◆ 国旗国歌法の今
   深刻な学習権・教育権の侵犯

 「日の丸・君が代」強制反対学校に自由を!として11月2日、「良心・表現の自由を!」声をあげる市民の会や被処分者の会など15団体が共催して衆院第二議員会館会議室で、会場が満員の状況で院内集会を開いた。終了後、あらかじめ提出されていた申し入れ・質問状に対する回答をその場に出向いた文科省官僚に求めた。


 ◆ 東京・大阪の闘い結ぶ
 集会では、「最高裁判決をよみとく」と題して、東京教育の自由裁判弁護団の水口洋介弁護士、澤藤統一郎弁護士、「東京都教育行政の問題点」を東京学芸大学准教授の大森直樹さん、「君が代・日の丸強制の背後にある歴史認識を問う」、と立教大学各誉教授の山田昭次さんが訴えた。
 さらに、渦中の大阪から「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪の井前弘幸さん(大阪府立高校教員)が、東京からは被処分者の会の近藤徹さんがそれぞれの実情を訴えた。


 ◆ 「良心・表現の自由を」訴える
 水口弁護士は「日の丸・君が代問題は、思想・信条の自由の問題にとどまらず、教育の自由の侵犯だ。子どもが立たないと教師に厳重注意処分が発せられている。子どもの学習権、教師・保護者の教育権を侵している」と語った。
 澤藤弁護士は「一連の処分攻撃は踏み絵であり、思想統制・弾圧である。憲法19条(思想・良心の自由)は国家と個人の問題を規定している。最高裁の一連の判決は間接的制約論をとることによって、人権の砦としての役割を放棄している。最高裁では次善の策として裁量権の乱用が争われている」と訴えた。
 大森准教授は、「東京都の教育行政は、教員統制、教育内容の統制、教育制度の改悪と進んでいる」と言及した。
 山田立教大学名誉教授は「都教委の教育行政が、近・現代日本のアジア侵略や植民地支配に対する批判的認識を自虐とみなし、排他的な民族主義に基づいて行われている」と看破した。
 大阪の井前さんは「橋下府政下の日の丸・君が代の条例化と教育基本条例案などの提案を、府と大阪市のダブル選挙で焦点化していくことが重要、民意を反映させるためにあらゆることを行う。それでも府議会は維新の会が多数派のため予断を許さない」と、注目と支援を訴えた。
 東京の近藤さんは、処分取り消し訴訟が最高裁で争われていることから、最高裁要請行動の取り組みを語った。
 院内集会には社民党や共産党の議員も出席し挨拶した。

 ◆ 文科省交渉
 あらかじめ提出されていた強制反対ホットライン大阪の質問状は11項目にわたって具体的に質している(要旨)。

 ○地方議会で、教育基本法とは別に教育の理念および目的を定めることに違法性はないか

 ○府教育委員会委員が「目標を実現する責務を果たさない場合」には「罷免事由に該当する」としているのは、地教行法に違反しないか

 ○教員の人事評価を「相対評価」とし毎年5%を最低の「D評価」とすることを義務づけ、2回連続してDであった教員等を分限免職処分の対象とする、「職務命令違反」3回で分限免職とすることなどを規定している。任命権者である教育委員会の裁量を完全に否定しているが違法性はないか

 ○3年度連続で入学定員を入学者が下回る府立高等学校の統廃合を義務づけているが違法性はないか

 ○条例案は「府の教育に関する条例のうち最高規範」とあるが、条例が「最高規範」を謳い、法律に基づくその他の条例や規則を制約することに違法性はないか、など。

 しかし、文科省は文書による回答を拒否し、八重山教科書問題などでは助言・介入などを行っているにもかかわらず、大阪府教育条例案については審議中であり、違法があれば司法の問題となるとして、不干渉を貫いた。
 主催者は再度の要請の場を要求して散会した。

『週刊新社会』(2011/11/15)
 
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