言論・表現の自由を守る会は11月23日、国連健康に関する特別報告者アナンド・グローバー氏による意見聴取を受け、世界最大の人権問題であるフクシマの問題と日本の言論弾圧に関する情報提供を行いました。

言論・表現の自由を守る会が主催して10月30日国連欧州本部(ジュネーブ)で開催した第2回日本政府UPR審査のサイドイベントの内容をふまえて、垣内つね子事務局長がグローバー氏に、JRFSとして提案した日本政府に対する3つの勧告案と審査に向けた情報提供および審査後の記者会見等について報告しました。
現在もなお地震と津波の危険にある東京電力第1原発4号機の1500本の燃料棒の危機的な現状と、今年の雪解け以降、福島市の空間放射線量が、全村避難を強いられている飯館村とほぼ同じであり、時にはそれより高い(0・7~0・8μシーベルト)値が観測され、集団避難が必要である高値を示しているにもかかわらず、子どもたちは無防備な生活を強いられていること。それにもかかわらず、だれもこの問題について発言せず、発言すらできないフクシマの危機的な現状について報告し提言しました。
日本の重大な人権問題として、21世紀に入り2003年3月、自公政府が憲法9条違反の自衛隊のイラク派兵を強行した直後から、政府を批判した政治的なビラを配布した市民達が次々に逮捕され、ビラ配布弾圧6事件のうちの4事件がすでに最高裁で不当判決を受け、残りの2事件に判決期日が指定されてしまったこと。
同時期から教育現場では、「君が代の起立斉唱」が強制され、強制に従わない教師延べ700人以上が処分を受け、20以上の裁判を起こしており、日本の原発推進の『安全神話』の根は、これらの「言論弾圧」と「日の丸・君が代の強制」にあることを報告しました。
また、これら問題について国連自由権規約と自由権規約委員会が2008年に、公職選挙法と国家公務員法を名指しして法改正を求めたにもかかわらず、政府は法律を撤回せず、それどころか勧告を敵視し続け、3・11後、総理大臣も、最高裁判所も、これらの政府と警察権力による人権侵害行為が国際人権規約と勧告違反であるという市民と弁護団の主張を無視し、日の丸・君が代の強制が憲法とともに国際人権規約違反であるという判断を拒否し、市民や一般の国家公務員が政府を批判するビラを配布したことを犯罪とする不当判決を出し続けている事実を示しました。
日本の総理大臣:政府・外務省や教育委員会の役人らが、人権条約とともに社会権規約委員会の勧告に敵対し人権侵害を続け、強制が加速・悪化しており、爆発後においても東京電力福島第1原子力発電所とフクシマの人々の対応に国際人権規約と勧告が全く活かされていず、子どもたちの命と健康も、フクシマが危機的状態となっていることを告発し、情報を提供しました。
当会に届いている福島現地の告発と提言、および、首都圏と九州の病院で精密検査を希望した被ばくした子どもたちの受信を拒否した事実や、モニタリングポストの内部の計測機器の値を不正に低くしていること等について、詳細な資料を提供しました。
26日、国連健康に関する特別報告者アナンド・グローバー氏が、
日本記者クラブで記者会見を行います。
2012年11月26日 13:00〜14:00 日本記者クラブ 10階ホール
国連人権理事会特別報告者 アナンド・グローバー氏 Anand Grover
国連人権理事会特別報告者 アナンド・グローバー氏 Anand Grover
Special Rapporteur on the right of everyone to the enjoyment of the highest attainable standard of physical and mental health
国連人権理事会はアナンド・グローバー(Anand Grover、インド人弁護士)氏を特別報告者に任命し、東日本大震災後、被災者などに対して“健康を享受する権利”が機能していたかどうか、福島県などを訪れて11月15日から調査します。政府関係者、医療従事者などへの調査終了後に、グローバー氏が中間報告を発表します。
使用言語 英語・日本語