国民生活センターの在り方を含む消費者行政全体の
機 能 強 化 の た め の 第 三 者 機 関 の 設 置 を求める意見書
機 能 強 化 の た め の 第 三 者 機 関 の 設 置 を求める意見書
2 0 1 1 年( 平成2 3 年) 9 月2 9 日
日本弁護士連合会
日本弁護士連合会
第1 意見の趣旨
1 消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の三者を含む消費者行政全体の在り方について検証する第三者機関を, 内閣官房ないし内閣府大臣官房など, 消費者行政全体を検証するにふさわしい場所に設置すること。
2 消費者庁が, 情報共有や人事交流等の「試行」を行う場合は, 一元化をなし崩し的に進めるものであってはならず, 第三者機関の意見を踏まえ,客観的な評価・検証に耐え得るような方法で行うべきである。
第2 意見の理由
1 第三者機関の設置について
国民生活センターの在り方については,細野豪志前内閣府特命担当大臣( 消費者担当)が本年8 月2 6 日,「国民生活センターの在り方の見直しについて」と題する文書において表明したとおり,「第三者を含めた検証の機会も設けた上で」「政府の独立行政法人改革の動きを視野に入れて」行うこととなっている。
この大臣の判断は,消費者庁が進めてきた「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」の結論に対する消費者団体・弁護士会からの強い反対や消費者委員会の意見,参議院消費者問題特別委員会での国会審議などを踏まえて,国民生活センターの各機能の一元化を事実上白紙撤回し,より広い見地からの検討を行うこととしたものである。
この大臣の判断は,消費者庁が進めてきた「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」の結論に対する消費者団体・弁護士会からの強い反対や消費者委員会の意見,参議院消費者問題特別委員会での国会審議などを踏まえて,国民生活センターの各機能の一元化を事実上白紙撤回し,より広い見地からの検討を行うこととしたものである。
こ の よ う な 経 緯 に 鑑 み れ ば ,「第三者を含めた検証」の対象は,単に先行的な「試行」の検証にとどまらず,消費者庁及び消費者委員会設置法附則第3 項に基づく消費者行政全体の更なる整備を目指すための検証であるべきである。
そして,こうした広い観点での検討は,検討の対象となる消費者庁内部で行うべきではなく,内閣官房や内閣府大臣官房など,消費者行政全体を検証するにふさわしい場所に設置された第三者機関において行う必要がある。またその第三者機関は, 消費者団体や弁護士,有識者等によって構成されるべきであり,
消費者庁・国民生活センター
・消費者委員会はいずれもオブザーバーという立場で協力すべきである。
この点について,消費者庁が設置を準備している「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議( 仮称)」は, 大臣ではなく副大臣の下に設置されようとしている点,検証の対象が国民生活センターの在り方に限定されている点で,設置そのものに疑問が残る。このため検証会議( 仮称)の設置については,更に慎重に検討すべきである。
2 先行的な「試行」について
消費者庁は, 既に, 国民生活センターの職員を消費者庁に出向させながら,消費者庁職員を国民生活センターに出向させず単なる研修として派遣するに留めるなど,「試行」の一環として挙げられている人事交流でありながら,一方的な「一元化」を事実上強行しているのではないかと危惧される行動をとっている。
しかしながら, 細野前大臣の上記文書の趣旨は, あくまで一元化を白紙撤回した上で第三者を含めて検討する,というものであり,先行的な「試行」はその検討材料として位置付けられるにすぎない。したがって,かかる前大臣の意思を無視して一元化を事実上進めることは許されない。
そもそも国民生活センターの各機能の消費者庁への一元化は, 国民生活センターが有していた各機能を大幅に後退させるおそれがあるものであり,安易な「先行」によって,こうした危惧が現実のものとなることは絶対に避けなければならない。
しかしながら, 細野前大臣の上記文書の趣旨は, あくまで一元化を白紙撤回した上で第三者を含めて検討する,というものであり,先行的な「試行」はその検討材料として位置付けられるにすぎない。したがって,かかる前大臣の意思を無視して一元化を事実上進めることは許されない。
そもそも国民生活センターの各機能の消費者庁への一元化は, 国民生活センターが有していた各機能を大幅に後退させるおそれがあるものであり,安易な「先行」によって,こうした危惧が現実のものとなることは絶対に避けなければならない。
また, あくまで今後の消費者行政の在り方を検証するための材料として,一定の「試行」は許されるとしても,重要なのはその「試行」が客観的に検証可能であり,建設的な議論のための資料となり得ることである。したがって, 「試行」を行うに際しては, 事実上一元化を先行する結果とならないよう十分な配慮を行うとともに,「試行」の内容・方法について事前に第三者機関で検討を行い,消費者行政の機能強化にとってプラスとなったのか否かについて客観的に検証可能かどうかを確認しながら行うべきである。
以 上
以 上