政府が、東京電力福島第一原発の1~3号機事故と、一九四五年の広島への原爆投下で、それぞれ大気中に飛散した放射性物質の核種ごとの試算値をまとめ、衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会に提出していたことが分かった。半減期が約三十年と長く、食品や土壌への深刻な汚染を引き起こすセシウム137の放出量を単純比較すると、福島第一原発からの放出量は広島原爆一六八・五個分に相当する。
福島第一原発事故は今年六月の国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に対する日本政府報告書、広島原爆については「原子放射線の影響に関する国連科学委員会二〇〇〇年報告」を基に試算されている。
セシウム137の放出量は、福島第一原発1~3号機が一万五〇〇〇テラベクレル(テラは一兆)、広島原爆が八九テラベクレル。このほかの主な核種では、福島事故で大量に飛散したヨウ素131(半減期約八日)は、福島が一六万テラベクレル、広島が六万三〇〇〇テラベクレルで、福島は広島原爆約二・五個分。半減期が約二十八年と長く、内部被ばくの原因となるストロンチウム90が、福島が一四〇テラベクレル、広島が五八テラベクレルで、広島原爆約二・四個分となる。
ただ、政府は特別委に対し、福島事故と広島原爆との比較自体には「原子爆弾は爆風、熱線、中性子線を放出し、大量の殺傷、破壊に至らしめるもの。放射性物質の放出量で単純に比較することは合理的ではない」と否定的な考えを示している。
試算値は川内博史衆院科学技術・イノベーション推進特別委員長が八月九日の同委員会で「広島型原爆の何発分かを政府として正確に出してほしい」と要求していた。
『東京新聞』(2011年8月25日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2011082502000106.html
▼ セシウム22%が東日本の陸地に 拡散分析、国立環境研
3月11~29日に福島第1原発から放出されたヨウ素131(左)とセシウム137(右)が地面1平方メートル当たりに沈着した量。単位はいずれもキロベクレル(国立環境研究所提供)
東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質は、東北だけでなく関東や甲信越など広範囲に拡散し、ヨウ素131の13%、セシウム137の22%が東日本の陸地に落ちたとの分析結果を、国立環境研究所の大原利真・地域環境研究センター長らが25日までにまとめた。
大原さんらは、大気汚染物質の拡散を予測するモデルを使い、3月11日の事故発生から3月下旬までに、放射性物質が東日本でどう拡散したかを分析した。
放射性物質は風に乗って移動し風や雨の影響で地面に沈着。北は岩手や宮城、山形の各県から、南は関東を越え静岡県にも届き、新潟や長野、山梨の各県にも到達した。
(共同)
『東京新聞』(2011年8月25日)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011082501000691.html
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