《第3回「日の丸・君が代」裁判全国学習・交流集会・資料(神奈川)》

 ■ 不当判決!!不起立情報は思想信条情報ではない?!
   最近の最高裁判決さえ無視した大竹判決。速やかに上告!


 7月18日高裁判決が出されました。本裁判は公権力が思想信条情報を原則収集してはならないと定めた神奈川県個人情報保護条例違反を問う裁判です。
 一審の佐村判決は、君が代不起立者の氏名収集情報を思想信条情報と認めました。一方で「職務命令」の存在をでっち上げ、不起立者の氏名収集は「正当な事務行為」として、例外的に収集を認める判決を下してしまいました。
 しかし、職務命令については根拠を示すことができず、「推認される」「選択の余地のない指導・指示」など、きわめて曖昧で論理の体をなしていませんでした。
 今回の高裁判決(大竹判決)は、佐村判決の二の舞を避けたかったのか、氏名収集は思想信条情報ではないと入り口で切り捨ててきました。


 起立は「儀礼的所作」であり起立を拒否したからといって、その行為が、一般的にその人の歴史観、世界観と不可分に結びつくものではないとして、2007年のピアノ判決を援用したのでした。
 それに加えて不起立の動機、理由の情報を収集していないので不起立情報は思想信条情報ではないというのです。
 しかし、昨年から今年にかけて出された最高裁判決は、起立行為はピアノ伴奏とは異なり「敬意の表明」を示す行為であり、それに応ずることのできない者にとって、不起立という行為は「個人の歴史観ないし世界観に由来する行動」である。その者に起立を求めることは「その者の思想及び良心の自由についての間接的な制約となる」と判示しました。
 このことからも不起立情報が思想信条情報であることは明らかなはずです。しかし大竹判決は最も注目されたこの最高裁判決部分には全く触れず、思想信条情報ではないとしたのです。

 しかもこの判決は「不起立の動機、理由の情報を収集していないので不起立の情報は思想信条情報に該当しない」としており、公権力がその気になれば、保護者、一般市民もその対象になることを暗に認めたものになっています。
 思想信条情報ではないと「判断」しておきながらその直後に、「念のため」として「仮に思想信条情報に当たると解する余地があるとしても」などと真逆の仮定のもと、判断しなくてもいい判断をしています。
 いったいどのような情報として「判断」しているのか不明です。
 職務命令の存在の根拠も明確ではなく、すでに先行した「こころの自由裁判」で「職務命令はない」と最高裁で確定したことと、ここでも矛盾しています。

 私たちは速やかに上告しました。
 最高裁では最高裁が下した判決が、地裁、高裁の揺れ動く判決にどう答えるのかが問われることになります。
 私たちは地裁、高裁の矛盾をしっかり指摘し、勝利に向けて奮闘するっもりです。皆様の変わらぬご支援、ご協力をお願い致します。先ずは、ご報告まで。

2012年8月11日
君が代不起立個人情報保護裁判原告団・世話人会一同