【柔道】全柔連から3度も反論文 第三者委あきれた
全日本柔道連盟(全柔連)の助成金不正徴収、不正受給問題を調査した第三者委員会(委員長・山内貴博弁護士)が21日、最終報告書を全柔連に提出した。4月26日に中間報告書を提出した第三者委員会は、全柔連から「要望書」という形で反論文を送られたと明かし、組織ガバナンス(統治)の欠如を指摘。上村春樹会長(62)の責任も明記された。また、日本スポーツ振興センター(JSC)からの助成金は、63人の指導者のうち27人が受給資格がなかったと認定。6年間で総額3620万円の不正受給が明らかになった。
会見に出席した山内委員長は苦笑いを浮かべた。全柔連が3回にわたって提出した要望書について、「一部幹部の考えで理事会の決議も経ずに、このような文書が来ること自体、全柔連で全くガバナンスが効いていないということ」と話した。
1通目の要望書は5月14日付で、全柔連の事務局員が上村会長らに上申書という形で提出した文書を、小野沢弘史専務理事名で第三者委員会に送付した。2通目は村上清事務局長名で5月28日付で上申書を書き改めたもの。6月4日付の3通目は上村会長名で、前2通の要望書を添付したものを送付した。
内容はいずれも、組織としての順法精神の欠如などを指摘した中間報告書(4月26日)に対する「事実上の反論文」(第三者委員会)だった。「全柔連としてのガバナンスの問題はほとんど介在していない」、「中間報告の内容は、まるで検事の見立て捜査による取り調べ結果のようなもの」などの文章を列挙。上村会長は「私が目を通して提出した文書」と認めた。
調査を目的に自ら組織した第三者委員会へ、理由を明かすことなく反論したことは、極めて異例といっていい。「世間の常識とのズレが根っこにある」と望月委員は指摘。文書の公表は、全柔連側からの依頼だと明かした山内委員長は「この内容を公表するのですか、と聞いたのですが…」と再び苦笑した。
この日の最終報告書では、上村会長の当事者としての責任も明記された。強化留保金制度の問題で、最も重い責任を負うのは吉村和郎前強化委員長としたが、「強化留保金を管理、運営してきた歴代の強化委員会幹部として藤田氏(副会長)、上村氏、吉村氏が責任を負うべきである」と指摘。〈1〉強化委員長時代から強化留保金の実務が行われていた
〈2〉吉村氏を強化委員長に任命した
〈3〉現状の把握、是正できなかったとして、「上村氏にも、本件の責任があると言わざるを得ない」と結論づけられた。
組織改革を推進するため、上村会長は11日に続投を宣言。山内委員長は「全柔連には最終報告を真摯(しんし)に受け止めて、適切に対応してもらいたい。改善する最後のチャンス」と話した。さらに上村会長の責任の取り方にも「今の対応でいいのか。考えていただきたい」とした。
上村会長は「最終報告の内容を十分精査、分析し、24日の臨時理事会で十分に議論する。臨時理事会後に会見を開いて、理事会の判断を踏まえた見解を明らかにしたい」とした。
2013年6月22日06時02分 スポーツ報知