たんぽぽ舎です。【TMM:No1140】転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その125 ◆
5つの情報をお知らせします(7月21日)
★1.オルタナティブ電力システムをめざそう
日本の電力消費量は多すぎる。もっと削減を。
★2.勇気ある広瀬隆氏、明石昇二郎氏をサポートしよう
メールマガジン読者Iさんより
★3.柏市の清掃工場で基準8倍超のセシウム、
焼却灰から7万Bq/kgを検出。
セシウム汚染の長期サイクル化の可能性も。
★4.検証・原発再稼働なしで、電気は十分(東京新聞)
東京電力は東北電力に140万kw支援プラス西日本へも支援
「夏に電力危機が訪れる」はウソだった
★5.2つのお知らせ
・『放射能汚染の実態とこれからの私たち』講演会のご案内
・パンフレット『被ばく労働自己防衛マニュアル』の紹介
★1.オルタナティブ電力システムをめざそう
日本の電力消費量は多すぎる。もっと削減を。 山崎久隆
○ 今年の夏は冷房病(*)に悩まずに済みそうなことは幸いだ。外気温との差が5度といえば、28度の冷房に対して33度までは大丈夫と言うこと。列車や店によっては去年まで25度以下に冷房を効かせるところがあったが、それが無くなるだけでも快適かもしれない。
さて、電力不足キャンペーンは東電を通り越して関西方面に飛び火した格好。原発が全部止まれば足りなくなるキャンペーンだが、テレビではバラエティ番組ですらもはや「原発推進のためにやっている」「煽っているのでは」などとコメントされる始末。週刊ダイヤモンドでは「全原発停止でも供給に余力「西日本は電力不足」のウソ」と特集される始末。
王様は裸です。と最初に言い出したのはたんぽぽ舎だ!というわけでもないが、 原発止めても大丈夫という世論は確実に形成され、そのきっかけになったかもしれないことは嬉しい。
○ ただし、念のために強調しておけば、日本の電力消費量は多すぎることは間違いない。節電というと「がまんする」かの印象だが、電力消費量を削減する努力こそは正しい。もともと日本をはじめ「先進国」と呼ばれる「搾取する側」の国々はエネルギー浪費構造のもと世界中から資源を奪ってきたことは忘れてはならない。この反省に立つならば適切な規模にエネルギー消費量を削減すべきであり、電力だけで言うならば半減させる努力は必要だ。ピーク時1億8千万kwを半分程度に下げ、年間トータル1兆kwhを5千億kwhに引き下げることが出来れば、相対的に原発はもとより石油火力のように効率も悪く公害も出す電源を使わなくて済むし、自然を壊す揚水式もいらなくなる。
トータル5千億とは、ドイツ、フランスの規模だ。ドイツ8200万人、フランス6200万人なので人口は日本よりも少ないが、将来的に目指す目標の通過点にはなるだろう。
○ その過程で是非実行したいのが「段階別電力料金」。ピークを18000万kwとしてそれを三分割し、最初の6000万を供給義務のある送電量とし、次の6000万から12000万を「限定的供給義務を負う送電量」とし、次の12000万以上を「需給調整契約」とする。設備は当然18000万を準備するが、予備力は必要ない。予備力は需給調整に含めてしまえば、今すぐにでも8000万kw分の設備はいらなくなってしまう。夏冬のピーク時の数時間程度は常にどこかで需給調整が行われるというわけだ。
大規模な事故、大震災などが起きて供給能力に大きな問題が生じたら、「限定的供給義務を負う」6000万kw分の一部を止める。これはもちろんあらかじめ計画し、広報しておく。その備えがあればほとんど問題は起きない。なぜならば「供給義務のある6000万キロワット」は停電させない仕組みにすれば良いからだ。
このためには送電系統を3系統作る必要があるが、現在の送配電システムを改造すれば出来る。当然系統ごとに電気料金も「低」「中」「高」の区分を付ける。この3系統分割により、必要電力量も設備も大きく減らせるだろう。
その結果、最終的には三分の一程度つまり日本全体で6000万キロワット程度まで削減できる可能性がある。そうなれば、太陽光や小規模水力やバイオマスなど様々な小形発電システムの組み合わせでほとんどまかなえるようになるだろう。何十年も掛かるかもしれないが、原発も化石燃料火力もダム式水力も必要無い時代が来る。
★2.勇気ある広瀬隆氏、明石昇二郎氏をサポートしよう
メールマガジン読者Iさんより
脱原発派の論客・広瀬隆氏とルポライター・明石昇二郎氏が、7月8日に東京地方検察庁・特捜部に対して東電会長勝俣恒久ら32名を未必の故意によって大事故を起こした責任者として、重大なる人道的犯罪と断定し、業務上過失致死傷罪等で刑事告発しました。
広瀬氏は告発に踏み切った目的を「被曝を食い止めたい一心だった。こういう事故を起こせば刑事告発されるということを日本全国の電力会社に呼びかけたかった。」と記者会見で述べています。
そして、その根拠ときっかけを「ヨーロッパ放射線リスク委員会(ECRR)が30日に発表した、福島原発事故によって近隣地域で今後発症すると予想される癌患者の増加数記事」を読んだことだ、と言っています。
その記事によると、今後10年間で100Km圏内の癌発症数10万人以上、100~200Km圏内で12万人以上と予測しています。
同委員会は政府が依拠しているICRP(国際放射線防護委員会)が内部被爆を一切考慮していないことを強く非難しています。広瀬氏はこれを読んで、今の日本の社会、特に福島県の社会の危機感の希薄性に非常な危機感を感じ、数年後にも起こる悲劇(特に福島の子供達)を何としても食い止めたい一心で、告発に踏み切った、と述べています。
日本の法体系は放射能の広域、大量、長期放出を想定していないこと、東電等の推進派の影響力が司法にも及んでいることが予想されることから考えて、地検がこの告発を受理し、起訴するかは大いに危ぶまれます。それを乗り越えるのは世論の力です。私たち一人一人が広瀬氏をサポートしましょう。まずは、この情報を拡散しましょう。詳しくはURL:http://news.livedoor.com/article/detail/5719806/<http://news.livedoor.com/article/detail/5719806/>
★3.柏市の清掃工場で基準8倍超のセシウム、焼却灰から7万Bq/kgを検出。(基準は1kgあたり8000Bq) セシウム汚染の長期サイクル化の可能性も。 (柏市 S・A)
7月11日、各マスコミで自分が居住する柏市の清掃工場から排出された焼却灰から1キロあたり7万ベクレルを超える放射性セシウムが検出されたと報じられた。
市のHP http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080100/p008818.html によると、市に2か所ある清掃工場及び最終処分場の焼却灰(飛灰固化物・溶解飛灰固化物)から国の定める8千Bq/kgを越える放射性セシウム(Cs134及びCs137の合計)が検出され、第二清掃工場に至っては溶解飛灰固化物から7万Bq/kgを超える放射性セシウムが検出されたと報じている。
当然の事ながら焼却灰に基準値の約9倍にあたる放射性セシウムが検出された以上、その焼却過程で排出される排ガスによる放射性セシウムの再拡散の恐れが心配される。このことに関して市側の報告では各施設の敷地境界付近で測定した空間放出線量は、0.25~0.49μSv/hと、それ以前に測定した東葛6市の空間放射線量の測定結果である0.30~0.44μSv/hと変わらず、また排ガスそのもの鑑定を民間(島津テクノリサーチ)に委託し測定したところ、排ガスから放射性セシウムは「不検出」との回答を得たとしている。
しかしこの回答には疑問が残る。日本鉱物科学会の報告(赤井純治氏)によると有機物・微生物に取りこまれたセシウムは焼却により確実に排ガス中に放出され(有機物・微生物に取りこまれたセシウムは有機物・微生物の燃焼と共に沸点671度でガス化する。通常ゴミ焼却炉ではダイオキシン対策のため焼却温度を800度以上としている)、更に微細な粘土鉱物自体に付着したセシウムも飛散する可能性があるとしている(セシウム挙動の4つのステップ)。その場合セシウム汚染が表層環境で長期にわたりリサイクルして継続する恐れもあると警告している。
柏市の清掃工場の構造を見ると、旧式の北部クリーンセンターでは標準的なろ過式の集じん器による排ガスの飛灰の集灰・クリーニングを行っており、南部クリーニングセンターでは溶解炉排ガス集じん機による飛灰の集灰・クリーニングを行っている。こうした飛灰の集灰・クリーニング方法の違いにより両工場での飛灰固形物と溶解飛灰固化物における放射性セシウムの検出量の違いが出たのであるとするならば、北部クリーンセンターではその分放射性セシウムの空中への再放出がなされた可能性が極めて高いのではないだろうか。
排ガス中の放射性セシウムの検出方法にも疑問が残る。市の資料によれば放射性セシウムの採取媒体として、円筒ろ紙、ドレン部、活性炭フィルタのそれぞれから採取、測定したといている。しかしこれらの採取媒体では放射性セシウムの採取媒体として不適切ではないだろうか。セシウムの吸着媒体として適切なものは沸石や粘土鉱物であり、これらを採取媒体として使用せずに適切な放射性セシウムの採取は行えないのではないだろうかと思える。そもそも市内の清掃工場はこうした放射性物質に汚染されたゴミの焼却を想定して作られているわけではなく、原子力施設排気フィルタとして使用されているHEPAフィルタなどを使用しない限り放射性セシウムの空中への再拡散は防ぎくれないのではないだろうか。
更に市の資料では直接排ガスの測定を行った記録は掲載されていない。原子力委員会の方は1分あたり50リットルの吸引を1週間行い測定する指針が出されているが、市の資料では各工場とも一日のみ上記のような測定方法による測定で不検出と結論づけられている。
またこうした環境下で作業を行う清掃労働者の被曝も心配である。この件に関しては市のHPでは全く触れられていないので市の担当課に直接問い合わせたところ、マスク、帽子と簡易な防護服?を着用し、作業後は徹底してシャワーによる洗浄を指導していると回答してきたが、蓄積放射線量のモニター等の対策は一切取られていないようだった。先の様な着衣であれば、通常の焼却場における作業員の着衣と全く変わらず、それによりこれほど高濃度の放射性セシウムが検出される作業場においてどれほどの効果が期待できるのか甚だ疑問である。 何れにせよ採取方法の問題点を含め再度市側へ詳細な説明を協力的な市議員と共に求めて行く必要がありそうだ。東葛6市の空間放射線量の測定結果である
0.30~0.44μSv/hという高い空間放射線量も、既に「セシウム汚染が表層環境で長期にわたりリサイクルして継続」した結果によるのかも知れない。7月15日に報道された柏市の隣接市である野田市の堆肥センターで2千Bq/kg以上の放射性物質を検出されたとの報道と併せ考えると、ホットスポットエリアでの表層環境で長期にわたる放射性物質の汚染のリサイクルが開始していると考える方が妥当だろう。
★4 (略)
★5 (略)
◆ 地震と原発事故情報 その125 ◆
5つの情報をお知らせします(7月21日)
★1.オルタナティブ電力システムをめざそう
日本の電力消費量は多すぎる。もっと削減を。
★2.勇気ある広瀬隆氏、明石昇二郎氏をサポートしよう
メールマガジン読者Iさんより
★3.柏市の清掃工場で基準8倍超のセシウム、
焼却灰から7万Bq/kgを検出。
セシウム汚染の長期サイクル化の可能性も。
★4.検証・原発再稼働なしで、電気は十分(東京新聞)
東京電力は東北電力に140万kw支援プラス西日本へも支援
「夏に電力危機が訪れる」はウソだった
★5.2つのお知らせ
・『放射能汚染の実態とこれからの私たち』講演会のご案内
・パンフレット『被ばく労働自己防衛マニュアル』の紹介
★1.オルタナティブ電力システムをめざそう
日本の電力消費量は多すぎる。もっと削減を。 山崎久隆
○ 今年の夏は冷房病(*)に悩まずに済みそうなことは幸いだ。外気温との差が5度といえば、28度の冷房に対して33度までは大丈夫と言うこと。列車や店によっては去年まで25度以下に冷房を効かせるところがあったが、それが無くなるだけでも快適かもしれない。
さて、電力不足キャンペーンは東電を通り越して関西方面に飛び火した格好。原発が全部止まれば足りなくなるキャンペーンだが、テレビではバラエティ番組ですらもはや「原発推進のためにやっている」「煽っているのでは」などとコメントされる始末。週刊ダイヤモンドでは「全原発停止でも供給に余力「西日本は電力不足」のウソ」と特集される始末。
王様は裸です。と最初に言い出したのはたんぽぽ舎だ!というわけでもないが、 原発止めても大丈夫という世論は確実に形成され、そのきっかけになったかもしれないことは嬉しい。
○ ただし、念のために強調しておけば、日本の電力消費量は多すぎることは間違いない。節電というと「がまんする」かの印象だが、電力消費量を削減する努力こそは正しい。もともと日本をはじめ「先進国」と呼ばれる「搾取する側」の国々はエネルギー浪費構造のもと世界中から資源を奪ってきたことは忘れてはならない。この反省に立つならば適切な規模にエネルギー消費量を削減すべきであり、電力だけで言うならば半減させる努力は必要だ。ピーク時1億8千万kwを半分程度に下げ、年間トータル1兆kwhを5千億kwhに引き下げることが出来れば、相対的に原発はもとより石油火力のように効率も悪く公害も出す電源を使わなくて済むし、自然を壊す揚水式もいらなくなる。
トータル5千億とは、ドイツ、フランスの規模だ。ドイツ8200万人、フランス6200万人なので人口は日本よりも少ないが、将来的に目指す目標の通過点にはなるだろう。
○ その過程で是非実行したいのが「段階別電力料金」。ピークを18000万kwとしてそれを三分割し、最初の6000万を供給義務のある送電量とし、次の6000万から12000万を「限定的供給義務を負う送電量」とし、次の12000万以上を「需給調整契約」とする。設備は当然18000万を準備するが、予備力は必要ない。予備力は需給調整に含めてしまえば、今すぐにでも8000万kw分の設備はいらなくなってしまう。夏冬のピーク時の数時間程度は常にどこかで需給調整が行われるというわけだ。
大規模な事故、大震災などが起きて供給能力に大きな問題が生じたら、「限定的供給義務を負う」6000万kw分の一部を止める。これはもちろんあらかじめ計画し、広報しておく。その備えがあればほとんど問題は起きない。なぜならば「供給義務のある6000万キロワット」は停電させない仕組みにすれば良いからだ。
このためには送電系統を3系統作る必要があるが、現在の送配電システムを改造すれば出来る。当然系統ごとに電気料金も「低」「中」「高」の区分を付ける。この3系統分割により、必要電力量も設備も大きく減らせるだろう。
その結果、最終的には三分の一程度つまり日本全体で6000万キロワット程度まで削減できる可能性がある。そうなれば、太陽光や小規模水力やバイオマスなど様々な小形発電システムの組み合わせでほとんどまかなえるようになるだろう。何十年も掛かるかもしれないが、原発も化石燃料火力もダム式水力も必要無い時代が来る。
★2.勇気ある広瀬隆氏、明石昇二郎氏をサポートしよう
メールマガジン読者Iさんより
脱原発派の論客・広瀬隆氏とルポライター・明石昇二郎氏が、7月8日に東京地方検察庁・特捜部に対して東電会長勝俣恒久ら32名を未必の故意によって大事故を起こした責任者として、重大なる人道的犯罪と断定し、業務上過失致死傷罪等で刑事告発しました。
広瀬氏は告発に踏み切った目的を「被曝を食い止めたい一心だった。こういう事故を起こせば刑事告発されるということを日本全国の電力会社に呼びかけたかった。」と記者会見で述べています。
そして、その根拠ときっかけを「ヨーロッパ放射線リスク委員会(ECRR)が30日に発表した、福島原発事故によって近隣地域で今後発症すると予想される癌患者の増加数記事」を読んだことだ、と言っています。
その記事によると、今後10年間で100Km圏内の癌発症数10万人以上、100~200Km圏内で12万人以上と予測しています。
同委員会は政府が依拠しているICRP(国際放射線防護委員会)が内部被爆を一切考慮していないことを強く非難しています。広瀬氏はこれを読んで、今の日本の社会、特に福島県の社会の危機感の希薄性に非常な危機感を感じ、数年後にも起こる悲劇(特に福島の子供達)を何としても食い止めたい一心で、告発に踏み切った、と述べています。
日本の法体系は放射能の広域、大量、長期放出を想定していないこと、東電等の推進派の影響力が司法にも及んでいることが予想されることから考えて、地検がこの告発を受理し、起訴するかは大いに危ぶまれます。それを乗り越えるのは世論の力です。私たち一人一人が広瀬氏をサポートしましょう。まずは、この情報を拡散しましょう。詳しくはURL:http://news.livedoor.com/article/detail/5719806/<http://news.livedoor.com/article/detail/5719806/>
★3.柏市の清掃工場で基準8倍超のセシウム、焼却灰から7万Bq/kgを検出。(基準は1kgあたり8000Bq) セシウム汚染の長期サイクル化の可能性も。 (柏市 S・A)
7月11日、各マスコミで自分が居住する柏市の清掃工場から排出された焼却灰から1キロあたり7万ベクレルを超える放射性セシウムが検出されたと報じられた。
市のHP http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080100/p008818.html によると、市に2か所ある清掃工場及び最終処分場の焼却灰(飛灰固化物・溶解飛灰固化物)から国の定める8千Bq/kgを越える放射性セシウム(Cs134及びCs137の合計)が検出され、第二清掃工場に至っては溶解飛灰固化物から7万Bq/kgを超える放射性セシウムが検出されたと報じている。
当然の事ながら焼却灰に基準値の約9倍にあたる放射性セシウムが検出された以上、その焼却過程で排出される排ガスによる放射性セシウムの再拡散の恐れが心配される。このことに関して市側の報告では各施設の敷地境界付近で測定した空間放出線量は、0.25~0.49μSv/hと、それ以前に測定した東葛6市の空間放射線量の測定結果である0.30~0.44μSv/hと変わらず、また排ガスそのもの鑑定を民間(島津テクノリサーチ)に委託し測定したところ、排ガスから放射性セシウムは「不検出」との回答を得たとしている。
しかしこの回答には疑問が残る。日本鉱物科学会の報告(赤井純治氏)によると有機物・微生物に取りこまれたセシウムは焼却により確実に排ガス中に放出され(有機物・微生物に取りこまれたセシウムは有機物・微生物の燃焼と共に沸点671度でガス化する。通常ゴミ焼却炉ではダイオキシン対策のため焼却温度を800度以上としている)、更に微細な粘土鉱物自体に付着したセシウムも飛散する可能性があるとしている(セシウム挙動の4つのステップ)。その場合セシウム汚染が表層環境で長期にわたりリサイクルして継続する恐れもあると警告している。
柏市の清掃工場の構造を見ると、旧式の北部クリーンセンターでは標準的なろ過式の集じん器による排ガスの飛灰の集灰・クリーニングを行っており、南部クリーニングセンターでは溶解炉排ガス集じん機による飛灰の集灰・クリーニングを行っている。こうした飛灰の集灰・クリーニング方法の違いにより両工場での飛灰固形物と溶解飛灰固化物における放射性セシウムの検出量の違いが出たのであるとするならば、北部クリーンセンターではその分放射性セシウムの空中への再放出がなされた可能性が極めて高いのではないだろうか。
排ガス中の放射性セシウムの検出方法にも疑問が残る。市の資料によれば放射性セシウムの採取媒体として、円筒ろ紙、ドレン部、活性炭フィルタのそれぞれから採取、測定したといている。しかしこれらの採取媒体では放射性セシウムの採取媒体として不適切ではないだろうか。セシウムの吸着媒体として適切なものは沸石や粘土鉱物であり、これらを採取媒体として使用せずに適切な放射性セシウムの採取は行えないのではないだろうかと思える。そもそも市内の清掃工場はこうした放射性物質に汚染されたゴミの焼却を想定して作られているわけではなく、原子力施設排気フィルタとして使用されているHEPAフィルタなどを使用しない限り放射性セシウムの空中への再拡散は防ぎくれないのではないだろうか。
更に市の資料では直接排ガスの測定を行った記録は掲載されていない。原子力委員会の方は1分あたり50リットルの吸引を1週間行い測定する指針が出されているが、市の資料では各工場とも一日のみ上記のような測定方法による測定で不検出と結論づけられている。
またこうした環境下で作業を行う清掃労働者の被曝も心配である。この件に関しては市のHPでは全く触れられていないので市の担当課に直接問い合わせたところ、マスク、帽子と簡易な防護服?を着用し、作業後は徹底してシャワーによる洗浄を指導していると回答してきたが、蓄積放射線量のモニター等の対策は一切取られていないようだった。先の様な着衣であれば、通常の焼却場における作業員の着衣と全く変わらず、それによりこれほど高濃度の放射性セシウムが検出される作業場においてどれほどの効果が期待できるのか甚だ疑問である。 何れにせよ採取方法の問題点を含め再度市側へ詳細な説明を協力的な市議員と共に求めて行く必要がありそうだ。東葛6市の空間放射線量の測定結果である
0.30~0.44μSv/hという高い空間放射線量も、既に「セシウム汚染が表層環境で長期にわたりリサイクルして継続」した結果によるのかも知れない。7月15日に報道された柏市の隣接市である野田市の堆肥センターで2千Bq/kg以上の放射性物質を検出されたとの報道と併せ考えると、ホットスポットエリアでの表層環境で長期にわたる放射性物質の汚染のリサイクルが開始していると考える方が妥当だろう。
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