毎日新聞 2013年04月04日 21時49分(最終更新 04月05日 01時16分)
【上海・隅俊之】中国でH7N9型の鳥インフルエンザの感染が相次いでいる問題で、上海市政府は4日、4人が新たに感染し、このうちニワトリなどの運送業をしていた48歳男性ら2人が死亡したと発表した。浙江(せっこう)省政府も同日、同省湖州(こしゅう)市の農業の64歳男性が感染し、治療中と発表した。感染者は計14人、死者は5人となった。
上海市によると、新たに感染した52歳女性の接触者31人のうち1人に発熱などの症状が出たため、4日夜から市の衛生臨床センターに隔離した。感染しているかは不明だが、52歳女性から感染している可能性もあり、市当局は慎重に調べている。ヒトからヒトへの感染が確認されれば、深刻な事態を迎えることになる。
感染した14人と接触した人は500人以上いる。ウイルスの潜伏期間は7日程度とされ、中国疾病対策予防センターの幹部は「(03年の)新型肺炎SARSのように感染が広がる可能性は低い」との見方を示していた。
一方、上海市の衛生当局は感染を発表する前の4日早朝から、48歳の男性に感染の疑いがあり検査中だと発表。他にも3人に感染の疑いがあると明らかにしていた。確認前の公表は異例。国家衛生・計画出産委員会は感染情報の公開を徹底するよう求める通達を出しており、デマなどが拡散して社会が混乱するのを避けるための措置だとみられる。
48歳の男性は上海市に近い江蘇省如皋(じょこう)市出身。入院していた上海市普陀(ふだ)区で4月3日に死亡した。インターネット上では「普陀区に感染した患者がいる」との情報が流れていた。
中国当局は感染の確認例は発表していたが、疑い例が何件あるのか公表してこず、全体像が見えなかった。ネット上では「病院で原因不明の肺炎で5人が死んだ」といった未確認情報も飛び交っており、事前公表は市民の不安を払拭(ふっしょく)する狙いもあるとみられる。