早川由美子監督のPetite Adventure Films Blogより転載
 
 
3年前との違い
 
 6月16日の土曜日は、神田神保町の「路地と人」で、ブライアンの追悼上映会を開いていただきました。
 
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参加された皆さんの「デモ体験」「活動体験」を聞きながら、私がこの映画を完成させた3年前とは隔世の感があるように思いました。私がこの映画を持って日本に帰ってきた頃は、いわゆる”カツドウカ”みたいな人を除き、「平和活動だけで暮らしている人がいるの?」、「イギリスにはこんな人がいるんだね」というような反応が多かったからです。
 
それが、東日本大震災、福島の原発事故を経て、皮肉にも、日本でも24時間体制の抗議活動、占拠型の抗議活動を各地で常態化させなければならない状態になってしまったのです。(もちろんそれ以前から問題山積の日本社会だったのでありますが)。
ブライアンたちの活動に対し、「分かる、分かる!」といった反応があるのは、やや複雑な気持ちでもありますが、でも、もともと日本人は声を上げなさ過ぎるので(というか、声を上げる人たちを変人扱いして無視し続けてきたマスコミの責任もありますが)、これでやっと”普通”になったのかもしれません。
 
話題は抗議活動にとどまらず、今の私たちの生活・学校・職場などにも及びました。先日も、このブログで学校での自治会活動やPTA活動が潰されそうになっているということを書きましたが、この日もその詳しいお話を聞くことが出来ました。以前はPTAの活動で社会問題を取り上げたドキュメンタリーの上映などを頻繁にしていたそうですが、今は「政治的なものはダメ」という理由でなかなか上映をさせてもらえないそうです。何を持って「政治的」とするのか・・・ その線引きはとても難しいです。なにしろ、社会で起きている出来事は全て政治と結びついているのではないでしょうか・・・? もちろん学校内で選挙活動をするのは問題だと思いますが、世の中で起きていることを学ぶというのは、一番大切な”教育”だと思うんですが・・・
 
しかし、少子化のため、学校は生き残るために進学率を上げることに必死で、先生たちも課外活動に取り組む余裕がない、親たちも課外活動よりも良い大学に進めることを望む・・・という状況から、なかなか難しいようです。でも、おかしいなと思うのは、課外活動の必要性を感じて自ら企画しようという人たちを、わざわざ妨害しようとする人たちがいること。それはなぜなのかと思います。
 
また、大学の図書館で働いているという人からも、似た状況の話がありました。大学の先生が生徒に読ませたいと思って書籍を購入し、図書館に置こうとしても、例えば原発や政治に関する本などは、外には並べず書庫へしまってしまうのだそうです! それも学校側の教育への”配慮”なのでしょうか・・・
話を聞いていて、なんだか背筋が寒くなるような気がしました。
 
昨日、イギリスのポールとスカイプでその話をしていたら、現在イギリスでも小学生が書いたブログが公立学校で禁止されたことが話題になっていると言いました。9歳の小学生が、毎日学校で出される給食の写真を撮り、味を10点満点で採点し、何口で食べたか、髪の毛は入っていたか(!)などを、日々詳細に綴っているのです! 給食にしてはまぁ豪華と思える日もあれば、家畜のエサ?と思うような日も(所詮イギリスの食事だしhttp://emojies.cocolog-nifty.com/emoticon/coldsweats01.gif)。とにかくリアルで面白いのです。
 
このブログが数百万ビューを超える話題のブログとなり、学校や自治体側は「(良くも悪くも)こんな給食を出しているのか」などと非難されるのを恐れて、その9歳の小学生に給食の写真を撮ることを禁じました。
BBCでの記事はこちら。(この記事のトップに使われている写真は、この小学生が10点満点中2点をつけたワースト給食)

日本語での記事は
こちら
この禁止措置について、イギリスの有名なシェフ、ジェイミー・オリバーたちが抗議して、その少女はまた給食の写真を撮れる様になったとのことですが、こんな話を聞いていると、日本だけでなくイギリスでも、学校での自由な活動や発言が制限され、学校や行政側は「子ども」や「教育」のためという想いからではなく、自己保身という発想からあらゆるものを一律に規制しようとするような姿勢が伝わってきます。
そんなことを考えた、「路地と人」でのブライアン追悼上映会でした。
 
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英国小学生の「給食」ブログに世界が注目 地元では政治論争も

2012.06.16 Sat posted at: 10:44 JST
ロンドン(CNN) 英国の小学生マーサ・ペインさん(9)の学校給食に関するブログがネット上で大きな話題となり、地元ではちょっとした政治論争にまで発展している。

マーサさんは自身のブログで、毎日の学校給食について詳述し、さらに味や量、栄養や健康面への配慮などを点数化した

このブログが大反響を呼び、開始半年後にはネットビュー数が300万を突破米国など世界中の子どもたちがマーサさんにメールで自分たちの学校給食の説明や写真を送り始め、さらに英国の人気シェフ、ジェイミー・オリヴァー氏からも激励の言葉が届いた。

しかし、地元アーガイル・アンド・ビュートの協議会は、学校給食サービスへの不当な攻撃がマスコミで大きく取り上げられ、給食調理スタッフの間で仕事への不安が高まっているとしてマーサさんに食堂での写真撮影を禁じた

マーサさんはブログ上で「写真が撮れなくなって悲しいし、給食に関する意見交換やみんなの給食の写真が見られなくなるのは寂しい」と不満を述べた。

これにマーサさんの3万4000人のサポーターの一部が素早く反応。現地時間15日昼までに1100件以上のコメントが寄せられた。

米国ミネソタ州の47歳の主婦は、協議会の動機はあくまで「自己防衛」と批判。他にも、マーサさんのブログは世界中の学校で生徒に提供される食べ物に関する問題を提起したとして、マーサさんのブログ継続と写真撮影を認めるよう求める声が相次いだ。

アーガイル・アンド・ビュート協議会は15日、ウェブサイト上で、今年の夏に生徒、協議会メンバー、学校給食の調理スタッフらが参加する学校給食サミット」を開催することを約束した。