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毎日新聞 2012年06月11日 00時21分(最終更新 06月11日 00時29分)
 
 
 沖縄県議選(定数48、改選前欠員1)が10日投開票され、社民、共産など野党・中立系(改選前26議席)が27議席を獲得し、過半数を維持した。仲井真弘多知事を支える自民・公明などの与党は改選前と同数の21議席にとどまった。米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題について、「県内移設反対」を明確に唱える社民、共産を中心とする野党・中立系の勝利で、政府が進める名護市辺野古移設の困難さが改めて浮き彫りになった。
 今回は全14選挙区で63人が立候補。無投票当選の糸満など3区を除く11区43議席を巡り、与党と野党・中立系の候補計58人が過半数目指して激戦を展開した。
 普天間移設問題を巡っては、県議会では与野党間で大きな立場の違いはない。しかし、社民、共産などは、県内移設反対の意思を改めて示すため、野党系による過半数維持の重要性を県議選でアピール。一定の支持を集めた。
 当日有権者数は95万5076人(無投票3区除く)。投票率は52.49%(前回57.82%)で、過去最低の投票率だった前回を更に下回った。【吉永康朗】
 
 
 
 保革双方が普天間飛行場の県外移設要求でまとまった10年の知事選、今年2月の宜野湾市長選と、野党・革新系は敗北しており、今県議選でも厳しい戦いが予想された。一方、与党各候補は仲井真知事とのパイプを強調。知事も候補者たちの支援に全力で当たった。
 政府も県議選の推移を注視した。かつて普天間の県内移設を条件付きで容認していた仲井真知事と県政与党に今も望みをつないでいるからだ。「満額回答」という沖縄振興への手厚い配慮も、沖縄の態度軟化を狙ったものと言える。
 今回の革新・中立系の勝利は、こうした政府の思惑をつぶし、沖縄県民の普天間県外移設という意思を改めて示した格好となった。県民は、普天間県内移設への流れを食い止める役割を野党側に期待したのだ。これで、米軍普天間飛行場の県内移設の実現性が一層不透明となったことは間違いない。過半数が取れなかった仲井真知事のショックは大きいだろうが、同様に日米両政府のショックも大きいだろう。
 
 
 沖縄タイムス     2012年6月10日  

県議選:投票率は過去最低の52・49%

 第11回県議会議員選挙の投票者数は10日午後8時に締め切った。県選挙管理委員会によると、投票総数は、50万1289人で、投票率は52・49%と過去最低だった。4年前の前回に比べ、投票数は6万2008人少なく、投票率は5・33ポイント低かった。9日までの期日前投票数は10万7239人だった。
 糸満市選挙管理委員会によると、市長選挙は投票者数が2万6504人で、投票率は60・83%。前回に比べ5・92ポイント低い。

那覇市区開票結果 選管最終

当 具志 孝助 自民・現6 12,641 
当 上原 章  公明・現3 12,463 
当 糸洲 朝則 公明・現5 10,879 
当 翁長 政俊 自民・現4 10,567 
当 浦崎 唯昭 自民・現5 10,308 
当 狩俣 信子 社民・前3 10,091 
当 比嘉 京子 社大・現3 10,010 
当 前田 政明 共産・現3 8,295 
当 當間 盛夫 そうぞう・現3 7,791 
当 渡久地 修 共産・現2 7,695 
当 崎山 嗣幸 社民・現2 7,189 
2012年6月11日 01時24分
(9時間19分前に更新)

宜野湾市区開票結果 選管最終

当 又吉 清義 自民・新  12,961 
当 呉屋 宏  国民新・元2 7,633 
当 新垣 清涼 無・現2 7,491 
  渡嘉敷喜代子 社民・現3 6,684 

沖縄市区開票結果 選管最終

当 金城 勉  公明・現4 11,067 
当 仲村 未央 社民・現2 10,286 
当 桑江朝千夫 自民・現2 8,929 
当 嘉陽 宗儀 共産・現6 8,136 
当 玉城 満  無・現2 6,661 
  小渡 亨  無・前3 6,463

名護市区開票結果 選管最終

当 末松 文信 無・新  11,741 
当 玉城 義和 無・現7 8,279 
  玉城 健一 無・新  5,114 
  比嘉 清仁 無・新  613 

国頭郡区開票結果 選管最終

当 具志堅 透 無・新  10,211 
当 吉田 勝廣 無・現4 10,151 
 平良 昭一 無・現1 8,589 
 座間味邦昭 無・新  3,692 

うるま市区開票結果 選管最終 

当 照屋 守之 自民・現3 13,375 
当 仲田 弘毅 自民・現3 9,801 
当 照屋 大河 社民・現2 9,641 
当 山内 末子 無・現2 9,326 
  川野 進也 無・新  8,256 
 

中頭郡区開票結果 

当 中川 京貴 自民・現2 13,372 
当 仲宗根 悟 無・現2 9,788 
当 瑞慶覧 功 無・現2 9,118 
当 喜納 昌春 社大・前6 8,801 
当 新里 米吉 社民・現4 8,537 
  大城 純孝 無・新  7,845 

浦添市区開票結果 選管最終

当 赤嶺 昇  無・現3 11,866 
当 前島 明男 無・現4 8,932 
当 西銘 純恵 共産・現2 7,770 
当 儀間 光秀 無・新  7,668 
  池間 淳  自民・現4 5,683 
  又吉健太郎 民主・新  3,704 

島尻郡区開票結果 選管最終

当 新垣 良俊 自民・現3 9,920 
当 大城 一馬 社大・現5 9,468 
当 新垣 安弘 民主・現2 8,130 
  新城 博   無・新  7,480 
 
 

国頭郡区開票結果 選管最終

当 具志堅 透 無・新  10,211 
当 吉田 勝廣 無・現4 10,151 
 平良 昭一 無・現1 8,589 
 座間味邦昭 無・新  3,692 
 
 
 
 沖縄タイムス   2012年6月11日
 県議選:新人6人当選 3人が選挙区トップ
 
 「少数激戦」となった今回の県議選。新人6人が当選を果たし、うち3人が選挙区でトップ当選するなど大きく健闘した。復帰40周年の節目の年にも重なったが、「復帰っ子」2人も当選した。女性は6人が当選を果たし、元・前職3人が返り咲いた。米軍基地問題で党本部とのねじれが続く民主党は、公認候補2人が落選するなど苦杯をなめた。一方、初めて選挙公報が導入されたが、投票率は復帰後11回を数える県議選で最低を記録した。
 名護市区でトップ当選を果たした末松文信さん(64)。孫の叶夢(かなむ)君(10)から「初当選」と書かれた布製のメダルを授与され、笑みがこぼれた。
 現職の吉元義彦さんの後継として、市内の保守系市議や経済界の支援を受けた。市の助役、副市長など23年間の行政経験を訴え、票につなげた。伊是名村出身で、村関係者や小中学校の同級生からも応援を得た。
 当確が決まると、受け取った花束を手に何度も万歳。マイクを握り、「名護市をはじめやんばる、県全体の課題解決に心血を注ぎたい」と誓った。
 
 宜野湾市区でトップ当選した又吉清義さん(54)は、緊張した面持ちで選対事務所入り。午後9時20分にテレビで当確が伝わると、事務所に「万歳」の声とともに大歓声。市区前職の佐喜真淳市長も訪れ、がっちり握手を交わした。「新人で知名度も低い中、全てを駆け足でやった。もっと宜野湾を変えたい、良くしたいという情熱が実を結んだ」と感謝の意を表した。
 
 国頭郡区で具志堅透さん(52)は、地盤が競合する現職を打ち破り、トップ当選を果たした。選対事務所のテレビに当選確実の文字が出ると、立ち上がって詰め掛けた支援者に向かい両手を挙げ、「新人として厳しい選挙だったが、本当にうれしい。北部の振興発展のために頑張っていきたい」と語った。
 
 石垣市区の砂川利勝さん(48)の選対事務所では同10時すぎ、当確情報に支持者が跳び上がって歓喜に沸いた。砂川さんは右こぶしを握り締め、力強くガッツポーズ。地道な地域回りでは、県政の「遠さ」を訴える市民が多かった。「身近な存在の県議として、郡民の声を大事にしたい」と満面の笑みで語った。
 
 浦添市区の儀間光秀さん(41)も同10時半すぎ、テレビの当確速報後、支持者らと歓喜の渦に。「市民と一緒に政策を提案し、解決する政治を目指す」。紅潮した顔で記者団に語った。
 
 儀間光男浦添市長を父に持ち、「世襲」の批判も一部あった。光秀さんは「告示後にそういった話が出たが、当選は掲げた政策を市民に訴えた結果」と強調。選対関係者は「選挙という洗礼を受けた。今後は若い世代が政治をする時代だ」と決意を示した。
 
 新人ではそのほか、豊見城市区の新田宜明さん(64)が当選した。
 復帰っ子 決意新た 島袋さん「自立へ全力」 仲村さん「沖縄と成長」
 豊見城市区の島袋大さん(39)は、自民現職として革新の新人2人との激戦を抜け出し、トップ当選。開票所で勝利を確信したスタッフの一報が入ると、2期目の鬼門突破に酔いしれた。
 4年前との大きな違いは第1子の長女由妃ちゃん(2)の存在。今回は「子育て責任世代」を前面に打ち出し、「何も変わらないという政治への不信を払拭(ふっしょく)したい」と、最少3人から開いたミニ懇談会を約170回持ち、母親らの声に耳を傾けた。
 選対本部長を務めた宜保晴毅豊見城市長(44)とは同じアラフォー世代の若いタッグで「沖縄の自立に取り組みたい」と意気込んだ。
 「真に平和で豊かな沖縄をつくるのは私たち復帰っ子の使命」。沖縄市区で当選した仲村未央さん(40)は10日午後9時45分すぎ、当選確実を伝えるテレビの速報が流れると、日焼けした顔に安堵(あんど)の表情を浮かべて立ち上がり、笑顔で支援者らに何度も頭を下げた。
 選挙中は、沖縄振興予算を子育てや教育費に充てることや高齢者福祉の充実などを訴え、若者からお年寄りまで幅広い支持を得た。
 告示直前の5月24日に40歳の誕生日を迎えたばかり。「沖縄と等身大の私たちは一緒に成長し、課題を感じてきた。若い世代、女性、子供たちの期待に応えるよう県政を変えたい」と力強く抱負を述べた。
 
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-06-11_34930/