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         ◆ 地震と原発事故情報 その235
          3つの情報をお知らせします(11月15日)
   
★1.事故後の福島第一原発敷地の初公開-息をのむ異様な光景
     吉田所長「高線量、まだ危険」
     「もう死ぬ」数度思った、安定したのは7、8月
 ○13日(日)の新聞は福島第一原発の事故後の敷地内初公開の記事を一斉報道した。
原発事故の被害の巨大さ、生々しさの一部を表している。報道記事の要点を紹介します。
                               編集部)
 (以下は生々しい事故の傷跡を示す報道写真)
 ○政府は十二日、東京電力福島第一原発の敷地内を、三月の事故発生後初めて報道陣に公開した。
 人の笑みが消えた警戒区域、外壁が吹き飛び、いまでも崩落が続く原子炉建屋…。顔を覆うマスクを装着し、防護服をまとい完全防備した記者が見たのは、思わず息をのむ異様な光景だった。
 ○収束作業の指揮を執る吉田昌郎(まさお)所長が現地で初めて取材に応じ、炉は最も重要な冷却が進んでおり、安定しているが、放射線量が高いなど環境は今も厳しい」との認識を示した。
 吉田所長は福島県民と国民に対し、「心よりおわび申し上げたい」と陳謝した上で「今、働いている人はほとんどが福島の人。私も十四年ここに住んでおり、なんとかしたいと思っている」と述べた。
 ○事故発生当時を振り返り、「次がどうなるか想像もつかない中でできうる限りやった。『死ぬだろう』と思うことが数度あった」。2号機に冷却水を入れられなかった三月半ばには「コントロール不能になって終わりかなと感じた」という。
 当面の課題として放射線量の高さを挙げ、「敷地内はまだ危険な状態」との認識を示した上で、次第に作業員の被ばく線量が増えていく状況に、「人繰りが頭の痛いところだ」と語った。
 ○報道陣は、細野豪志原発事故担当相の現地視察に同行する名目で原発敷地内に入った。
 敷地内の滞在時間は三時間余りで、防護服や全面マスクを着用。1~4号機を中心に、車内から見て回った。ただ取材場所や撮影は厳しく制限された。国は「核物質の安全や記者を被ばくから守ることを考えた」と制限の理由を説明している。
 
 ★2.日本政府が原発輸出に拘泥する理由          たんぽぽ舎 山崎久隆
 COP17気候変動枠組み条約締約国会議のダーバン会議が迫っている。このCOP17で日本が提案しようとしているのがCDM、クリーン開発メカニズムという仕組みに原発を組み入れようというものだ。
 民主党政権による原発輸出強行の背景には単純な経済的利益追求だけでは無く、こういう背景もあることを指摘する。
■クリーン開発メカニズム■
 クリーン開発メカニズムとは、97年12月の京都議定書に規定される「柔軟性措置」と呼ばれる削減数値目標を達成するための仕組みのひとつ。京都議定書第12条に定められており、直接国内の排出削減を行うほか「共同実施Joint Implementation: JI、第6条)」「排出量取引(Emission Trading: ET、第17条)」と「クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism: CDM、第12条)」が認められている。これに森林面積の増大を総
称して「京都メカニズム」と呼んでいる。柔軟措置のひとつである「共同実施」に似ているが、「発展途上国(非付属書I国)」におけるプロジェクト投資を管理する。
 具体的には、先進国と途上国が共同で温室効果ガス削減プロジェクトを途上国において実施し、そこで生じた削減分の一部を先進国がクレジットとして得て、自国の削減に充当できる仕組み。なお、このとき先進国が得られる削減相当量を「認証排出削減量(CERs)」という。2001年11月にモロッコのマラケシュで開催されたCOP7で、運用に関するルールが決められた(マラケシュ合意)。【環境EICネットより抜粋】
 ■CDMと原発の関係■
 CDMには現時点では原発は含まれない。盛んに「原発はCO2を出さない」と国や原子力産業界は宣伝にこれつとめているが、実態として原発輸出はCO2削減の取り組みには含まれないため、原発を輸出してもCO2の削減実績に加えることが出来ない。もちろん輸出先の国で原発が稼働することにより、CO2が現実に減ればその国の削減実績になるわけだが。日本は、京都議定書の再延長に反対しながら一方で原発をCDMに加えるよう主張する。これが環境NGOが日本を「化石賞」(気候変動対策に前向きな取り組みを見せない国に対して、NGOがバッドジョークとして与える不名誉な賞)に選んだ最大理由だ。
 ■メディアの反応は■
 さて、野田首相が唐突に「日本国内では脱原発依存と言いながら原発輸出」という二重基準に対して日本のメディアはどういうとらえ方をしたか。
 いくつかの社説を紹介する。
 例えば正当に野田政権のダブルスタンダードを社説で批判したのが沖縄タイムスだ。
「国内では脱原発依存の方向性を打ち出しながら、海外へは原発を売り込む。野田政権の原発へのスタンスは、矛盾していないか。」
 原発の無い沖縄の新聞社が端的に政府の矛盾を突く。 さらに地方紙を中心に厳しい批判が続く。原発輸出を止める世論は確実に大きくなりつつある。
■各新聞の論調■
 -----◇中日新聞◇-------------------------------------------------
 野田佳彦首相がベトナムのズン首相との会談で原発輸出に道を開いた。国内で原発依存引き下げを言い、海外には積極的に売り込む。あいまいな二重基準であり、原発推進への前のめりが目立つ。
 両首脳は日本からベトナムへの原発輸出で合意した。原発輸出は菅直人前首相のトップセールスで決まった経緯がある。もちろん信義は守るべきだが、野田首相は国会で「原発依存度を可能な限り引き下げる」「安全性が確認された原発は再稼働」「省エネルギーや再生可能エネルギーの最先端モデルを世界に発信」と表明したのではなかったか。
 -----◇新潟日報◇-------------------------------------------------
 国内では「脱原発依存」を掲げていながら、一方で輸出に踏み出すのは二重基準にほかならない。政府には再考を求めたい。
 -----◇神戸新聞◇-------------------------------------------------
 大きなトラブルが起これば、広範囲にわたって住民生活が破壊される。使用済み燃料など廃棄物の最終的な処理方法も定まっていない。安価でクリーンとされていた原発が致命的な問題点を抱えていることを忘れたのだろうか。
 ----◇西日本新聞◇-------------------------------------------------
 日本は、ベトナムなど4カ国と原子力協定に署名して国会承認待ちとなっており、インドなど5カ国と交渉中だ。重大な事故を起こした日本には、その教訓を生かす責任がある。まずは足元の事故を徹底的に検証し、原発輸出20+ について国会や政府の論議を尽くすべきだ。
 -----◇信濃毎日新聞◇-------------------------------------------------
 福島の深刻な事故を機に、日本は原発依存度を低めていく課題を背負った。できるか否かは、再生可能エネルギーや省エネ技術の普及、開発にかかる。
 脱原発を明確にしたドイツは、原発以外の技術革新や研究に力を入れている。日本も積極投資しないと、水をあけられる。
 国内のエネルギー政策とともに、原発の輸出問題を国会でもしっかり論議すべきだ。
 -----◇信濃毎日新聞◇-------------------------------------------------
 輸出推進の背景には、経済界の圧力があるとされる。米国やフランスなど原発推進国への配慮、原発ビジネスに経済のけん引役を担わせたいという国の思惑もあるようだ。いずれにせよ、受け入れられるものではない。
 ドイツは2002年に脱原発法を制定した。当時のシュレーダー首相が強硬に反対する経済界と交渉を続け、合意にこぎつけた。98年は4%だった自然エネルギーによる電力量を17%に伸ばした。現在も拡大を図っている。
 日本にもできるはずだ。問われるのは政府のやる気である。原発に過剰に依存し、自然エネルギーの導入を先延ばしにしてきた産業や社会の構造を変えていくことこそ、福島の事故からくみ取るべき教訓であるはずだ。
【10月20日トルコ原発輸出に対する社説】
 ★3.<テント日誌 11/14()
     経産省の姑息な小細工 女性達のカエレコールに囲まれて
       ―― 経産省前テントひろば 65日目 ――
  11月14日、晴れ、夜は小雨模様。
  週明けのこの日、予期していたように経産省は新たな策動に打って出た。9時半頃、経産省の 職員だか下請けの作業員だか5~6人が警備課長に引き連れられて登場。私服刑事10名程が見守っている。いつものように「不法占拠の撤去」を伝えると同時に、バリカーの補強を始める。
  垂れ下がっていたチェーンを張り直し、黒と黄の縞模様の横棒をくくりつけ、バリカーが下がらないように鍵をかける。作業員は何を聞かれても「経産省の指示に従ってやってる」の1点張り。
  当初、20人程であったこちら側は、10時頃になると昨夜の日誌を見てということで続々増え、40人程に膨れあがる。なんとその7~8割が女性。テント受付・入り口付近への横棒取り付けには女性達が座ったまま抵抗。取り囲んでいる40名の人達の中からは期せずしてカエレコール。経産省はそれ以上の作業を諦め撤収した。
  11時半頃に、テントひろばへの妨害行為を止めるようにという「緊急の申し入れ」を経産省前テントひろば名で提出。また、個人で経産省に抗議文や要望書を提出した人も。
  経産省は右翼に叱咤されての姑息な小細工など止めるべきである!
  昼間、女性達が真ん中のテントでカフェを開店。カレーやコーヒーをご馳走に。夜には鍋を囲んで 盛り上がる。
  午後1時過ぎに大口弁護士が来訪。大衆的活動を強化することや弁護団体制を形成すること等を打ち合わせする。夕方には一ノ瀬弁護士が来訪。
 今日もテントに集まった人は常時20名、合計100名を超える。寝袋、毛布の差し入れあり。寒くなるこれからへの気遣いに感謝。
  吉報あり。11/13福岡1万人行動への参加者は15000人。集まったカンパは500万円とのこと。
 あの玄海4号再稼働をみて、九州は怒りに燃え上がっているに違いない。
 昨日の日誌で経産省は国有地を私物化していると書いたが、少し付け加えておきたい。経産省・電力会社ー原子力村はこの国を私物化し、人々の命・生活・地域社会を弄び、危険に晒しているのだと。
 そして全国から怒りの炎は燃え上がりつつあると。
                              ( 文責 Y・T)