『コメ先物取引』は日本の主食の米をマネーゲームの対象にし、国民の主食を安定して供給することを逆行させて、価格の暴騰・暴落を繰り返すことになります。

 東北、北関東などコメどころが地震・津波による甚大な震災被害と東電による原発人災の上に、新たに新潟・福島豪雨でも甚大な被害をうけ、放射能汚染米でさらに消費可能な米の収穫量減少が確実な中で、さらに農家を痛めつけて、ますます消費者を不安に陥れる『コメ先物取引』などを認可するとは犯罪的です。

 すでに業者間の取引価格が震災前と比べて30パーセントも暴騰し、中小の卸業者や町のお米屋さんにコメが入らない状況すら起きているようです。
 全国農業協同組合中央会(JA全中)は「市場原理主義を徹底し更なる米価下落の恐れがある」「投機家のもうけのためにつくっているのではない」とJAグループは参加しないことを決め、先月29日の集会でも反対が決議されたとのこと。
 
 「主食を投機に投げ込む『コメ先物取引』を即刻中止せよ!」の声を広げましょう!

  
 

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 毎日新聞夕刊 2011年8月8日

 コメ先物取引:初値付かず…東京市場、72年ぶり再開直後

 東京穀物商品取引所(東京)と関西商品取引所(大阪)は8日、農林水産省から試験上場の認可を受けたコメ先物の取引を始めた。江戸時代に大阪・堂島で誕生し、戦時統制で1939年に途絶えるまで約200年間続いたコメ先物取引が、約72年ぶりに復活した。

 東穀取では関東産コシヒカリの先物価格が取引開始時点から値幅制限の上限を超えたため、売買を一時中断する「サーキットブレーカー」が発動され、初値が付かなかった。

 東日本大震災や福島第1原発事故、新潟・福島豪雨で東北、北関東などコメどころが甚大な被害を受けたため、需給が逼迫(ひっぱく)して値上がりするとの予想が増え、事前に設定された基準値を大幅に上回る買い注文が殺到。波乱の幕開けとなった。

 関西穀取では午前9時の立ち会いで、北陸産コシヒカリが60キロ=1万9210円(12年1月きり)をつけた。同10時の立ち会いでは一部取引がストップ高となった。

 コメの先物取引は、市場の需給実勢を反映させてコメの価格を形成するのが狙いだ。半面、投機資金が流入して価格が乱高下し、主食のコメがマネーゲームの対象になる懸念も指摘されていた。

 コメ先物は、低迷する国内商品先物取引の切り札として関係者が早期再開を働き掛けてきた。取引対象となる標準品は東穀取が関東産コシヒカリ(茨城、栃木、千葉県産)、関西商取は北陸産コシヒカリ(石川、福井県産)。

 ◇コメ先物取引◇
 江戸時代の1730年に幕府が公認した「堂島米会所」での年貢米の取引が起源。例えば、秋に収穫するコメを半年前に売買できる。営業日ごとに需給を反映した相場が公開されることで市場価格が透明化するほか、農家や流通業者が価格変動リスクを回避できる利点が指摘されている。農業関係者以外に相場の変動を利用して利益を狙う投資家なども取引に参加する。