
主催:兵庫県弁護士連合会
共催:日本弁護士連合会
 
問い合わせ先:兵庫県弁護士会 TEL 078-341-7061
 
 
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拷問等禁止条約第3回日本政府報告書審査 公式ミーティング発言原稿
 
 ”シャラップ上田”発言のあった拷問等禁止条約第3回日本政府報告書審査に先立ち、
拷問禁止委員会委員が参加して開かれた公式ミーティングで、
日本の市民とNGOが日本の刑事司法の問題について、
日本における拷問の事実を訴えました。
 
No to cancellation of suspension of execution of the sentence
after the decision of retrial
 
 
再審決定後の刑の執行停止取り消しは二重の拷問だ
2013年5月17日
 
国民救援会岸和田支部・中村千恵子・伸郎
 
 201353日に大分刑務所に収監されている朴 龍晧(たつひろ)さんから手紙が届きました。
 手紙には20123月再審決定が大阪地裁で出たあと、刑の執行停止命令も出され、刑務所を出ようとしている時に、検察が即時抗告を申し立て、執行停止が取り消されてしまいました。その後の苦悩が書かれていました。取り消されてから、1年2カ月もたっているのです。
 
経過
 
彼は、19957月に起きた火災の件で事件の50日後に逮捕されました。保険金目当ての放火殺人の罪で一緒に住んでいた青木惠子さんと共に無期懲役の刑が確定しました。この事件は物的証拠がなく、自白のみによって有罪とされました。
再審請求の結果、20123月に大阪地裁が再審を決定。弁護団が行った火災実験から、「自白通りの実行は困難、自白の信用性に疑問がある」としました。再審は検察が即時抗告し今高裁で3者協議がされています。刑の執行停止も認められましたが、検察が抗告したため、大阪高裁は刑の執行停止を取り消し最高裁も追認しました。正にこれから刑務所を出ようとした時、取り消されたのです。
逮捕されてから今日まですでに178カ月の歳月が経っているのです。
 
事件の概要
1、自宅で火災が起きお風呂に入っていた惠子さんの娘が死亡した事件です。
 
過酷な警察の取り調べによって、朴さんはうその自白をしました。その内容は「車から抜き取った7ℓのガソリンを車庫にまき、ターボライターで火をつけ、火災を起こしお風呂に入っていた娘さんを保険金目当てに殺害した」というものです。自白以外に証拠はなく、最高裁段階で、「車のガソリンがもれ風呂の種火に引火して起きた火災だ」と新証拠が出されていたのですが、棄却され無期懲役の刑が確定したのです。
2、大阪地裁の再審決定は弁護団が、検察立ち会いの元に行った火災実験で、ガソリンをまき終わらないうちに、風呂の種火に気化したガソリンが引火して、一気に火災が発生しました。朴さんが火をつける前に火事が起きることがわかりました。唯一の証拠の自白が疑わしくなったのです。この実験の結果により、再審決定になったものです。(事件の詳細、裁判の流れ等については資料を添付します)
 
朴さんからの手紙には次のように書かれていました。
 
(前略)執行停止取り消し事件以降は、それ以前と同じ心境ではいられなくなりました。(中略)落ちついて冷静に現状を分析しています。しかしそのために心のバランスを保たないといけないのですが、それに精神的なエネルギーを以前よりも使うようになりました。再審開始決定の取り消しという事態を招きはしないかと考えることが多くなりました。(中略)一度は釈放寸前の状態になりながらも急に取り消されてしまっただけに、どのように心を整理していけばいいのかと悩まされます。ボディーブローのように、じわじわと疲れが心に溜まって行くような感じです。(後略)」
 
 これを読んで、私たちは非常に気の毒に思いました。獄中にいない私たちなどいろんなことがあり1年はあっという間に経ってしまいます。でも刑務所の中に繋がれ、決まった繰り返しの生活を強いられている朴さんにとってはどんなに長いことでしょう。朴さんの気持ちを考えるとこれはまさに拷問ではないかと思えます。和歌山刑務所にとらわれている青木惠子さんも同じではないかと思います。
 
 二人は無実の罪で獄中に繋がれ、そして再審決定が出たのに、身柄は拘束されたままの状態です。
2重に拷問を受けているようなものです。
この苦しみから、朴龍晧さんと青木惠子さんを救済して下さい。