《第2回「日の丸・君が代」裁判 全国学習・交流集会 8・13学習・交流から》
 ◇ 控訴審に向けて

米山良江(東京教組「君が代」処分被解雇者・08年3月卒業式処分)

 ● 9月27日に控訴審が始まります(15時30分~東京高裁822号法廷)
 私の裁判は、退職する年に初めて処分を受け、合格していた非常勤教員の合格を取り消された事案です。
 私の処分の特徴は、義務制初の合格取消、初の非常勤教員の合格取消であることと、あえて処分を引き出した闘いであることです。
 つまり、85年以来ずっと不起立を続けているのに処分はない、それなのに同じ行為を続けている根津公子さんがなぜ解雇なのか、見せしめ攻撃ではないかと都教委に迫った点です。
 裁判は、戒告処分と解雇処分を併合して、一つの裁判にして進めています。
 4月18日に一審判決が出ました。戒告処分の取り消しも非常勤教員の地位確認も損害賠償も、いずれの請求も棄却するという不当判決でした。


 直ちに控訴し、7月12日に控訴理由書と私の陳述書を提出。陳述書では、校長が職務命令発出に及んだ経緯を時間を追って改めて具体的に展開し、都教委・葛飾区教委の不当な介入があったことを明らかにしました。
 7月15日に進行協議。こちらから理由書の補充予定があることを伝えると、都教委側が控訴人の主張が揃ってから本格的な反論をしたいと応え、一回での結審の可能性はなくなりました。
 原告が一人の裁判でもあり、今後何回の口頭審理が勝ち取れるかが、闘いになります。
 9月27目の一回目の公判では、10分程度の意見陳述を行います。

 ● 震災・原発事故下で、「日の丸・君が代」闘争はますます重要に!
 私には、小声で判決の主文だけを読み上げてさっさと引き上げた裁判官たちが、「直ちに健康に影響がない」と言い続けている政府や東電の幹部、御用学者たちとダブって見えました。
 判決後いろいろ考える中で、私は原発事故と「日の丸・君が代」闘争が結びついていること、これからますます「日の君」闘争が重要な闘いになってくることを実感しました。
 今現実に国家や資本がやっていることは、解雇や賃下げや増税、様々な規制緩和です。これまで以上に新自由主義攻撃を激化させ、これまでできなかったことを「復興」を口実にして強行しようとしているのです。
 そこでは当然労働者・農民・漁民の生活再建と利害が激突します。その対立・分裂を押し隠そうと躍起になって国家や資本が煽っているのが、「がんばろう日本」だとか「国民一体」だとかのキャンペーンです。天皇が繰り返し被災地訪問をして、「国民的一体」のアピールの先頭に立っているのも、狙いは「復興」のためという口実で、国民総動員態勢をつくることではないでしょうか。
 最高裁が火事場泥棒のように立て続けに判決を出したのも、大阪橋下知事が君が代起立条例をこの時期に強行したのも、狙いは同じだと思います。
 攻撃の激しさは、強制している側の危機感の表れです。今必要なのは、私たちが原点に立ち返って堂々と不起立闘争を継続することです。
 原発政策における御用学者の役割を見るまでもありません。私たちは奴隷の道を拒否し、誇りをもって教育労働者としての立場を貫いているのです。教員は国策の伝達者ではありません!
 一人ひとりの思いや契機は様々です。しかし、公務員として憲法遵守義務を貫いた、教員としての職責を貫いた、それを通して子どもたちの思想・良心を守る行為をやったのだと言う思いは、同じだと思います。そのことを改めて確認し合おうではありませんか。
 今回の原発事故を通して、「国策」への懐疑・不信・怒りが一気に噴き出しています。この状況は、不起立行為への理解と共感を大きくつくり出せる状況でもあると思います。
 自らへの不利益を覚悟して誇りをもって行動したことがどれほど重要なことなのか、今回の原発事故を通して私は改めてつかんだ思いです。

 ● 原発と「日の君」強制は一体の攻撃です
 *原発も*「日の君」も、中曽根首相が「戦後政治の総決算」を叫んで進めてきたことで、一つの攻撃です。
 ①ウソとデマで塗り固めている。「原子力の平和利用」、「安全でクリーン」のウソ。「日の丸・君が代」も歴史的事実にふたをし、「通常想定されかつ期待されている行為」とごまかして押しつけてきた。
 ②原発は地域住民の反対の声を、札束と暴力で押さえ込んできた。「日の君」の強制も、教職員の反対の声を、処分と解雇の桐喝で潰してきた。
 ③御用学者の協力、労働組合の裏切りのうえに、裁判所のお墨付きをもって、増設や強制が続いてきた。
 ④しかし「核(原発)と人類は共存できない」という科学的真理、「子どもたちを戦場に送った教育を繰り返すな」という歴史的道理は、誰も否定できない。
 「戦前のような教育を繰り返すな」、それは全ての教育労働者の思いです。だから絶対に譲れない闘いとして「日の丸・君が代」闘争は、連綿と貫かれてきているのです。

 ● 「解雇撤回」は当然の要求
 控訴審は、「解雇の不当性=裁量権の逸脱」、「不起立は教育の不当な支配を許さない当然の行為」という点を前面に出して、闘っていきたいと考えています。
 これからも「強制絶対反対」を貫いて、団結して闘いを進めていきましょう。

≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
 今、教育が民主主義が危ない!!
 東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫
 http://wind.ap.teacup.com/people/5651.html