増え続ける汚染水 溶融燃料手つかず
東京電力は1日、福島第1原発事故発生から2年を前に廃炉に向けた作業現場の状況を報道陣に公開した。放射性物質を含む汚染水は増え続け、敷地内には貯蔵タンクが立ち並ぶ。溶けた燃料をどうやって取り出すかはまだ検討段階で、長期的取り組みを着実に進められるかが課題だ。
http://www.imart.co.jp/3.2-4gouki%20(3).jpg
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11月には4号機の原子炉建屋上部にある使用済み核燃料プールから1533体の燃料の搬出を始める予定で、クレーンを備えた新たな設備の建設が建屋のそばで進む。
4号機の燃料は別棟の共用プールに移送される。共用プールには容量の約93%に当たる6377体の燃料が入っている。東電は十分に冷却された共用プール内の燃料の一部を、乾式キャスクという容器に入れて別の場所にある仮保管設備に移し、4号機の燃料を収容するスペースを確保する。仮保管設備には既にキャスクが届き始めている。
一方、保管中の汚染水は26万立方メートル。貯蔵容量はあと6万立方メートルしかない。東電は2015年までに70万立方メートル分のタンクが必要になるとして、今後増設を進める。
第1原発の高橋毅(たかはし・たけし)所長は「溶けた燃料の場所の確認、取り出しはいつになるか分からない。米スリーマイルアイランド原発では10年かかった。それより厳しい状態で、10年以上かかると思う」と話した。
---共同通信(25.3.4)
---共同通信(25.3.4)
増え続ける汚染水、福島第1原発/事故2年、溶融燃料手つかず
【主要】 2013年03月01日(金)
http://www.ehime-np.co.jp/news/kyodo/20130301/img258801.jpg
【写真】 福島第1原発敷地内の汚染水を貯蔵する大型タンク=1日午後、福島県大熊町(代表撮影)
愛媛新聞 2013年03月01日(金)
福島第1原発 汚染水「背水」の処理 タンク増設もう限界
2013年03月02日土曜日河北新報
原発敷地内には、原子炉建屋内に流れ込む放射能汚染水をためる貯蔵タンクが並ぶ。汚染水の行き先がないまま増え続けている。(写真は代表撮影)
東京電力は1日、福島第1原発を報道機関に公開した。原子炉建屋内の放射能汚染水を取り除いてためる貯蔵エリアが初めてオープンにされた。汚染水処理は廃炉作業の目下の最大の懸案で、貯蔵容量の限界が迫る中、タンクの増設でしのぐ背水の処理が続く。(福島総局・若林雅人)
巨大なタンク群が目の前に現れる。通称「セントン」。放射能汚染水を1個約1000トン貯蔵している。
1~4号機の建屋内には事故直後に溶けた燃料を冷やした大量の水に加え、1日約400トンの地下水が流れ込む。稼働中の淡水化装置では放射性セシウム以外は除去できず、処理後も完全浄化まで貯蔵を強いられる。
貯蔵量は現時点で26万トンで、飽和量の約32万トンに迫る。東電は2014年前半までに約8万トンのタンクを増設し、敷地を造成して15年度までに計70万トンの容量を確保する計画だ。タンクは既に敷地を埋め尽くすように並び、用地に余裕があるようには見えない。
高橋毅所長も「地盤調査の必要があり、70万トンを現時点で確保できるとは言えない」と認める。
62の放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)も公開された。1日約500トンの処理能力があり、汚染水浄化の切り札と言われる。
12年秋に稼働を始める予定だったが、廃棄物保管容器の強度不足が判明し、今も稼働に至っていない。完成した設備に人影はなく、荒涼とした雰囲気が漂っていた。
ALPSは処理水がいったん敷地内に保管される。東電は処理水を最終的に海へ放出する考えだが、漁業関係者が反発し、最終処理の見通しは立っていない。
地下水の流入は止まらず、さまざまな濃度の汚染水に姿を変え続ける。方丈記の冒頭「ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず」が頭をよぎる。
◎重装備に全面マスク/収束作業、苦難との闘い
福島第1原発事故の収束作業に当たる作業員3人が1日、福島県楢葉町のJヴィレッジで報道陣の取材に応じ、高い放射線量や気象条件と闘いながら続く作業の実態を語った。
「臭いも色もなく、慣れるとだんだん恐怖感がなくなってくる」
3号機のがれき撤去を担う鹿島福島工事事務所工事課長の小林弘茂さん(45)は放射線対策の難しさを挙げ、「作業員をいかに被ばくさせない作業計画を立てるかに苦心している」と語った。
3号機は水素爆発して燃料が溶け、建屋上部の放射線量が毎時500ミリシーベルトと高い。作業は数百メートル離れた場所から無人のクレーンなどの重機を遠隔操作して実施している。
「人類の誰も経験したことのない作業に使命感を持ち、技術を駆使して挑んでいる。何とか役に立ちたい思いで作業していることを分かってほしい」と涙ぐんで訴えた。
日立GEニュークリア・エナジーの現場事務所長河合秀郎さん(58)は4号機からの燃料取り出しのため建屋をカバーで覆う工事に当たる。「重装備に全面マスク。15分で汗だくになり、下手すれば倒れる」と夏の熱中症対策が課題と話す。
4号機は建屋上部のがれき撤去が進む。「事故直後は命の危険を感じた場面もあったが、1週間後には復旧の道筋が見えてきた」と言う。
下請けの播州基礎興業(兵庫県姫路市)の名里之宏さん(52)は海への汚染水流出を防ぐ遮水壁の設置作業を担当している。「こっちの環境に不慣れで、凍った現場で足を滑らせている」と冬場の作業の難しさを明かした。
1~4号機の建屋内には事故直後に溶けた燃料を冷やした大量の水に加え、1日約400トンの地下水が流れ込む。稼働中の淡水化装置では放射性セシウム以外は除去できず、処理後も完全浄化まで貯蔵を強いられる。
貯蔵量は現時点で26万トンで、飽和量の約32万トンに迫る。東電は2014年前半までに約8万トンのタンクを増設し、敷地を造成して15年度までに計70万トンの容量を確保する計画だ。タンクは既に敷地を埋め尽くすように並び、用地に余裕があるようには見えない。
高橋毅所長も「地盤調査の必要があり、70万トンを現時点で確保できるとは言えない」と認める。
62の放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)も公開された。1日約500トンの処理能力があり、汚染水浄化の切り札と言われる。
12年秋に稼働を始める予定だったが、廃棄物保管容器の強度不足が判明し、今も稼働に至っていない。完成した設備に人影はなく、荒涼とした雰囲気が漂っていた。
ALPSは処理水がいったん敷地内に保管される。東電は処理水を最終的に海へ放出する考えだが、漁業関係者が反発し、最終処理の見通しは立っていない。
地下水の流入は止まらず、さまざまな濃度の汚染水に姿を変え続ける。方丈記の冒頭「ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず」が頭をよぎる。
◎重装備に全面マスク/収束作業、苦難との闘い
福島第1原発事故の収束作業に当たる作業員3人が1日、福島県楢葉町のJヴィレッジで報道陣の取材に応じ、高い放射線量や気象条件と闘いながら続く作業の実態を語った。
「臭いも色もなく、慣れるとだんだん恐怖感がなくなってくる」
3号機のがれき撤去を担う鹿島福島工事事務所工事課長の小林弘茂さん(45)は放射線対策の難しさを挙げ、「作業員をいかに被ばくさせない作業計画を立てるかに苦心している」と語った。
3号機は水素爆発して燃料が溶け、建屋上部の放射線量が毎時500ミリシーベルトと高い。作業は数百メートル離れた場所から無人のクレーンなどの重機を遠隔操作して実施している。
「人類の誰も経験したことのない作業に使命感を持ち、技術を駆使して挑んでいる。何とか役に立ちたい思いで作業していることを分かってほしい」と涙ぐんで訴えた。
日立GEニュークリア・エナジーの現場事務所長河合秀郎さん(58)は4号機からの燃料取り出しのため建屋をカバーで覆う工事に当たる。「重装備に全面マスク。15分で汗だくになり、下手すれば倒れる」と夏の熱中症対策が課題と話す。
4号機は建屋上部のがれき撤去が進む。「事故直後は命の危険を感じた場面もあったが、1週間後には復旧の道筋が見えてきた」と言う。
下請けの播州基礎興業(兵庫県姫路市)の名里之宏さん(52)は海への汚染水流出を防ぐ遮水壁の設置作業を担当している。「こっちの環境に不慣れで、凍った現場で足を滑らせている」と冬場の作業の難しさを明かした。