<転送歓迎>(重複ご容赦)
・「都教委包囲首都圏ネットワーク」 
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の渡部です。

(東京地裁判決批判14回目です)

以上見てきましたように、
今回の東京地裁(青野裁判長)判決は、
この間の最高裁判決を受け、
全面的に都教委の主張を擁護し、
全面的に原告の主張を退ける、「大反動判決」となっています。

判決では先ず、
「判断の前提となる事実関係」について――

1989年の「学習指導要領」<国旗国歌条項>
により「国旗掲揚・国歌斉唱」が義務付けられ、それ以来都教委は
一貫して現場に指導してきたことを強調しています。

そして、この「学習指導要領」は、
1976年の「旭川学テ最高裁大法廷判決」により
「法的拘束性」がある、と行政側の解釈を前面に出しています。

しかし、1989年当時、「日の丸・君が代」はまだ
「国旗」とも「国歌」とも法制化されていませんでした。
にもかかわらず、文部省によって、
「学習指導要領」に勝手に「国旗・国歌」として記述されたのです。
これこそ「学習指導要領」の法律違反というものです。

しかし、そのことには全く目をつぶり、
1999年の「国旗国歌法」が出来ても東京では
「適正」な実施率が低かったとして、
2003年に「10・23通達」を出さざるを得なかった。
それに違反したのだから「処分」、「再発防止研修」は
不可避のものであった。

――と全面的に都教委の言い分を採用しているのです。

次に、(ア)から(コ)までの<争点>についても
全面的に都教委の主張を取り入れ、
最高裁判決をもさらに補強する形で、
ことごとく原告の主張を退けています。

そして、以下のようなことまで述べるに至っています。

 「本件不起立等は、児童・生徒にとって学校生活に有意義な
 変化や折り目をつけるために重要な学校行事である
 卒業式等の場において、公教育を担う教育公務員が、
 公教育の根幹である学習指導要領に基づき
 教育課程を適正に実施するために発せられた重要な職務命令
 に違反するという重大な非違行為であること。」
   
つまり、「不起立など絶対あってはならないものだ」と、
裁判所自ら声高に宣言しているのです。

しかも、今回の案件は2006年の「教育基本法改悪」以前の
案件だから、それ以後の案件に対する判決はよって知るべし、
というのでしょう。

これによって青野裁判長は、
原告らの主張を全面的に粉砕したので、
最高裁にも政府にも覚えめでたくなる、
と考えているのかもしれません。

しかし結局、一番肝心な問題、
<「君が代」は天皇制賛美の歌、天皇主権の歌>であり、
その歌を将来の主権者たる児童・生徒に義務付けることは
何を意味しているのかという問題、
つまり、<現在日本社会における主権者は誰か>
という問題については、
(最高裁も東京地裁も)<争点>としては取り上げず、
何も語ってはいないのです。

これについて取り上げたのは唯一、
2010年11月10日に東京高裁で出された
Nさん(東京の小学校教員)への判決だけだと思います。

Nさんは、「君が代」を「国歌」とすることの違憲性を問いました。
しかし、東京高裁はいろいろと言いわけしながら、
「(国旗・国歌法という)法律自体極めて抽象的であって
具体性がなく、裁判規範性としての意味を持たない
ものであるから、同法が憲法に違反するか否かという
司法判断にはなじまないものと言わざるを得ない。」
と、明確に司法判断を回避しました。

その後、Nさんは最高裁に上告しましたが、
この間の一連の最高裁判決同様、
<その(憲法19条)余の上告理由について>としてまとめられ、
「違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を
いうもの」として、簡単に退けられています(7月4日)。

要するに裁判所は、
これにかかわると大変なことになるので、
これにかかわりたくないのです。

次回、そのNさんの『上告理由書』から一部を紹介します。

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②『第2回 8・12~13「日の丸・君が代」裁判 全国学習・交流集会』

<場 所> 社会文化会館(メトロ永田町下車徒歩6分)
<内 容>
 ・8月12日(金) 
    13時 社会文化会館第2会議室集合
    14時~17時 諸行動(最高裁要請、文部科学省交渉など)   
    17時30分~19時30分 交流集会 (社文地下食堂)
 ・8月13日(土) 社会文化会館第1会議室
    9時30分~12時30分 1、諸行動の報告
                  2、各地からの報告13時30分~17時   
                  3、討論
<主催> 「日の丸・君が代」裁判全国学習・交流集会実行委員会

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