動画:ロシアに落下した隕石か YouTubeに映像
2013年02月15日、 ロシアのウラル地方チェリャビンスク州で15日午前に落下した隕石を撮影したものと見られる
動画が、「YouTube」(ユーチューブ)に数本投稿されている。
そのうちの1本。再生開始9秒から24秒にかけて、画面中央左から右下に向かって強く輝く物体が大気中を移動していく様子が、車載カメラと思われる機器で撮影されている。
原発に隕石落ちたらどうする?「想定外」
原発に隕石(いんせき)が落ちたらどうするか-。原子力規制委員会が策定を進めている原発の新安全基準では、東京電力福島第1原発事故を教訓に、自然災害など外部からの脅威に対する対策を強化する。テロによる航空機衝突も想定しているが、隕石の落下までは想定していない。
規制委事務局の原子力規制庁幹部は「もし起こったら過酷事故としてテロなどと同様の対応をする」と話す。
新基準骨子で想定する災害は、地震や津波に加え、竜巻、洪水、火山、地滑り、近隣工場の火災、ダムの崩壊など。規制庁幹部は「隕石の落下は『など』に含まれるが、具体的に対策を意識する対象ではない」としている。
現在、国民から意見公募中の新基準骨子では、原子炉建屋に航空機が衝突して通常の安全設備が使えなくなる事態に備え、建屋から100メートル程度離れた場所に、第2制御室や電源、冷却用ポンプなどを備えた「特定安全施設」の設置を求めている。
原発に航空機が衝突した場合、航空機の燃料は広範囲に燃え広がらないため、原子炉から一定の距離がある特定安全施設で対応できるとしているが、隕石の場合、大きさや落下する場所の予測が極めて難しく、計画している安全設備で対応できるかは不透明だ。(共同)
[2013年2月15日20時37分]
ロシア隕石落下:直径10メートルの可能性…専門家指摘
毎日新聞 2013年02月15日 20時33分(最終更新 02月15日 23時52分)
国立天文台によると、上空を発光しながら通過していく様子は、隕石の落下に伴う現象だという。通常は上空で分裂して散り散りになるが、今回は、低空まで形を保っていた。軌道が予測できる天体は、直径45メートル程度が限界。これより小さい隕石の接近を事前に把握するのは困難だ。
地球に接近する天体の研究をしているNPO法人「日本スペースガード協会」も映像を分析。隕石は東から南へ通過し、上空約40キロで温度が上昇し、爆発したとみられる。協会は、衝撃波による被害と発光の程度から、直径約10メートルに近かった可能性を指摘する。
協会の高橋典嗣(のりつぐ)理事長は「仮に地表到達時に10メートル規模であれば、直径100メートルのクレーターができて壊滅的な被害となったはず」と話す。16日未明に地球近くを通過する小惑星(直径45メートル、推定重量13万トン)の軌道は南北方向と、隕石の軌道とは異なり、関係はないという。
国立極地研究所の小島秀康教授(隕石学)によると、地球に落下する隕石は、直径約20センチ、重さ10キロのもので年間約800個。小島教授は「数百人規模のけが人が出た例は、記録上ないのではないか」と驚く。
【野田武、鳥井真平】
ロシア:ウラルで隕石が爆発・落下 1000人が負傷
毎日新聞 2013年02月15日 16時39分(最終更新 02月16日 00時43分)
http://img.mainichi.jp/mainichi.jp/select/images/20130216k0000m030010000p_size5.jpg
飛来した隕石と思われる物体の痕跡=ロシア・チェリャビンスクで2013年2月15日、AP
【モスクワ田中洋之】ロシア非常事態省などによると、同国ウラル地方チェリャビンスク州付近で15日午前9時20分(日本時間午後0時20分)ごろ、隕石(いんせき)が大気圏内で爆発し、落下した。物体が音速よりも速く動く際に生じる「衝撃波」により、同州チェリャビンスク市などでガラスが割れたり建物壁面がはがれたりして、インタファクス通信によると、約1000人が負傷し、43人が入院、2人が深刻な容体。内務省によると、同州の3カ所に隕石の破片が落下した痕跡が見つかった。都市部への落下は免れたとみられる。被害の全容は不明だが、隕石落下で多数の負傷者が出た前例はないという。
同州によると、州中部チェバルクリ近郊の湖に張った氷に隕石落下によるとみられる直径6メートルの穴が見つかった。隕石は直径10メートル近かった可能性もある。
非常事態省によると、隕石は中央アジア・カザフスタン上空からウラル地方に向かって北西の方向に飛んだという。ロシア科学アカデミーは隕石の重さを10トンと推定。時速5万4000キロ以上で大気圏に突入したと分析している。ロシア地理協会チェリャビンスク支部の解析では、隕石は高度70〜30キロで3回爆発し、白い閃光(せんこう)を広範囲に放ち、やや遅れて爆発音が響いた。南東から北西に向けて空を横切り、45度の角度で地表に突っ込んだという。
ロイター通信によると、同州から約200キロ離れたスベルドロフスク州エカテリンブルクでも落下する隕石の軌跡が見えたという。
地元メディアによると、チェリャビンスク州の六つの居住地にある病院や幼稚園、学校を含む約300棟の建物でガラスが割れた。学校では授業中で、子ども多数が負傷した。地元住民らは「航空機爆発」「ミサイル飛来」などと騒ぎ出し、パニックに陥ったという。インタファクス通信によると、州知事は州内の被害総額は10億ルーブル(約30億円)に達するとの見通しを示した。
ロシア国営原子力企業ロスアトムなどによると、ウラル地方には使用済み核燃料再処理工場があるが、影響は出ていないという。スベルドロフスク州内にあるベロヤルスク原子力発電所もエネルギー供給や放射線量に異常はないという。