毎日新聞 7月17日(日)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110717-00000009-mai-soci

 生体腎移植を巡る臓器売買事件で逮捕された開業医の堀内利信容疑者(55)が、ドナー(臓器提供者)候補を仲介した暴力団組員から追加報酬を求められてトラブルになった際、会社役員の江口祐子容疑者(47)が「私たちなら安くドナーを紹介できる」と持ち掛けていたことが捜査関係者への取材で分かった。これに応じた堀内容疑者はドナー探しを依頼。江口容疑者と親しい指定暴力団住吉会系組長、坂巻松男容疑者(70)が宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)での手術を勧めたといい、警視庁組織犯罪対策4課が経緯を調べている。

 堀内容疑者は当初、同会系組員、滝野和久被告(50)に1000万円を支払い、ドナー候補を紹介された。しかし、滝野被告から追加報酬を要求されてトラブルに発展し、旧知の坂巻容疑者に仲裁を依頼したとされる。滝野被告の追加要求額は1000万円とみられていたが、関係者によると実際は1500万円だったという。

 坂巻容疑者と親しい江口容疑者は、堀内容疑者と面会した際に「1000万円でドナーを紹介できる」と提案。堀内容疑者はこれに応じ、新たに紹介されたドナーと養子縁組して、宇和島徳洲会病院で移植手術を受けた。坂巻容疑者側には逮捕容疑となった報酬800万円を含め最終的に計1000万円が渡ったという。

 坂巻容疑者は逮捕前の毎日新聞の取材に「(堀内容疑者に)千葉の徳洲会系列の病院に行けば、(宇和島徳洲会病院の)立派な医師につながるはずだという話はした」と話し、組対4課も坂巻容疑者が徳洲会グループの幹部の名前を書いて堀内容疑者に示したとみられるメモを押収した。【川崎桂吾、前谷宏、喜浦遊】