時事通信8月22日

「脱原発法」成立へ働き掛け=大江さんら、団体設立

 原発のない社会を早期に実現するため、作家の大江健三郎さんや前日弁連会長の宇都宮健児弁護士らが、脱原発基本法(仮称)の成立を国会議員に働き掛ける市民グループ「脱原発法制定全国ネットワーク」を設立し、東京都内で22日、記者会見を開いた。
 グループがまとめた法案では、2020年度から25年度までのできる限り早い時期に原発ゼロを実現すると明記。原発の新増設や「40年廃炉」の例外は認めないとしている。高速増殖炉「もんじゅ」は即時廃止し、使用済み核燃料の再処理は停止するという。
 今後、国会議員に法案提出や採決の働き掛けを行い、成立しない場合は次期衆院選の争点にしたい考え。代表世話人の河合弘之弁護士は「次の選挙で原発推進だったり、原発反対を明確にしなかったりする人は落としていく」と話した。 
 
 
東京新聞 TOUKYO WEB 2012年8月22日 夕刊

脱原発法制定へ始動 大江健三郎さんら 全国組織を設立

 
 脱原発法制定全国ネットワーク設立の記者会見であいさつする代表世話人の大江健三郎氏(中)ら=22日午前、東京・永田町の衆院第1議員会館で(中嶋大撮影)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/images/PK2012082202100130_size0.jpg
 
 作家の大江健三郎さんや前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児さんら作家や弁護士らでつくるグループが二十二日、東京・永田町の衆議院第一議員会館で記者会見し、二〇二五年度までに全原発の廃止を実現するための「脱原発基本法」制定に向け、各政党や国会議員に働きかける方針を表明した。
 
 グループは「脱原発法制定全国ネットワーク」同日設立された。大江さんらのほか、作家の瀬戸内寂聴さん、音楽家の坂本龍一さん、福島県南相馬市の桜井勝延市長、茨城県東海村の村上達也村長らが代表世話人に名を連ねる。
 
 グループが作成した法案の要綱案は、廃炉の時期を「遅くとも二〇二〇年度ないし二〇二五年度までのできるだけ早い時期」と明記。原発の新増設禁止のほか、運転期間を例外なく四十年とすることなどを盛り込んだ。
 
 また、原発は事故が起きれば無限大の被害が発生する可能性があり、一度に大量の電源を失うことなどから「エネルギー安全保障上、極めて脆弱(ぜいじゃく)なシステム」と指摘原発に代わる電力の安定供給のため、再生可能エネルギーの活用などが重要だとした
 
 グループは、超党派による議員立法を視野に今国会中の法案提出を目指す提出が間に合わなかった場合は総選挙の際に、全ての候補者に法案を送り、賛成か反対かを問う としている。
 
 代表世話人の一人、河合弘之弁護士は「官邸前などでの市民運動の盛り上がりがなければ、私たちの今回の提案はあり得なかった」と述べた。
 
 大江さんは「市民が動けば、脱原発基本法をつくることができる。きょうはその出発点だ」と期待を込めた。