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 JCJ賞 贈賞式であいさつする早川達也氏(上)と広川隆一さんの記念講演(下)=13日、日本プレスセンター

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)の「市民とジャーナリストの集い」が13日、東京都内で開かれ、今年度のJCJ賞の贈賞式が行われました。
 原発の危険性について警鐘を鳴らし続けた活動が評価されてJCJ特別賞を受賞した「原発問題住民運動全国連絡センター」の伊東達也筆頭代表委員と「原発の安全性を求める福島県連絡会」の早川篤雄代表ら受賞者があいさつしました。
 同連絡会は、約40年間にわたる福島原発の住民運動のなかで、地震・津波の危険性とともに、労働者の被ばくの問題、防災計画の不備などを指摘し、政府や東京電力に抜本対策を求めてきました。早川さんは「『お前さんらがいろいろ騒いでいたが、何ごともなかったではないか』 と言われて終わることが私たちの使命だが、私たちの訴えが無視されて今回の結果になった。言葉に表しようのない無念さを感じる」と述べました。
 伊東さんは、「過酷事故は、日本の災害史上、最悪の国難を国民にもたらしている。国策がもたらした苦しみ、悩み、怒りを共有して、草の根の運動に今後も尽くしたい」と決意を語りました。
 集いでは、フォトジャーナリストの広川隆一さんが「福島元年 ジャーナリズムの責任」と題して記念講演。原発報道の在り方を問いました。


2011年度JCJ受賞作品

≪JCJ大賞≫受賞作品
NHKETV特集「ネットワークで作る放射能汚染地図~福島原発から2か月」
2011年5月15日放送
〔受賞者〕NHK ETV特集取材班
〔受賞理由〕福島原発事故の発生直後から、放射能汚染地図を作成しようと現場に入った学者・研究者たちを追って福島県内2000キロを走破し、汚染の実態と現場に残された住民や家畜の悲惨な状況を明らかにした。この汚染地図の作製は注目を集め、重要な判断材料となっただけでなく、非凡な着眼点と密度の濃い取材、それに「勇気を持って現場に入ったからこそできた番組だ」と高く評価したい。

≪JCJ大賞≫受賞作品
朝日新聞『大阪地検特捜部の元主任検事による欧州証拠改ざん事件』の特報及び関連報道2010年9月~
〔受賞者〕朝日新聞大阪本社・東京本社社会グループ
〔受賞理由〕郵便不正事件に端を発した「権力犯罪スクープ」、その後の検察の組織ぐるみ犯罪、冤罪事件の”闇の構造”をあばく糸口を開いた意義は大きい。このスクープがなければ、大阪地検の押収証拠改ざん問題が闇に葬られていた可能性が強い。これまで不可侵とされた検察の改革へ強い世論形成に貢献した。昨秋、新聞協会が追加贈賞しているが、間違いなく今期ジャーナリズムの大きな成果だ。

≪JCJ賞≫受賞作品
毎日新聞 「検証 大震災」2011年4月~6月
〔受賞者〕毎日新聞・震災検証取材班
〔受賞理由〕「人も国も立ち上がるには何が必要なのか―教訓を得るというには重すぎる出来事を後世にどう伝えればいいのか、あらゆる現場を見つめなおし、長い時間をかけて考え続けなければならない」―検証取材班の問題意識は深く広い。総力を挙げて現場に足を運び、写真・地図・データーを駆使して立体的に災害の実態に迫る。
現場にこだわり、関係者証言を積み重ねる検証報道の典型を示した。

≪JCJ賞≫受賞作品
月刊誌『世界1・5・6月号 原発特集』岩波書店 2010年12~5月刊
〔受賞者〕岩波書店「世界」編集部
〔受賞理由〕『原発安全神話』が目の前で脆くも崩れ去った今、改めて日本の論壇の劣化・”知の衰弱”に愕然とする。総合誌・論壇誌”冬の時代にあって孤軍奮闘する月刊誌「世界」の健闘は、特筆に値する。商業主義・多数派・俗論に抗う鋭角的な言論空間を持続的に堅持している。事故後の5月号「生きよう!」6月号「原子力からの脱出」はもちろんのこと、事故前の1月号の「原子力復興という危険な夢」の先見性と洞察力は特にすばらしい。