◇オリンパスの損失隠し問題

 解任されたウッドフォード元社長が「不当に高額の企業買収が行われた」と問題を告発。同社が設置した第三者委員会は歴代経営陣のもとで財テクの含み損を隠すために複雑な会計操作が行われ、1348億円が損失の穴埋めなどに使われたと認定した。
毎日新聞 2012年1月27日 東京朝刊
 
 
毎日新聞 2012年2月27日 21時23分(最終更新 2月27日 22時10分)

オリンパス:新経営陣 社外から8人

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オリンパスの新社長への昇格が内定し会見する笹宏行執行役員(左)。右は高山修一社長=東京都新宿区で2012年2月27日午後6時22分、川平愛撮影
 オリンパスは27日、損失隠し問題を受けて退任する高山修一社長(62)の後任に、笹宏行執行役員(56)を昇格させることを正式発表した。会長には、主力銀行の三井住友銀行で専務を務めた木本泰行・日本総合研究所社長(63)を迎える。新経営陣は11人の取締役のうち8人を社外出身者が占め、不正の温床となったガバナンス(経営統治)を強化する方針だ。【久田宏、寺田剛】
 4月20日の臨時株主総会後の取締役会で正式に決める。高山社長ら現取締役11人は同日付で全員退任し、経営責任を明確にする。
 笹氏はオリンパスが世界シェア約7割を握る消化器内視鏡で世界初のハイビジョン内視鏡システムの開発に携わった。82年に入社以来、30年間、医療事業に携わってきた実績をテコに経営再建を目指す。この日の会見で「毀損(きそん)したブランドを取り戻すため、経営の仕組みを抜本的に改革する」と強調した。財務畑出身で元会長の菊川剛氏(71)らが財テクで不正に至ったのを踏まえ、ものづくりの原点に立ち返った経営を目指す。
 ただ、企業経営の手腕は未知数であることから、オリンパスが設置した経営改革委員会の蛭田史郎・旭化成最高顧問(70)をはじめ、後藤卓也・前花王会長(71)らを社外取締役に招く。この結果、社外取締役は現在の3人から6人に倍増。会見で指名委員会の来間紘・社外取締役は「(笹氏は)経営経験に乏しいとの指摘もあるが、社外取締役から経営の神髄をつかみ取ってもらいたい」と述べた。
 また、主力銀行出身の木本氏に加え、準主力銀行の三菱東京UFJ銀行で執行役員を務めた藤塚英明・千歳興産社長(56)も取締役に就任、取引行からのバックアップと監視・監督機能を強化した。
 新体制の当面の課題は財務の改善。昨年12月末現在の自己資本比率は4・4%まで低下。カメラなどの映像事業の不振などで12年3月期の連結決算は320億円の最終赤字になる見通しだ。笹氏は「他社との資本提携は選択肢の一つ」と述べ、ソニーや富士フイルムホールディングス、テルモなどとの交渉の行方が焦点となる。また「医療事業が中心になる」とも話しており、低迷が続くカメラ事業の合理化も検討課題となりそうだ。
 一方、臨時株主総会では、海外株主の動向も焦点になりそう。社外取締役の候補には一時、海外株主が推すカルビーの松本晃会長の名前が挙がったが、最終的には見送られた。オリンパス側は「理解は得られる」とみているが、株主総会での反発を招く可能性もある。