維新内 2条例に異論…大阪府議団意見交換会
大阪府の橋下徹知事が代表を務める地域政党・大阪維新の会が、府議会などに提案する「職員」「教育」両基本条例案を巡り、維新府議団が9、12日に行った非公開の意見交換会の詳しいやり取りが、内部資料で判明した。最下位の人事評価が2年続けば分限免職対象となる条文には「無理がある」「いじめが横行する」などと異論が続出。政治主導による教育改革を打ち出した全国でも例のない条例案に「法的に耐えられるのか」と不安も漏れるなど、揺れ動く維新議員の心境がうかがえる。
読売新聞が入手した内部資料では、維新府議57人のほぼ全員が出席し、2日で計約7時間半にわたって議論。両条例案は一部議員が内密に作成したため、初めて議論に参加する府議もおり、率直な戸惑いが漏れた。
職員条例案では、職員の5%を最下位ランクとする人事評価について、ベテラン議員が「優秀な人ばかりの職場でも、必ず5%を最低評価にするのは無理がある」と反論。相対評価を採用した民間企業で勤務経験がある議員も「各課でSやA評価の奪い合いがあり、短期目標ばかり頑張るようになった。いじめも横行した」と弊害を訴えた。
一方、教育条例案では、定数を3年連続で下回り、改善の見込みがない府立高校の統廃合について「(最寄りの高校が廃校になり)就学できない人は働きなさいという意味か」「過疎地から高校を取っ払うと、ますます過疎が進む」と反対意見が相次いだ。
府独自の学力テストの成績を市町村別、学校別に公表する規定では「公表ならテストに参加しないと、市町村から言われたらどうするのか」との慎重意見に対し、維新幹部が「府教委からの指導助言で対応する」と応酬する一幕も。9日の意見交換会では、松井一郎幹事長が最後に「様々な意見はあるが、一度、原案で府側に投げて意見を聞いてみよう」と引き取った。
維新は両条例案について、16日に府総務部、府教委と公開で意見交換する。
(2011年9月14日 読売新聞)
大阪維新の会2条例 16日に公開バトル
府職員・教委が徹底追及へ
大阪府の橋下徹知事が代表を務める地域政党・大阪維新の会が、20日開会の9月府議会に提案する「職員」「教育」両基本条例案を巡り、維新府議団と府総務部、府教委との意見交換会が16日、行われる。職員側が「数百の問題点がある」(府幹部)と猛反発するのに対し、維新側も「夜まで討論してもいい」と強気の姿勢を崩さない。普段は議員からの質問を受ける職員側が、「攻守逆転」して議員側を追及する異例の公開バトルとなりそうだ。
意見交換会は、議会では認められていない職員側の反論の機会を設けるよう、橋下知事が維新側に要請して実現することになった。職員の懲戒・分限処分基準を明文化した職員条例案は総務部、教育への政治関与をうたった教育条例案は府教委が担当し、それぞれ2時間ずつ行われ、メディアに公開する。
総務部は橋下知事の指示で公務員制度改革に取り組んできた実績を強調し、「条例は必要ない」などと主張する方針。各職場で人事評価が2年連続最低ランクの職員を免職や降格などの分限処分の対象とする内容などに対し、府幹部は「公務員の身分保障を侵す恐れがある」と指摘する。
維新府議団は内部の議論で、分限免職対象を「最低ランク」からいったん「最下位」に緩和。人事評価の上位割合を増やすなどの修正も行ったが、「民間より厳しくすべきだ」との意見で元の条文に戻し、厳しい姿勢で職員側に臨む。
府教委は、知事に教育委員の罷免権を付与する規定などを盛り込んだ教育条例案について、地方教育行政法などで求められている「教育の政治的中立性」を侵す恐れがあるとして、違法性を指摘する方針だ。
学力テストの学校別成績の公表を義務づける規定については、府教委幹部は「市町村教委の頭越しに押しつけるのは、維新が唱える地域主権に逆行する。子どもに悪影響を与えるだけ」と語気を強める。
これに対し、維新の松井一郎幹事長は「正当な意見は採用する」と修正に柔軟な構えを見せつつ、「甘っちょろい指摘は論破する。時間が足りなければ延長してもいい」と真っ向から受けて立つ考えだ。
橋下知事は、意見交換には参加せず、中立の立場を維持するという。
(2011年9月15日 読売新聞)