VIII
協議資格の停止と撤回
  1. 55. 経社理によって協議資格を与えられたNGOおよびロスターに登録されているNGOは、常に、経社理との協議関係の樹立と特性に適用される原則に従わなければならない。第61条(c)に基づいて提出される報告書およびその他の関連情報に基づいてNGOの活動を定期的に見直す上で、経社理NGO委員会は、当該NGOが協議資格に適用される原則にどの程度従っているか、経社理の業務にどの程度貢献しているかを判断しなければならない。同委員会は、本決議に定められた協議資格の要件を満たしていないNGOに関し、その協議資格の停止または撤回を経社理に勧告することができる。
  2. NGO委員会があるNGOの総合もしくは特殊協議資格、またはロスターへの登録が中止または撤回されるべきだと勧告することを決定した場合、当該NGOは、その決定の理由を書面で通知され、その決定理由に反論する機会が与えられなければならず、同委員会はできる限り迅速に、その反論を適正に考慮しなければならない。
  3. 経社理との協議資格、およびロスターへの登録は、以下の場合に3年間停止、または撤回される。
    1. 当該NGOが直接的に、またはその傘下にある組織、もしくはその組織を代表して行動している組織を通して、国連の目的および原則に反する形で国連加盟国に対して根拠のない行為、または政治的な動機をもつ行為を行うことを含め、国連憲章の目的と原則に背く行動を行うことによってその資格を明らかに濫用した場合
    2. 不法な麻薬取引、マネー・ロンダリング、不法な武器の取引など、国際的に認識された犯罪行為からの収益に影響を受けた明らかな証拠が存在する場合
    3. 3年間にわたり、当該NGOが、国連の業務に対して、特に経社理またはその委員会もしくはその他の補助機関の業務に対して、建設的または効果的な貢献を全くしなかった場合
  4. 8. 総合協議資格を有するNGO、特殊協議資格を有するNGO、およびロスターに登録されたNGOの協議資格は、NGO委員会の勧告に基づく経社理の決定によって停止または撤回される。
  5. 協議資格またはロスターへの登録が撤回されたNGOは、その撤回が有効となった日から3年間は、協議資格またはロスターへの登録を再度申請することができない。
IX
経社理NGO委員会
  1. NGO委員会の委員は、関連する経社理決議および決定(注1)、ならびに経社理の手続規則(注2)に従い、地理的に均等に代表されるよう配慮した上で、経社理によって選出される。同委員会は、委員長、および必要に応じてその他の役員を選出する。
  2. NGO委員会の機能には、以下の事柄が含まれる。
    1. 委員会は、NGOと国連の間に発展しつつある関係を定期的に監視することに責任を有する。この責任を遂行するために、同委員会は、各会期の前、および必要に応じたその他の時点で、NGOと国連の関係に関連して同委員会またはNGOにとって関心のある問題について討議するために、協議資格を有する組織と協議を行う。そのような協議の報告は経社理に伝えられ、経社理の適切な行為が求められる。
    2. 委員会は、年1回の経社理の実質討議に先立ち、またできれば経社理の機能委員会の会期に先立ち、NGOによる総合協議資格、特殊協議資格、およびロスターへの登録の申請、ならびにその地位の変更の要求を検討し、それに関して経社理に勧告を行うために、定期的な会合をもつ。同委員会は、経社理の承認を得た上で、その責任を遂行するために必要なその他の会合を開くことができる。各NGOは、委員会の審議のために申請書を受け付ける際に事務総長によって提起された技術的な点での意見に対し、適正な考慮をしなければならない。同委員会は、その会合において、前年の61日以前に事務総長が受理し、その申請書の検討が行われるより6週間以上前に同委員会の委員に十分なデータが配布された申請書について検討する。可能ならば、その年のみに適用される臨時の取り決めを行うことができる。協議資格を求める再申請、または地位の変更の要請は、その検討の時点で異なる決定がなされている場合を除き、以前の申請または要求の内容が検討された会期後2年目の最初の会期のできる限り早い時点で、同委員会によって検討されるものとする。
    3. 総合協議資格および特殊協議資格を有するNGOは、4年ごとに、その活動、特に国連の活動に対する支援活動に関し、事務総長を通して経社理NGO 委員会に簡単な報告書を提出する。同委員会は、その報告書およびその他の関連情報を同委員会が検討した結果に基づき、適切だと見なされる限り、そのNGO の地位の変更を経社理に勧告することができる。しかし、例外的な状況にある場合、同委員会は、通常の報告期間の途中で、総合協議資格もしくは特殊協議資格を有するNGO、またはロスターに登録されているNGOに対して、そのような報告書の提出を要請することができる。
    4. 委員会は、経社理の会期に合わせて、またはその他の決定がなされた時点で、経社理もしくは委員会またはNGOが協議を要求して経社理の議題に含まれている項目を除き、そのNGOの能力の範囲内にある事柄に関して、総合協議資格を有するNGOおよび特殊協議資格を有するNGOと協議することができる。同委員会はその協議について経社理に報告する。
    5. 委員会は、経社理のあらゆる会議に合わせて、経社理もしくは委員会またはNGOが協議を要求してすでに経社理の暫定議題に含まれている特定の項目に関連し、そのNGOの能力の範囲内にある事柄に関して、総合協議資格を有するNGOおよび特殊協議資格を有するNGOと協議することができる。また同委員会は、第32条(a)に従った上で、どのNGOが経社理もしくは適切な委員会で発表すべきか、およびどのテーマが発表されるべきかについて、勧告を行う。同委員会はその協議について経社理に報告する。
    6. 委員会は、経社理または他の委員会から同委員会に言及されたNGOに関する問題を検討する。
    7. 委員会は、適宜、国連憲章第71条に基づく協議関係の取り決め、およびそれから発生する取り決めに影響を与える事柄に関して、事務総長と協議する。
    8. 協議資格を申請するNGOは、事務局がその申請書を受け取る日において、少なくとも2年間存在する組織であることを証明しなければならない。その存在を証明する根拠が事務局に提出されるものとする。
  3. NGO委員会は、総合協議資格を有するNGOが経社理の議題にある項目を含むよう求める要請を考察するに当たり、特に以下の点を考慮する。
    1. 当該NGOによって提出された文書の十分性
    2. その項目が経社理による早急かつ建設的な行動にふさわしいと考えられる程度
    3. 経社理以外の場でその項目が適切に対処される可能性
  4. 3. 総合協議資格を有するNGOが経社理の暫定議題にある項目を含むよう求める要請に関し、経社理NGO委員会がそれを却下する決定をした場合、経社理が異なる決定をしない限り、その決定は最終的なものとみなされる。
X
事務局との協議
  1. 64. 事務局は、本決議に定められた通り、協議関係の取り決め、および国連国際会議へのNGOの参加認定に関して与えられた義務を実行できるような形で組織されなければならない。
  2. 協議関係を有するすべてのNGOは、相互の利害または相互の関心のある事柄に関し、事務局の適切な部課の担当者と話し合うことができるものとする。そのような話し合いは、NGOの要請、または国連事務総長の要請に基づいて行われる。
  3. 事務総長は、総合協議資格を有するNGO、特殊協議資格を有するNGO、およびロスターに登録されているNGOに対し、関連する最終的な規則に従った上で、特定の調査を実行し、または特定の文書を作成するよう要請することができる。
  4. 事務総長は、その裁量で行うことができる手段の範囲内で、協議関係を有するNGOに対し、以下を含む便宜を与えることが認められる。
    1. 事務総長が適切であると判断する場合、経社理およびその補助機関の文書の迅速かつ効率的な配布
    2. 国連によって提供される文書サービスへのアクセス
    3. 特定の集団または組織に特殊な利害のある事柄に関する非公式の討議の手配
    4. 国連図書館の使用
    5. 経社理の業務に関して協議資格を有するNGOが行う会議または小規模な会合の場所の提
    6. 経済、社会、および関連する分野の事柄を扱う総会の公開会議における適切な座席の手配および文書入手の便宜
XI
事務局の支援
  1. 68. NGOの関与の拡大をめざす幅広い活動を実行する上でNGO委員会に規定された責務を遂行するために、事務局の十分な支援が必要とされる。この目的のために、事務総長は、必要な資源を提供し、NGOに対処する事務局内の組織の調整を改善する手段を取ることが要請される。
  2. 事務総長は、適切な事務局の支援体制をできる限り強化および合理化すること、ならびに近代的な情報通信技術の使用拡大、NGOに関する統合的なデータベースの作成、会議に関する情報の広範でタイムリーな普及、文書の配布、アクセスと透明性の提供、国連会議へのNGOの出席に関する簡素で合理的な手順などに関する実際的な取り決めを改善すること、さらにNGOの幅広い参加を促進することをめざして、できる限りの努力をすることが要求される。
  3. 事務総長は、世界のすべての地域からのNGOの関与を促進するために、適切なルートを通して、本決議を広く知らせることが要求される。
注記
  1. 経社理決議1099XL)および198150、ならびに経社理決定1995304
  2. 経社理手続規則第80規則