《第2回「日の丸・君が代」裁判 全国学習・交流集会 8・12諸行動から》
 ◆ 「新勤評反対訴訟」に関する公正判断を求める要請書
    <事件番号平成22年(行ツ)第218号、平成22年(行ヒ)第224号>

 大阪高等裁判所第4民事部(一宮和夫裁判長)は、標記訴訟の控訴審において1審の判断を追認し、上告人らの請求を棄却する判決を下しました。
 第1審・大阪地方裁判所の判決(吉田徹裁判長)は、「公権力による裁量権」を口実に、システムが憲法、教育基本法、学校教育法の制限を逸脱しているとまでは「断定」できなかったから、「違法性が認められない」と判示しました。
 上告人は、この一審判断の論理を覆す反論と証拠を控訴審において相当数提示しています。とりわけ、本件にかかわる「教職員評価育成システム」とその「評価結果」に基づく給与の格差付けによって、子どもの学ぶ権利がすでに侵害されていること、また将来における権利侵害必然であることを立証しています。
 本件制度が教育の協働性を破壊し「学校の活性化」に逆行する制度であることは、中田康彦(一橋大学)鑑定人が専門的な立場から意見書において立証し、上告理由書でも確認している事実に他なりません。


 上告人らが府立高校教職員を対象に無差別に行った「検証アンケート」(09年10月~11月府立高校教職員対象)でも、その事実が検証されていますが、その後、本件上告理由書提出後に大阪府教育委員会が行った調査(府立学校長・准校長、公立小・中学校長と全市町村教育長への悉皆調査と教職員5%抽出調査2010年8月6日アンケート締切、同年10月29日調査分析公表)でも同じ事実が確認されています。
 アンケートの結果、校長の74・1%、教職員の79・2%という圧倒的多数が、「システムによる給与反映は意欲・資質能力の向上につながらない」と回答し、システムを根本から否定しています。この事実は、報道各社も取り上げています。
 調査の中で、教職員はこのシステムが教職員の協力関係をいかに破壊し、同僚や校長への不信がどれほど増幅され、教育活動をダメにしているかを具体的に書いています。
 多くの校長が「公平な評価などできない」「職員の士気を低下させている」「みんな一生懸命やっているのに無理に差を付けてやる気がなくなっている」「チームワークがバラバラになっている」「説明しても納得してもらえない」「目立つことだけする職員が増えた」「廃止するべきだ」等々と切実に訴えています。

 原審判決は一審判決を追認しましたが、「本件システムを原因として、現に多くの教職員の士気を低下させ、協働性を損なわせている事実を認めることはできない。」と、私たちが立証した事実を「現に」「多くの」という形容を付けなければ否定できませんでした。
 その事実が、「現に」「多くの」教職員にとって事実であることが、府教委自身の調査によって明らかにされたのです。このような状況を放置すれば、本件制度が教職員をがちがちに支配することによって教育から自由を奪うだけでなく、子どもたちの学習権に取り返しのつかない損害をもたらすことになります。
 原審判決は、本件制度上の「疑問を持たざるを得ないようなケース」の存在を認め、問題があることを認めています。しかし、どのケースが「疑問」の対象であるのか、またそれがどの程度一般的であると認定できるのか等の判断を回避し、その被害とシステムとの関連をあいまいにしています。
 個々の事実を認めざるを得ないのに、「行政裁量」で容認する高裁の判断が正しいとするなら、子どもたちや保護者、教職員がシステムによってさらに広範で深刻な被害を受ける事態になるまで、法律は訴えがあってもその被害を無視するということになります。

 最高裁判所第3小法廷裁判官のみなさまに、本件上告に対する公正な判断をお願いする次第です。

 裁判官 大谷 剛彦 様
 裁判官 岡部喜代子 様
 裁判官 田原 睦夫 様
 裁判官 寺田 逸郎 様
 裁判官 那須 弘平 様

                    2011年8月12日
                    新勤評反対訴訟団事務局
                    事務局長 井前弘幸


≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
 今、教育が民主主義が危ない!!
 東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫