国公法弾圧堀越・世田谷事件
 最高栽も、国連の勧告を無視!
大法廷に回付しないまま、来月7日に判決期日を指定
 
国連自由権規約員会は4年前の2008年10月に、日本政府に対して公職選挙法(文書配布と戸別訪問の禁止規定)と国家公務員法(一般国家公務員の政治活動を一律全面的に禁止している102条)の撤回を求め勧告している。
今回の期日指定は、この勧告を無視すると宣言したと同様の国際人権規約に敵対している最高裁の姿勢を顕わにしたものである。
 
 言論・表現の自由を守る会は、この不当な決定に断固抗議し、期日指定を撤回させ大法廷に回付させ、堀越明男さんと宇治橋慎一さんの人権を守り、日本国民の参政権を確立させるため、全国のみなさんにご支援いただきますようこころから訴えます。
 
※自由権規約委員会第5回日本政府報告書審査 
  最終見解(勧告)200810
パラグラフ26 委員会は、公職選挙法の下での戸別訪問の禁止、選挙期間前に配布可能な文書図画への制限などの表現の自由及び参政権に対して課された非合理的な制約につき懸念を有する
 
 委員会は、政治活動家と公務員が、私人の郵便箱に政府に批判的な内容のリーフレットを配布したことで、不法侵入についての法律や国家公務員法の下での逮捕、起訴されたとの報告についても懸念する。
 
  締約国(日本)は、規約19条及び25条の下で保護されている政治活動及び他の活動を、警察、検察官および裁判所が過度に制約しないように、表現の自由と参政権に対して課されたいかなる非合理的な法律上の制約をも廃止すべきである
 
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事件について:
 
 休日に職場と関係のない場所で、日本共産党の「しんぶん赤旗」号外を配ったことが国家公務員法違反(政治的行為の制限)罪にとわれている国公法弾圧堀越事件と世田谷国公法弾圧事件について最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は9日までに、判決期日を12月7日に指定しました。
 同法違反で起訴された2事件の内、堀越事件の元社会保険庁職員堀越明男さん(59)は、2審で逆転無罪となっています。一方、世田谷事件の元厚生労働省課長補佐宇治橋慎一さん(64)は一、二審で有罪とされました。
 
 期日指定をやめ大法廷回付を
 
 弁護団声明
 
 国公法弾圧二事件の弁護団は九日、最高裁が判決期日を一二月七日に指定したことを受け、抗議の声明を発表しました。
 最高裁第二小法廷は本日、国公法弾圧二事件(堀越事件、世田谷事件)について、本年12月7日判決宣告期日と指定した。
 弁護団は最高裁に対し、1974年の猿払最高裁判決の明確な変更と意見無罪判決を求め、大法廷への回付と審理を要求してきた。
 
 刑罰をもって国家公務員の政治活動を一律全面に禁止し、公安警察による尾行・盗撮などの違法行為に口実を与えてきたのが猿払最高裁判決であった。それゆえ、われわれは、判決の見直しと変更を求めてきたのである。
 
 しかるに今般第2小法廷の名で判決期日を指定したことは、猿払最高裁判決の変更を行わないということであり、最高裁が正面からの憲法判断を避けるものとして、到底承服しがたい。
 
 とりわけ、高裁で不当な有罪判決を言い渡された世田谷事件について、弁論を開かずに結論を出そうとすることは、断じて許し難い。
 
 我々は、あくまで猿払最高裁判決の見直しと変更を求め、2事件について判決宣告期日指定の取り消しと大法廷回付を求めるものである。
 
 
 
ー・-・-・-・ー・-・-・-・  転載記事 ー・-・-・-・ー・-・-・-・

<国家公務員機関紙配布>「有罪」「無罪」確定へ…上告審

毎日新聞 11月9日(金)21時9分配信
 国家公務員が休日に政党機関紙を戸別配布したことが刑事罰に問えるか否かが争われた2件の国家公務員法違反事件の上告審で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は判決期日を12月7日に指定した。憲法が定める表現の自由と国家公務員の政治活動の制限を巡って、2件の各2審は有罪と無罪に判断が割れている。小法廷は2審判断を見直す際に必要な弁論を開かないことから、同法の制限を合憲と判断した上でそれぞれの有罪と無罪を確定させるとみられる。【石川淳一】

 ◇弁論開かずに判決期日指定

 共産党機関紙などを配布して04年3月に起訴された元社会保険庁職員の堀越明男被告(59)に対し東京高裁は10年3月、「罰則適用は表現の自由を保障した憲法に違反する」と違憲との判断を示し、罰金10万円などの東京地裁判決を破棄し、逆転無罪とした。

 一方、同様の行為で05年9月に起訴された元厚生労働省課長補佐、宇治橋(うじはし)真一被告(64)に対しては、東京高裁の別の裁判長が10年5月、「公務員の中立性を損なう恐れが大きい」として罰金10万円の東京地裁判決を支持した。

 国家公務員法が制限する国家公務員の政治活動を巡っては、北海道猿払(さるふつ)村の郵便局員を有罪とした「猿払事件」の最高裁判決(74年)が先行判例だ。違憲判断や判例変更には大法廷回付が必要だが、今回の2事件は回付手続きを経ないため、小法廷が違憲判断や判例変更をせず、判断を示す見通し。

 2事件の違いは被告の役職の有無などに限られており、有罪、無罪に分かれた判断理由をどう説明するかが注目される。