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判決直後の報告集会
 
 本日2月9日予防訴訟(国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟)の上告人375名に対して、最高裁(第1小法廷)は、処分の「事前差し止め請求は訴訟要件を欠く」という東京高裁判決と異なり「差し止め請求は適法」としたものの、国際人権条約違反については一切触れず、上告をしりぞける不当判決でした。
 
 しかし今回は、裁判官5名のうち4名が反対意見もしくは処分を懸念する補足意見を述べており、宮川光治裁判長は今回も都教委10.23通達に基づく職務命令は、憲法19条(思想及び良心の自由)に違反すると主張した上で、7ページにわたる反対意見を述べました。
 「不起立行為等を理由とした懲戒処分をめぐる一連の紛争について若干の所感を付す」として「 思想の多様性を尊重する精神こそ、民主主義国家の存立の基盤であり、よき国際社会の形成にも貢献するものであり、少数者の思想の自由に属することとして、許容するという寛容が求められている」「関係する人々に慎重な配慮を心から望みたい」と都教委に対して厳しく要求しました。 
 
 桜井龍子裁判官の補足意見は、「訴えは適法だが、職務命令違反の内容など戸別事情を立証する必要がある」と述べました。
 
 
 宮川光治裁判長反対意見より、
 
5 いわゆる「君が代訴訟」と呼ばれる事件のうち積極的妨害行為をともなわない単なる不起立行為等について、当審の第一小法廷での判決はこれまで本件を含め8件(昨年4件、本年4件)を数えることとなる。うち2件は北九州市の事件であるが、6件は東京都の事件である。
 同種事件の当審判決のうち、第二小法廷の1件(昨年)は東京都の事件であり、第三小法廷は4件(1件は平成19年のピアノ伴奏事件、3件は昨年)あるところ、1件は広島市の事件であるが、3件は東京都の事件である。
 その他、下級審に係属している事件の分布をみると、全国的には不起立行為等に対する懲戒処分が行われているのは東京都のほかごく少数の地域にすぎないことがうかがわれる。
 この事実に、私は、教育の場において教育者の精神の自由を保障するという、自由な民主主義社会にとっては至極当然のことが維持されているものとして、希望の明かりを見る。そのことは、子供達の自由な精神、博愛の心、多様な想像力を育むことにも繋がるであろう。
 しかし一部の地域ではあっても、本件のような紛争が繰り返されるということは、誠に不幸なことである。
 こうでなければならない、こうあるべきだという思い込みが、悲惨な事実をもたらすということを、歴史は教えている。国歌を斉唱することは、国を愛することや他国を尊重することには単純につながらない。
 国家は、一般にそれぞれの国の過去の歴史と深いかかわりを有しており、他の国から見るとその評価はさまざまである。
 また、世界的に見て、入学式や卒業式等の式典において、国家を斉唱することが広く行われているとは考え難い。
 思想の多様性を尊重する精神こそ、民主主義国家の存立の基盤であり、よき国際社会の形成にも貢献するものと考えられる。
 幸いにして、近年は式典の進行を積極的に妨害するという行為は見られなくなりつつある。そうした行為は許されるものではないが、自らの真摯な歴史観に従った不起立行為等は、その行為が式典の円滑な進行を特段妨害することがない以上、少数者の思想の自由に属することとして、許容するという寛容が求められていると思われる。関係する人々に慎重な配慮を心から望みたい。