千葉県警習志野署がストーカーの被害届受理を先送りした直後、長崎県西海市で被害親族2人が殺害された昨年12月の事件の教訓が生かされていない!
 
     ー・-・-・-・-・-・- 転載記事 -・-・-・-・-・-・-・-
 
 毎日新聞 朝刊 2012年08月07日
 DV:被害訴えの女性の情報を夫側に漏らす 福島の警察署
 
 福島県の警察署が7月、夫からのDV(配偶者暴力)被害で告訴状の提出に来た女性の情報を、事前に夫側に漏らしていたことが、6日分かった。担当課長は女性に対し「(事件化は)難しい」などとして、告訴状を突き返していたという。女性側は「夫側から報復される危険性が増した」と憤っており、8日に警察庁に対し、DV被害への適切な対応を申し入れる。【鈴木敦子】
 
 関係者によると、女性は東日本在住の20代。3年前に結婚し、子どもが2人いる。結婚後、夫から手錠をかけられ、首を絞められたり口をふさがれたりするなどの暴行を複数回受けて、過呼吸を発症し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむようになった。現在は実家に戻り、離婚裁判を起こしている。
 
 女性は昨年12月以降、警察署を直接訪れたり電話したりするなどして、身の危険を再三にわたり訴えてきた。今年7月には弁護士が作成した告訴状を持って警察署を訪れた。だが、応対した刑事課長は「内面的(精神的)な傷を裁く法律はない」「夫婦として一緒に生活していたのだから(事件化は)難しい」と、告訴を断念するよう説得。さらに「夫婦だから我慢も必要」などと述べ、告訴状を受理しなかったという。女性の親族は「警察は『受理できない』の一点張りで、どうすれば受理できるのかの助言も一切なかった」と憤る。
 
 さらに警察側は、女性の動きを夫側に連絡。女性側は7月末、夫側の弁護士から調停委員を通じて「警察が自宅にきた。刑事告訴はやめてほしい。厳重に抗議したい」と言われたという。女性側は「告訴しようとしたことを、なぜ夫側が把握しているのか」と、警察への不信感を募らせている。
 
 01年に施行されたDV防止法は、警察がDVの被害者に対し必要な措置や援助を講ずるよう定めているが、被害者の事前の訴えに対する警察側の対応が鈍く、殺人など重大事件に発展する例もある。昨年12月の長崎ストーカー殺人事件を受け、警察庁は今年3月「安易に捉えず、迅速、的確に対応するように」との通達を各都道府県警に出したが、現場に徹底されていない実情が浮き彫りになった。
 
 NPO「全国女性シェルターネット」の近藤恵子さんは「現場が法律の趣旨を理解していない。『夫婦の問題』で片付けるのは最悪の対応。これは氷山の一角だと思う」と話している。
 
 この警察署の副署長は「個別の案件についてはコメントできない」とした上で「告訴にかかわる情報を事前に加害者側に知らせるわけはないが、被害者の話を証明するものの有無を確認するため、加害者に接触することはある。DVは目撃者がいないことも多く、慎重になる部分もある」と話している。