賠償、都に命じる
君が代不起立訴訟で判決
東京高裁
入学式や卒業式で、「君が代」起立斉唱の職務命令に従わず、停職処分を受けた都立養護学校元教員の女性(62)が、都に300万円の損害賠償などを求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が7日、東京高裁でありました。
南敏文裁判長は請求を棄却した一審東京地裁判決を変更し、30万円の支払いを命じました。
判決は、「不起立で、女性に不利益な処分をすることは、思想や良心の自由に影響を与える」とし、戒告、減給から停職へと機械的に加重して処分すべきではないと指摘。都には、不起立による学校運営への影響など、処分の際に考慮すべきことを認識しなかった過失があるとしました。
その上で、「養護学校では、教諭と児童・生徒との触れ合いが教育にかかせず、女性はその触れ合いを特に重視していた」と判断。停職中、教壇に立てないことによる精神的な苦痛は、支給されなかった給与の支払いでは回復できないと結論付けました。
女性は、都を相手に処分取り消しと損害賠償を求めて提訴。
一、二審は訴えを退けましたが、最高裁は今年一月、停職処分を「懲戒権者裁量の範囲を超えている」として取り消し、賠償請求について高裁に審理を差し戻していました。