監視カメラは何を監視しているのか──「安全・安心社会」の盲点(1) 
(「今週の直言」8月20日)
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2012/0820.html

 水島朝穂さん(早稲田大学法学学術院教授)の「今週の直言」。今週から3回にわ
たってのテーマは「監視カメラ」。〈監視カメラ(「防犯カメラ」)は一体何を監視
するのか。防犯の目的のためにのみ使われるのか。それは知人の例が示すように、外
部からの「不審者」をチェックするだけにとどまらないのではないか。コミュニティ
ー内の関係者のなかから、不審者(不信者?)を炙(あぶ)りだす機能も果たし得
る〉。

 日本全国に300万台あると言われる監視カメラだが、「安全・安心」のためには
自由の制限やプライバシーの侵害もやむを得ないという意識が、一般的になりつつあ
るのだろうか。水島さんは、〈プライバシー権との関係で鋭い緊張関係にあるにもか
かわらず、これを問題視することはほとんどなくなった。監視カメラをめぐる「文
化」が変わったと言ってもいいだろう〉と指摘する。

 そして、監視カメラに違和感がなくなり、それを日常のものとして受容することで
「監視カメラへの慣れ」が生まれていることは、〈権利・自由の侵害への「馴致」に
もつながりかねない〉と警鐘を鳴らす。
 
 情報の電子化が当然となった社会の中で、利便性・簡便性・効率性を最優先する経
済社会が現出している。そうした中で、たとえば消費増税をめぐる議論のなかに、ポ
ッと重大な個人情報の扱いを含む「マイナンバー法案」のようなものが登場してく
る。私たちは、情報の電子化の波に漂うことで、どう扱われるかわからない「自分の
情報」についてのガードを、あっさりと緩めてしまうわけにはいかない。

   監視カメラは何を監視しているのか──「安全・安心社会」の盲点(1) 
          水島朝穂「今週の直言」(8月20日)
       
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2012/0820.html
 
 
おばあちゃんの鐘馗さま