タンポポ舎 原田裕史さん
ホールボディカウンタについての質問とお答え
○ 初めてお便りをさせて頂きます。千葉県在住のKと申します。
先日、地元の国会議員さん(第一秘書の方ですが)に千葉県穴川にある放射線医学総合研究所のホールボディカウンターを千葉県のホットスポットと呼ばれる地域の人々が使えるよう開放して欲しいと要望を渡して参りました。
要望した理由として
・子どもを持つ親の“分からないままの不安”を軽減したい
・結果によって、地域で取り組むべき対策が推進・具体化されるのではないかとの思いがありました。
ただ、ホールボディカウンターはあまり正確に被曝が測れない、少なく出てしまう、いい加減な測り方をされてしまう、などの指摘もあると聞きました。
それが事実ですと、不安の解消どころか間違った安心感を与えるおそれもありますし、地域の除染への働きかけをかえって妨害することになるかも知れません。
今後、ホールボディカウンター使用開放の要望を出していくにあたり、注意点や話しの進め方(署名なのか要望書なのか国会議員なのか県議員なのか)をアドバイス頂ければと思い、お忙しいところ申し訳なく思いながらパソコンに向かっております。
勉強会に参加した上で、ご質問させて頂くのが筋だと承知しておりますが未就学児2人を抱えておりますため、参加が難しい環境です。
勝手を申しますが、どうぞ宜しくお願い致します。
○ K様 たんぽぽ舎の原田と申します。ご質問ありがとうございます。
放医研のホールボディカウンタがどの程度の精度なのかはわかりませんが、おそらく精度よく体内の核種まで同定して精度よく測ることができると思います。
ですが、もしも人が汚染されているとしたら環境も汚染されていますので環境雑音に紛れてよくわからないということになる可能性も高いと思います。
原発作業者の場合は放射性物質が「濃い」場所で作業して汚染し「薄い」場所で検査をするのでノイズに紛れることは少ないですが、今回の福島第一原発事故でも周辺の放射線が強くて福島第一原発ではホールボディーカウンターが使えなくなったと報道がありました。
また、原発作業者の場合、作業を始める前にホールボディカウンターで計測をしておいて、作業が終了する際にまた計測を行うことで作業によって増えた放射性物質の量がわかりますが、一般の方は現在の値しかわかりませんから、評価が難しいと思います。
ホールボディカウンタで測ることができるのがガンマ線とX線に限られるのでアルファ線やベータ線を測ることができないので「正確に被曝が測れない」「少なく出てしまう」という人がいるのではないでしょうか。原発事故の汚染ではアルファ線のみの汚染は考えられないのでガンマ線が多ければアルファ線も多くガンマ線が少なければアルファ線も少ないと考えることができると思います。
「いい加減な測り方をされてしまう」という評価に関しては、主観的な問題ですが、一番問題だと思います。そのような懸念がある場合は、どんなに計測をしても不安の解消につながらないので、労力が無駄になります。
そういうわけで、不安を解消という観点からみると、計測機関をどれだけ信頼できるか、という点が一番重要な点だと思います。
要望の提出先は、千葉県民を測るということであれば、千葉県の議員を動かすことが効果的だと思います。国の場合は千葉県民を測るよりも福島県を優先するでしょう。
以下は個人的な意見ですが、
ホールボディカウンターによる検査を受ける意味が無いとは思いませんが、それに対する労力としては余り効率的ではないように感じます。
放射線の害というのは低線量の場合確率的にしかわかりません。少し他の人よりも余分に放射線を浴びていても少しガンなどになる確率が増えるだけです。その「少し」の部分に一喜一憂するのはストレスを増やす結果になります。
宝くじを一枚買うのと二枚買うので二枚買った方が当たる確率は2倍になりますが、あたり易さは大した違いはありません。二枚買った方が先に当たる保証もありません。同様に被ばくの量が少なくてもガンになるときはなります。いくらか被ばくが多くても、ならない人はなりません。
ですから、個人の計測よりも、地域全体として被ばくを減らす(当たりを減らす)ことを考えることが大切だと思います。
地域の対策としてはホールボディカウンターで個々人を計測するよりも土地の汚染を調べる方が同じ予算労力であれば効果的ではないでしょうか。
土地の汚染を調べれば人の汚染も大体は判りますし、個々人の汚染の差を計測することは差別にもつながります。個々人の汚染を見ずに全体の汚染量を見るためには土壌汚染を調べるのが良いと思います。
取り急ぎ以上です。よろしくお願いします。
ホールボディカウンタについての質問とお答え
○ 初めてお便りをさせて頂きます。千葉県在住のKと申します。
先日、地元の国会議員さん(第一秘書の方ですが)に千葉県穴川にある放射線医学総合研究所のホールボディカウンターを千葉県のホットスポットと呼ばれる地域の人々が使えるよう開放して欲しいと要望を渡して参りました。
要望した理由として
・子どもを持つ親の“分からないままの不安”を軽減したい
・結果によって、地域で取り組むべき対策が推進・具体化されるのではないかとの思いがありました。
ただ、ホールボディカウンターはあまり正確に被曝が測れない、少なく出てしまう、いい加減な測り方をされてしまう、などの指摘もあると聞きました。
それが事実ですと、不安の解消どころか間違った安心感を与えるおそれもありますし、地域の除染への働きかけをかえって妨害することになるかも知れません。
今後、ホールボディカウンター使用開放の要望を出していくにあたり、注意点や話しの進め方(署名なのか要望書なのか国会議員なのか県議員なのか)をアドバイス頂ければと思い、お忙しいところ申し訳なく思いながらパソコンに向かっております。
勉強会に参加した上で、ご質問させて頂くのが筋だと承知しておりますが未就学児2人を抱えておりますため、参加が難しい環境です。
勝手を申しますが、どうぞ宜しくお願い致します。
○ K様 たんぽぽ舎の原田と申します。ご質問ありがとうございます。
放医研のホールボディカウンタがどの程度の精度なのかはわかりませんが、おそらく精度よく体内の核種まで同定して精度よく測ることができると思います。
ですが、もしも人が汚染されているとしたら環境も汚染されていますので環境雑音に紛れてよくわからないということになる可能性も高いと思います。
原発作業者の場合は放射性物質が「濃い」場所で作業して汚染し「薄い」場所で検査をするのでノイズに紛れることは少ないですが、今回の福島第一原発事故でも周辺の放射線が強くて福島第一原発ではホールボディーカウンターが使えなくなったと報道がありました。
また、原発作業者の場合、作業を始める前にホールボディカウンターで計測をしておいて、作業が終了する際にまた計測を行うことで作業によって増えた放射性物質の量がわかりますが、一般の方は現在の値しかわかりませんから、評価が難しいと思います。
ホールボディカウンタで測ることができるのがガンマ線とX線に限られるのでアルファ線やベータ線を測ることができないので「正確に被曝が測れない」「少なく出てしまう」という人がいるのではないでしょうか。原発事故の汚染ではアルファ線のみの汚染は考えられないのでガンマ線が多ければアルファ線も多くガンマ線が少なければアルファ線も少ないと考えることができると思います。
「いい加減な測り方をされてしまう」という評価に関しては、主観的な問題ですが、一番問題だと思います。そのような懸念がある場合は、どんなに計測をしても不安の解消につながらないので、労力が無駄になります。
そういうわけで、不安を解消という観点からみると、計測機関をどれだけ信頼できるか、という点が一番重要な点だと思います。
要望の提出先は、千葉県民を測るということであれば、千葉県の議員を動かすことが効果的だと思います。国の場合は千葉県民を測るよりも福島県を優先するでしょう。
以下は個人的な意見ですが、
ホールボディカウンターによる検査を受ける意味が無いとは思いませんが、それに対する労力としては余り効率的ではないように感じます。
放射線の害というのは低線量の場合確率的にしかわかりません。少し他の人よりも余分に放射線を浴びていても少しガンなどになる確率が増えるだけです。その「少し」の部分に一喜一憂するのはストレスを増やす結果になります。
宝くじを一枚買うのと二枚買うので二枚買った方が当たる確率は2倍になりますが、あたり易さは大した違いはありません。二枚買った方が先に当たる保証もありません。同様に被ばくの量が少なくてもガンになるときはなります。いくらか被ばくが多くても、ならない人はなりません。
ですから、個人の計測よりも、地域全体として被ばくを減らす(当たりを減らす)ことを考えることが大切だと思います。
地域の対策としてはホールボディカウンターで個々人を計測するよりも土地の汚染を調べる方が同じ予算労力であれば効果的ではないでしょうか。
土地の汚染を調べれば人の汚染も大体は判りますし、個々人の汚染の差を計測することは差別にもつながります。個々人の汚染を見ずに全体の汚染量を見るためには土壌汚染を調べるのが良いと思います。
取り急ぎ以上です。よろしくお願いします。