町の施策反対署名者を役場職員が訪問:関ヶ原人権裁判
思想の自由侵害 違法 名古屋高裁判決
岐阜県関ケ原町で、小学校統廃合の反対署名をした住民を、町職員が「民意確認」を目的に戸別訪問を行ったことは、人権侵害にあたるとし、住民が町を相手に損害賠償を求めていた控訴審(名古屋高裁・岡光民雄裁判長〕で27日、住民側の主張を全面的に認める判決が出されました。
岡光裁判長は、浅井健太郎町長が町職員に命じて行った個別訪問は、民意確認が目的ではなく、町長自身の目的のために、住民の反対意見を封じるという不当な目的だったと認定、職員が住民を突然訪ねるという手段も正当化する余地はないと断じました。
判決文は、街の行為を、署名に関わった人たちの思想信条の自由、請願権などを「積極的に」侵害し、違法であると指摘。町に対し、原告一人につき5万5000円の損害賠償を支払うよう命じました。
小山哲弁護団事務局長は、「完全勝訴だ。一審でうやむやにされていた、憲法が定める4つの基本的人権に、誠実に向き合ってくれた。判決は原告・支援者らの運動のたまもの。高らかに勝利を宣言したい。」とのべました。
原告代表で、日本共産党の田中由紀子町議は、「署名をした親御さんたちの純粋な気持ちに対して、街は本当にひどいことをした。自由に意見を言える街にするために、町には二度としないと約束させたい。と述べました。
10年11月の一審判決(岐阜地裁)では、表現の自由と請願権の侵害は認めながら、戸別訪問は許されるとする判断で、原告・被告とも控訴しました。