= 8月の全国高校総合文化祭 =
▼ 不安の中 福島開催
「文化部のインターハイ」と呼ばれる全国高校総合文化祭が、今年は福島県で八月に開かれる。福島第一原発の事故後、半径三十キロ圏内にかかる南相馬市やいわき市での開催は取りやめたが、福島市などの各会場では依然高い放射線量が計測されている。参加辞退の動きも出ており、保護者の不安は解消されていない。(佐藤圭)
▼ 30㌔圏内避ける 一部は県外実施
東日本大震災で会場予定施設の多くが被災した。さらに原発事故が長期化する中、三十五回目の開催が危ぶまれたが、結局、十五部門を県内、二部門を県外で開催することになった。
県内の開催期間は八月三~七日。
いわき市が会場だった器楽・管弦楽など二部門は、福島市などに会場を変更。
南相馬市で開く予定だった郷土芸能部門はいったん中止が決まったが、盛岡市で今月二十七~二十九日に開催することになった。演劇部門は香川県丸亀市に会場を移した。
会場が避難場所になっているマーチングバンド・バトントワリングなど三部門は中止。書道などは作品審査のみとする。
例年は二万人前後の高校生が参加するが、今回は部門縮小で県内三千人、県外九千人の計一万二千人程度になる。
▼ 放射線高く、参加辞退も
半径三十キ回圏内を避けたとしても、福島市などの県中央部や会津地方でも放射線量は高い水準だ。県の担当者は「警戒区域や計画的避難区域以外では、福島県民は普通に生活している。会場設定に当たっては、市町村単位の放射線モニタリング調査に基づき、問題なしと判断した」と説明。
全国高校文化連盟の松岡隆之事務局長は「すべての部門で福島県外の会場を探すのは難しかった。頑張ってきた生徒の思いに応えたい」と強調する。
だが、全国二十五校で、それぞれ一、二人程度の参加辞退者が出たという。県の担当者は「生徒は出たくても、放射能を心配する保護者の承諾が得られないケースがあったのではないか。特に原発から遠く離れた西日本の保護者が心配していたようだ」。佐賀県高校文化連盟の事務局は「個別の理由は把握していないが、例年よりも辞退者は多い」と明かす。
福島県には、放射能に関する問い合わせが五十八件寄せられた。これらの声に対応せざるを得なくなり、今月上旬、各会場の屋内、屋外の放射線量を測定し、ホームページに結果を公開した。
屋外で毎時一・八マイクロシーベルト、屋内でも○・三三マイクロシーベルトと高いところがあった。
県の担当者は「事故前に比べれば高いが、健康に害を与えるものではない。開会式後のパレードなど屋外活動はすべて中止した」と強調するものの、継続して調査する予定はなく、“アリバイ作り”の感は否めない。
教育評論家の尾木直樹氏は「会場の放射線量を毎日測定し、公表すべきだ。後は参加者の判断に委ねればいい」と批判する。
福島県内ではすでに県外に転校したり、夏休み中に遠くに“疎開”する子どもも多い。
内部被ばくの危険性に警鐘を鳴らす東京都内の市民グループの佐藤弓子さんは「大人が高校生に内部被ばくの危険性を説明し、納得を得たうえで中止すべきだ。夢を膨らませて準備したことが無駄になるのはつらいだろうが、将来、あの時の判断は正しかったと必ず思う。命を大切にすることは文化の中心だ」と話している。
『東京新聞』(2011/7/23【ニュースの追跡】)
≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫
http://wind.ap.teacup.com/people/5528.html
▼ 不安の中 福島開催
「文化部のインターハイ」と呼ばれる全国高校総合文化祭が、今年は福島県で八月に開かれる。福島第一原発の事故後、半径三十キロ圏内にかかる南相馬市やいわき市での開催は取りやめたが、福島市などの各会場では依然高い放射線量が計測されている。参加辞退の動きも出ており、保護者の不安は解消されていない。(佐藤圭)
▼ 30㌔圏内避ける 一部は県外実施
東日本大震災で会場予定施設の多くが被災した。さらに原発事故が長期化する中、三十五回目の開催が危ぶまれたが、結局、十五部門を県内、二部門を県外で開催することになった。
県内の開催期間は八月三~七日。
いわき市が会場だった器楽・管弦楽など二部門は、福島市などに会場を変更。
南相馬市で開く予定だった郷土芸能部門はいったん中止が決まったが、盛岡市で今月二十七~二十九日に開催することになった。演劇部門は香川県丸亀市に会場を移した。
会場が避難場所になっているマーチングバンド・バトントワリングなど三部門は中止。書道などは作品審査のみとする。
例年は二万人前後の高校生が参加するが、今回は部門縮小で県内三千人、県外九千人の計一万二千人程度になる。
▼ 放射線高く、参加辞退も
半径三十キ回圏内を避けたとしても、福島市などの県中央部や会津地方でも放射線量は高い水準だ。県の担当者は「警戒区域や計画的避難区域以外では、福島県民は普通に生活している。会場設定に当たっては、市町村単位の放射線モニタリング調査に基づき、問題なしと判断した」と説明。
全国高校文化連盟の松岡隆之事務局長は「すべての部門で福島県外の会場を探すのは難しかった。頑張ってきた生徒の思いに応えたい」と強調する。
だが、全国二十五校で、それぞれ一、二人程度の参加辞退者が出たという。県の担当者は「生徒は出たくても、放射能を心配する保護者の承諾が得られないケースがあったのではないか。特に原発から遠く離れた西日本の保護者が心配していたようだ」。佐賀県高校文化連盟の事務局は「個別の理由は把握していないが、例年よりも辞退者は多い」と明かす。
福島県には、放射能に関する問い合わせが五十八件寄せられた。これらの声に対応せざるを得なくなり、今月上旬、各会場の屋内、屋外の放射線量を測定し、ホームページに結果を公開した。
屋外で毎時一・八マイクロシーベルト、屋内でも○・三三マイクロシーベルトと高いところがあった。
県の担当者は「事故前に比べれば高いが、健康に害を与えるものではない。開会式後のパレードなど屋外活動はすべて中止した」と強調するものの、継続して調査する予定はなく、“アリバイ作り”の感は否めない。
教育評論家の尾木直樹氏は「会場の放射線量を毎日測定し、公表すべきだ。後は参加者の判断に委ねればいい」と批判する。
福島県内ではすでに県外に転校したり、夏休み中に遠くに“疎開”する子どもも多い。
内部被ばくの危険性に警鐘を鳴らす東京都内の市民グループの佐藤弓子さんは「大人が高校生に内部被ばくの危険性を説明し、納得を得たうえで中止すべきだ。夢を膨らませて準備したことが無駄になるのはつらいだろうが、将来、あの時の判断は正しかったと必ず思う。命を大切にすることは文化の中心だ」と話している。
『東京新聞』(2011/7/23【ニュースの追跡】)
≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫
http://wind.ap.teacup.com/people/5528.html