田中一郎です。
水産物の放射能汚染検査について,水産庁(漁場資源課) にヒヤリングしましたの
で,その結果も含めて,私なりに簡単にまとめておきます。
1.水産物の放射能汚染検査は,政府が各都道府県に依頼して, 各都道府県が実施主
体として行われている。
2.検査の際のサンプリングは場当たり的になされている。 その結果,検査される魚
種・水産物に偏りが見られ, 検査サンプルが当該都道府県での水産物水揚げの汚染状
況を代表しない状態が続いている。最もひどいのは青森県で, 下記の通り,タラばか
り検査している状態。また, 水揚全体に対してサンプル数が適切なのか,サンプルの
取り方が適切なのかも全く不明。 とにかくサンプル数は少なすぎて,全然だめ。これ
では水産物の汚染実態は分からない。
*水産庁「各都道府県等における水産物放射性物質調査結果( 平成24年度)」
http://www.jfa.maff.go.jp/j/ housyanou/pdf/130129_result. pdf
*水産庁「水産物の放射性物質調査の結果について~ 1月30日更新~」
http://www.jfa.maff.go.jp/j/ housyanou/kekka.html
3.検査は可食部のみを検査する。 これだと検査対象となる水産物の汚染状況は部分
的にしかわからず, 非可食部が人間の食用以外に使われたりすると危ないことにな
る。
4.検査されるのは生鮮品だけである。 漁港で水揚げ時に検査サンプルが採取され
る。 いわゆる加工品は公的機関によっては一切検査されることはなく( 一部,東京都
などの例外あり*), 加工品はすべて食品業者に丸投げ状態である。事後的な検査さ
えも行われていない。
(*東京都は金持なので, 流通過程にある水産物を含む様々な食品を,抜き打ちでラ
ンダム抽出して購入し,放射能検査を実施している( 他の自治体ではそうはいかな
い)。また, 厚生労働省も同じような抜き打ち検査を実施している。がしかし, その
検査数たるや,両方合わせても極めてわずかで, 食品流通の大群の中では限りなくゼ
ロに近い)
5.放射能汚染が検出された水産物は,新聞報道にある通り,8, 000ベクレル/kgで
区分され,8,000ベクレル/kgを超えれば「指定廃棄物」 として処理・処分され,そ
れ未満であれば一般廃棄物として, 普通のゴミのように捨てられる。
*環境省 指定廃棄物処理情報サイト
http://shiteihaiki.env.go.jp/
6.きちんと汚染水産物が処理・ 処分されるのかどうかが心配だが,水産庁が言うに
は
(1)福島県については,県庁が検査したもののうち, 食品の残留放射能規制値を上
回ったものは出荷停止となり, それをまとめて県庁が保管をしている。8,000ベクレ
ル/kgを超えるものが少しあるが, それは指定廃棄物として処理処分される予定。
(2)それ以外の県では,たとえば宮城や茨城, 青森や岩手などについては,食品の
残留放射能規制値を上回ったものを県庁がどうしているのか未確認 ,8,000ベクレル
/kgを超えたもの(指定廃棄物)はないとの認識
(3) 規制値を超えたものが食品流通に入り込まないように注意して管理 するよう,
各都道府県に通知徹底したいとのこと(ちょっと遅いのでは? 私は,産地偽装など
の偽装表示は, どうも流通に深く入り込んでいるのではないかと思われてならない 。
流通も,飲食品としてだけでなく,飼料として,肥料原料として, その他用途とし
て。
7.検査されているのは放射性セシウムのみ, それ以外の放射性物質,とりわけ放射
性ストロンチウムは無検査状態で極めて危険だ。 カルシウムがたまっているような水
産物には近寄ってはならない(魚の骨=骨ごと食べる小魚,貝類, 海藻,エビやカニ
など)。
8.水産物流通の世界は食品偽装・産地偽装が横行している。 西日本だからといって
も,全く安心できない。その事例が昨日ご紹介した下記である。 下記は「氷山の一
角」である。農林水産省,厚生労働省,消費者庁の各省庁は, こうした状態を抜本的
に改善するための強力な施策をいつまでたっても取ろうとせず, 事実上,食品業界で
「悪貨が良貨を駆逐する」事態を招いている。。
*農林水産省 ㈱ジャパンシーフーズにおけるアジ・ サバの不適正表示に対する措置
について
http://www.maff.go.jp/j/press/ syouan/kansa/130130.html
9.上記のような状況の中で,信じがたいことに東京電力は, 福島第1原発の事故原
子炉を冷却した汚染水を,ふたたび海へ放出しようとしている。 ふざけるなである。
規制値以下だから大丈夫というのなら, 東京電力グループ役職員や経済産業省・文部
科学省の役人達, あるいは原子力ムラ御用学者や原子力産業従事者で,汚染水を生活
用水・飲料水として使ったらどうか。 たっぷりあるので遠慮は無用だ(別添PDF
ファイル参照)。
10.結局,政府・農林水産省は, 食の放射能汚染と安全の問題への取組について,こ
れまで各方面から批判されてきたことには馬耳東風であり,また, 水産物の安全につ
いて責任を持とうとはしていない。また, ここには出てきていないが,厚生労働省も
食品衛生法を所管する省庁として, 放射能と安全の問題について不作為を続けてい
る。食品安全委員会は,もちろん, ずいぶんと前にその期待された本来の機能を停止
し,食品産業や食品流通業のために嘘八百を垂れ流し続けている。
*東京新聞汚染水、海へ放出検討 東電社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/ article/national/news/ CK2013013102000121.html
<結論>東日本産の魚介類や水産物は危険である。 水産加工品ももちろん危険であ
る。日本の食品流通は放射能汚染を無原則に拡散させており, 西日本にいても,その
安全と安心は担保されない。子ども達には,東日本産( 北海道東海岸から神奈川・静
岡沖まで)の魚介類や水産物は食べさせない方がいい。 加工品や外食品で,水産物が
原料のものは避けて通るのが無難である。 水産物を食べる場合には,素性の知れた西
日本産の生鮮ものに限ること。
また,水産物の飼料流通ルートや肥料流通ルートが心配なので, 農家や畜産・酪農
家は,時折抜き打ちで飼料・肥料の検査を行った方がいい。
汚染物よ,こんにちわ,消費者・国民の健康よ,さようなら( 日本国・飲食担当永
田町政治家及び霞が関官僚一同)
草々
水産物の放射能汚染検査について,水産庁(漁場資源課) にヒヤリングしましたの
で,その結果も含めて,私なりに簡単にまとめておきます。
1.水産物の放射能汚染検査は,政府が各都道府県に依頼して, 各都道府県が実施主
体として行われている。
2.検査の際のサンプリングは場当たり的になされている。 その結果,検査される魚
種・水産物に偏りが見られ, 検査サンプルが当該都道府県での水産物水揚げの汚染状
況を代表しない状態が続いている。最もひどいのは青森県で, 下記の通り,タラばか
り検査している状態。また, 水揚全体に対してサンプル数が適切なのか,サンプルの
取り方が適切なのかも全く不明。 とにかくサンプル数は少なすぎて,全然だめ。これ
では水産物の汚染実態は分からない。
*水産庁「各都道府県等における水産物放射性物質調査結果( 平成24年度)」
http://www.jfa.maff.go.jp/j/ housyanou/pdf/130129_result. pdf
*水産庁「水産物の放射性物質調査の結果について~ 1月30日更新~」
http://www.jfa.maff.go.jp/j/ housyanou/kekka.html
3.検査は可食部のみを検査する。 これだと検査対象となる水産物の汚染状況は部分
的にしかわからず, 非可食部が人間の食用以外に使われたりすると危ないことにな
る。
4.検査されるのは生鮮品だけである。 漁港で水揚げ時に検査サンプルが採取され
る。 いわゆる加工品は公的機関によっては一切検査されることはなく( 一部,東京都
などの例外あり*), 加工品はすべて食品業者に丸投げ状態である。事後的な検査さ
えも行われていない。
(*東京都は金持なので, 流通過程にある水産物を含む様々な食品を,抜き打ちでラ
ンダム抽出して購入し,放射能検査を実施している( 他の自治体ではそうはいかな
い)。また, 厚生労働省も同じような抜き打ち検査を実施している。がしかし, その
検査数たるや,両方合わせても極めてわずかで, 食品流通の大群の中では限りなくゼ
ロに近い)
5.放射能汚染が検出された水産物は,新聞報道にある通り,8, 000ベクレル/kgで
区分され,8,000ベクレル/kgを超えれば「指定廃棄物」 として処理・処分され,そ
れ未満であれば一般廃棄物として, 普通のゴミのように捨てられる。
*環境省 指定廃棄物処理情報サイト
http://shiteihaiki.env.go.jp/
6.きちんと汚染水産物が処理・ 処分されるのかどうかが心配だが,水産庁が言うに
は
(1)福島県については,県庁が検査したもののうち, 食品の残留放射能規制値を上
回ったものは出荷停止となり, それをまとめて県庁が保管をしている。8,000ベクレ
ル/kgを超えるものが少しあるが, それは指定廃棄物として処理処分される予定。
(2)それ以外の県では,たとえば宮城や茨城, 青森や岩手などについては,食品の
残留放射能規制値を上回ったものを県庁がどうしているのか未確認 ,8,000ベクレル
/kgを超えたもの(指定廃棄物)はないとの認識
(3) 規制値を超えたものが食品流通に入り込まないように注意して管理 するよう,
各都道府県に通知徹底したいとのこと(ちょっと遅いのでは? 私は,産地偽装など
の偽装表示は, どうも流通に深く入り込んでいるのではないかと思われてならない 。
流通も,飲食品としてだけでなく,飼料として,肥料原料として, その他用途とし
て。
7.検査されているのは放射性セシウムのみ, それ以外の放射性物質,とりわけ放射
性ストロンチウムは無検査状態で極めて危険だ。 カルシウムがたまっているような水
産物には近寄ってはならない(魚の骨=骨ごと食べる小魚,貝類, 海藻,エビやカニ
など)。
8.水産物流通の世界は食品偽装・産地偽装が横行している。 西日本だからといって
も,全く安心できない。その事例が昨日ご紹介した下記である。 下記は「氷山の一
角」である。農林水産省,厚生労働省,消費者庁の各省庁は, こうした状態を抜本的
に改善するための強力な施策をいつまでたっても取ろうとせず, 事実上,食品業界で
「悪貨が良貨を駆逐する」事態を招いている。。
*農林水産省 ㈱ジャパンシーフーズにおけるアジ・ サバの不適正表示に対する措置
について
http://www.maff.go.jp/j/press/ syouan/kansa/130130.html
9.上記のような状況の中で,信じがたいことに東京電力は, 福島第1原発の事故原
子炉を冷却した汚染水を,ふたたび海へ放出しようとしている。 ふざけるなである。
規制値以下だから大丈夫というのなら, 東京電力グループ役職員や経済産業省・文部
科学省の役人達, あるいは原子力ムラ御用学者や原子力産業従事者で,汚染水を生活
用水・飲料水として使ったらどうか。 たっぷりあるので遠慮は無用だ(別添PDF
ファイル参照)。
10.結局,政府・農林水産省は, 食の放射能汚染と安全の問題への取組について,こ
れまで各方面から批判されてきたことには馬耳東風であり,また, 水産物の安全につ
いて責任を持とうとはしていない。また, ここには出てきていないが,厚生労働省も
食品衛生法を所管する省庁として, 放射能と安全の問題について不作為を続けてい
る。食品安全委員会は,もちろん, ずいぶんと前にその期待された本来の機能を停止
し,食品産業や食品流通業のために嘘八百を垂れ流し続けている。
*東京新聞汚染水、海へ放出検討 東電社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/ article/national/news/ CK2013013102000121.html
<結論>東日本産の魚介類や水産物は危険である。 水産加工品ももちろん危険であ
る。日本の食品流通は放射能汚染を無原則に拡散させており, 西日本にいても,その
安全と安心は担保されない。子ども達には,東日本産( 北海道東海岸から神奈川・静
岡沖まで)の魚介類や水産物は食べさせない方がいい。 加工品や外食品で,水産物が
原料のものは避けて通るのが無難である。 水産物を食べる場合には,素性の知れた西
日本産の生鮮ものに限ること。
また,水産物の飼料流通ルートや肥料流通ルートが心配なので, 農家や畜産・酪農
家は,時折抜き打ちで飼料・肥料の検査を行った方がいい。
汚染物よ,こんにちわ,消費者・国民の健康よ,さようなら( 日本国・飲食担当永
田町政治家及び霞が関官僚一同)
草々