☆国連憲章
 
第71条民間団体
経済社会理事会は、その権限内にある事項に関係のある民間団体と協議するために、適当な取極を行うことができる。この取極は、国際団体との間に、また、適当な場合には、関係のある国際連合加盟国と協議した後に国内団体との間に行うことができる。

1996/31 国連とNGOの協議関係

経済社会理事会は第49会期において、NGOとの協議関係の見直しに関する決議を採択した。以下は、同決議1996/31(1996年7月25日採択)の非公式訳である。

前 文

経済社会理事会は、
国連憲章第71条を想起し、
また、必要に応じて1968年5月23日の経済社会理事会決議1296(XLIV)を更新し、国連によって招集された国際会議へのNGOの参加に適用される規則に一貫性をもたらし、NGO委員会および事務局NGO課の業務に関する実際的な取り決めを改善する方法を検討するために、NGOへの協議関係に関する取り決めの全般的な見直しを要求した、1993年7月30日の決議1993/80を想起し、
さらに、1995年7月26日の決定1995/304を想起し、
国、地域、国際レベルでのNGOの多様性を考慮に入れる必要性を確認し、
国連の業務を支援する上でのNGOの幅広い専門知識と能力を認識し、
国および地域の多数の組織が生まれていることをはじめとするNGO部門の変化を考慮し、
関連する国連システムの組織、団体、専門機関に対し、NGOとの協議関係に関連する原則と慣行を検討し、適宜、本決議の条文に照らし合わせて一貫性を促進する行動を取るよう要請した上で、
1968年5月23日の決議1296(XLIV)に記された取り決めを以下の通り更新することを承認する。

NGOとの協議関係に関する取り決め

第 I 部
協議関係の樹立に適用される原則

NGOとの間に協議関係を樹立するに当たり、以下の原則が適用される。
  1. 経済社会理事会(以下、経社理という)およびその補助機関の権能の範囲内にある事柄に対して関心をもつNGOでなければならない。
  2. そのNGOの目標と目的が、国連憲章の精神、目的、および原則に一致しなければならない。
  3. それぞれの組織の目標と目的に従い、その能力と活動の特性および範囲の中で、国連の活動を支援し、国連の原則と活動に関する知識を広める活動を行うNGOでなければならない。
  4. 明確に異なる定義がなされている場合を除き、「NGO」という語は、国、小地域、地域、国際レベルの非政府組織を指す。
  5. 協議関係は、国連憲章、および本決議によって確立される原則と基準に従い、国際、地域、小地域、国のNGOとの間に樹立される。NGO 委員会は、協議資格を求める申請書を検討するにあたり、世界のすべての地域のNGOによる公正で、バランスが取れ、効果的な真の参加を達成できるようにするため、可能な限り、すべての地域のNGO、特に開発途上国のNGOが参加できるよう配慮しなければならない。また同委員会は、経社理が利用したいと望む特殊な専門知識や経験をもつNGOに特に注意を払わなければならない。
  6. 国連が招集する国際会議への開発途上国のNGOの参加を増大させることが奨励される。
  7. 経済移行国のNGOの関与を増大させることが奨励される。
  8. すでに協議資格を有する国際組織の加盟組織を含め、地域、小地域、国のNGOにその地位が認められるには、その活動プログラムが国連の目標および目的に直接的に関連していることが明確に示されなければならない。加えて、国のNGOの場合には、当該加盟国との協議を要するものとする。その際、加盟国によって表明された見解は、当該NGOに伝えられ、そのNGOには、NGO委員会を通してその見解に反論する機会が与えられる。
  9. 能力を有する分野、または代表的な特性に関する分野において、確固たる名声をもつNGOでなければならない。ある分野において類似した目的、関心、基本的な見解をもつ多数の組織が存在する場合には、経社理との協議の目的で、グループ全体のために協議を行う正式な権限を与えられた共同委員会、またはその他の組織を発足させることができる。
  10. 既定の本部と執行責任者を有するNGOでなければならない。また、会議、代表者会議、その他の代表組織による方針の決定、および方針決定組織に対する執行組織の責任が規定され、民主的に採択された憲章をもち、その写し1部が事務総長に寄託されていることが必要である。
  11. 正式に権限を付与された代表を通し、メンバーに代わって発言する権限を有するNGOでなければならない。要請があれば、この正式権限を示す根拠が提示されなければならない。
  12. 代表の構造、およびメンバーに対する適切なアカウンタビリティの仕組みをもち、そのメンバーが、投票権、または民主的で透明なその他の適切な意思決定プロセスを行使することによって、方針と行動に対する効果的な統制を行うNGOでなければならない。政府組織または政府間の合意によって設立されたもの以外の組織が、この取り決めの目的でNGOとみなされ、また、その中には、政府機関によって任命されたメンバーの受入れによってその組織の見解の自由な表明が妨げられない限り、そのようなメンバーを受け入れる組織も含まれる。
  13. 基本的な資源が、主に、各国加盟組織などの構成単位、または個人メンバーからの拠出金で形成されるNGOでなければならない。自発的な寄付を受ける場合には、その金額と寄付者がNGO委員会に誠実に提示されるものとする。しかし、その基準が満たされず、他の財源から資金を得ている場合、本条に記された要件を満たしていない理由を納得のできる形で同委員会に説明しなければならない。直接的であるか間接的であるかを問わず、政府からの金銭的な拠出がある場合には、事務総長を通してその旨が率直に表明され、そのNGOの財務記録およびその他の記録に完全に記録されなければならず、また、それが国連の目標に一致する目的に用いられなければならない。
  14. 経社理は、NGOとの協議関係の樹立を検討するに当たり、そのNGOの活動分野の全部または大部分が専門機関の対象分野の中に含まれるかどうか、および専門機関と協議関係を有している(または有するかもしれない)場合に経社理との協議関係が認められるべきかどうかについて考慮する。
  15. 協議資格の付与、停止、撤回、およびそれに関連する標準や決定の解釈は、経社理およびそのNGO委員会を通して行使される加盟国の特権である。総合協議資格を有するNGO、特殊協議資格を有するNGO、またはロスターに登録されているNGOは、同委員会が決定をする前に、同委員会に出された反対意見に反論する機会が与えられる。
  16. 本決議の規定は、必要な変更を加えた上で、国連地域委員会およびその補助機関にも適用される。
  17. 国連とNGOとの間に発展する関係を認識し、経社理は、NGO委員会と協議の上、国連の業務に対するNGOの貢献をできる限り効果的な方法で促進する必要に応じて、協議関係の取り決めの見直しを考慮する。

第 II 部
協議関係の取り決めの特性に適用される原則

  1. 国連憲章は、経社理審議への投票権のない参加と協議関係の取り決めの間に明確な区別をしている。第69条および70条により、参加権は、経社理の理事国ではない加盟国および専門機関にのみ認められる。NGOに適用される第71条は、協議関係に関する適切な取り決めについて規定している。憲章において意識的になされたこの区別は基本的なものであり、協議関係の取り決めは、経社理の理事国ではない加盟国および専門機関に与えられるのと同じ参加権を NGOに与えるものであってはならない。
  2. この取り決めは、経社理に過剰な負担をかけるもの、あるいは、国連憲章に定められた政策と行動の調整組織から全般的な討議の場へと経社理を変質させるようなものであってはならない。
  3. 協議関係の取り決めに関する決定は、その取り決めを行うテーマについて特別な能力をもつNGOから経社理またはその補助機関が専門的な情報や助言を得ることができるようにし、また、世論の重要な要素を代表している国際、地域、小地域、国の組織がその見解を表明できるようにするために協議関係の取り決めがなされるという原則に従って行われるべきである。したがって、各NGOと交わされる協議関係の取り決めは、その組織が特別な能力または関心をもつテーマに関連しなければならない。協議資格を与えられるNGOは、第1条に記された分野における活動により経社理の業務に重大な貢献をすると認められるNGOに限られるべきであり、また、全体として、世界のすべての地域におけるその分野での主要な見解や関心をできる限り均等に反映しなければならない。

第 III 部
協議関係の樹立

  1. 各NGOと協議関係を樹立するに当たり、その活動の特性と範囲に対して、ならびに国連憲章第9および第10章に記された機能を実行する上で経社理またはその補助機関に提供されると期待される支援に対して、考慮がなされるべきである。
  2. 経社理およびその補助機関の活動のほとんどに関連し、第1条に記された分野において国連の目的の達成に対して大きな持続的貢献をするということを経社理の満足できる形で明示することができ、その組織が代表している地域の人々の経済的、社会的な生活に密接に関わっており、世界の異なる地域の多くの国における主要な社会集団を幅広く代表する多数のメンバーをもつNGOは、総合協議資格を有するNGOとよばれる。
  3. 経社理およびその補助機関によって行われる活動の一部の分野においてのみ特別な能力と関心をもち、協議資格を有する/求める分野で活動しているNGOは、特殊協議資格を有するNGOとよばれる。
  4. 総合協議資格または特殊協議資格をもたないが、経社理およびそのNGO委員会との協議に基づき、経社理または国連事務総長が、経社理もしくはその補助機関、またはその他の国連組織の業務に対して、それぞれの能力の範囲内で折々に有益な貢献をすることができると考えるNGOは、リスト(「ロスター」とよばれる)に登録される。このリストには、専門機関または他の国連組織との協議資格を有するNGOも含まれる。これらのNGOは、経社理またはその補助機関の要請に従って、協議に応じることができなければならない。NGOが総合協議資格または特殊協議資格を得ようとする場合、その組織がロスターに登録されているという事実そのものは、その地位を得る資格とはみなされない。
  5. 人権に関する関心のために特殊協議資格を与えられているNGOは、国連憲章、世界人権宣言、ウィーン宣言と行動計画の精神に従って、人権の促進と保護という目標を追求しなければならない。
  6. 主な目的の1つが国連の目標および目的を促進すること、ならびに国連活動の理解を増進することである大規模なNGOには、協議資格が与えられることがある。

第 IV 部
経社理との協議

暫定議題
  1. 経社理の暫定議題は、総合協議資格を有するNGO、特殊協議資格を有するNGO、およびロスターに登録されているNGOに伝えられる。
  2. 総合協議資格を有するNGOは、その組織が特に関心を持つ事項を経社理の暫定議題に含むようNGO委員会が事務総長に要請することを、NGO委員会に提案することができる。
会議への出席
  1. 総合協議資格を有するNGOおよび特殊協議資格を有するNGOは、正式な権限を付与されたそれぞれの代表を、経社理およびその補助機関の公開会議にオブザーバーとして出席させることができる。ロスターに登録されているNGOは、その能力の範囲内にある事柄に関するそれらの会議に代表を出席させることができる。これらの出席の取り決めには他の形態の参加を付加することができる。
 
国連広報センター HP