▼ 八月の前に
鎌田慧(ルポライター)
九州の新聞社から、玄海原発の運転再開に、はやばやと同意した岸本町長についてのコメントを求める電話があった。
原発のある市町村の首長に、「原発は危険と考えませんか」と聞いて歩いたが、ほとんど「国が安全だといっていますから安全です」とハンで押したように答えていた。
それなのに、岸本町長は、国よりも速く決断したのだから、ハハンと思った。町長が原発関連工事を受注する岸本組の長男で、知事が元九電社員の子息という親密さは、これまで地元のひとたちに諦めを与えていた。
が、フクシマ以後、それは憤りに変わった。脱原発、自然エネルギーを求める世論の拡大に、政治家たちがたち後れているのは、自分の利益に目が眩んでいるからだ。
アメリカの意を受けた中曽根さんが原発を引き込み、角栄さんがバラ撒き、今は与謝野さんや海江田さんが「玉砕戦」を国民に強いている。今度は「地下原発」など、地下壕での徹底抗戦を唱える議員集団まである。
まだ、「より安全な原発を」「停電の抑止力」などといって原発にしがみついているのは、ヒロシマ、ナガサキがあっても、「聖戦」継続を叫び、一億玉砕に引きずりこもうとしていた軍部の無謀を思わせる。
国民は洗脳されていた。諦めと無抵抗がどれはど若者や子どもたちの命をむだにしたことか。
『東京新聞』(2011/7/12【本音のコラム】)
▼ 玄海町長実弟企業に原発マネー 『西日本新聞』から
● 『日本の原発危険地帯』などの著書があるルポライター鎌田慧さんの話
玄海町長は、運転再開容認について「自分の目で安全対策を確認し判断した」と説明したが、国がストレステスト(耐性評価)の実施を表明するとすぐに撤回した。
そもそも原発の安全性は地方の首長レベルで判断できる問題ではないのだが、論理が破綻しており、本当に地域の安全を考えているのかと思う。
私は全国の原発立地自治体を回ったが、最近では利害関係のある企業とこれほど近い関係の首長は知らない。
福島第1原発事故で安全性を厳しく問う世論が高まる中、自分はやましくないと言っても誰が信じるだろうか。
● 政治倫理条例に詳しい政治倫理・九州ネットワーク(福岡市)顧問の市川俊司弁護士の話
玄海町長は、地位を利用して身内に利益誘導していると疑われても仕方ないだろう。
標準的な政治倫理条例は、首長や議員が公の地位を利用することを防ぐため、親族企業の公共工事の請負を制限している。たとえ条例が無くても、(原発立地自治体で)大きな影響力を持つ政治家は、私腹を肥やしていると思われないように自ら襟を正すべきだ。九州は政治倫理条例の先進地であり、福岡県など多くの自治体で浸透している。町に条例がない事を知らなかったというのは信じられず、けしからん話だ。
※九州の政治倫理条例では、首長や議員の3親等(おじやおい)内の親族企業が市発注工事を受注することを禁じた熊本県八代市の条例が厳格な内容で知られる。民主主義の向上をテーマにした研究に取り組む尾崎行雄記念財団の08年の調査では、条例内容に違いがあるものの、福岡県で約86%、熊本県で約67%の自治体が導入済みで、佐賀県は10%にとどまる。
『西日本新聞』(2011/7/10)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/252790
≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫
http://wind.ap.teacup.com/people/5489.html
鎌田慧(ルポライター)
九州の新聞社から、玄海原発の運転再開に、はやばやと同意した岸本町長についてのコメントを求める電話があった。
原発のある市町村の首長に、「原発は危険と考えませんか」と聞いて歩いたが、ほとんど「国が安全だといっていますから安全です」とハンで押したように答えていた。
それなのに、岸本町長は、国よりも速く決断したのだから、ハハンと思った。町長が原発関連工事を受注する岸本組の長男で、知事が元九電社員の子息という親密さは、これまで地元のひとたちに諦めを与えていた。
が、フクシマ以後、それは憤りに変わった。脱原発、自然エネルギーを求める世論の拡大に、政治家たちがたち後れているのは、自分の利益に目が眩んでいるからだ。
アメリカの意を受けた中曽根さんが原発を引き込み、角栄さんがバラ撒き、今は与謝野さんや海江田さんが「玉砕戦」を国民に強いている。今度は「地下原発」など、地下壕での徹底抗戦を唱える議員集団まである。
まだ、「より安全な原発を」「停電の抑止力」などといって原発にしがみついているのは、ヒロシマ、ナガサキがあっても、「聖戦」継続を叫び、一億玉砕に引きずりこもうとしていた軍部の無謀を思わせる。
国民は洗脳されていた。諦めと無抵抗がどれはど若者や子どもたちの命をむだにしたことか。
『東京新聞』(2011/7/12【本音のコラム】)
▼ 玄海町長実弟企業に原発マネー 『西日本新聞』から
● 『日本の原発危険地帯』などの著書があるルポライター鎌田慧さんの話
玄海町長は、運転再開容認について「自分の目で安全対策を確認し判断した」と説明したが、国がストレステスト(耐性評価)の実施を表明するとすぐに撤回した。
そもそも原発の安全性は地方の首長レベルで判断できる問題ではないのだが、論理が破綻しており、本当に地域の安全を考えているのかと思う。
私は全国の原発立地自治体を回ったが、最近では利害関係のある企業とこれほど近い関係の首長は知らない。
福島第1原発事故で安全性を厳しく問う世論が高まる中、自分はやましくないと言っても誰が信じるだろうか。
● 政治倫理条例に詳しい政治倫理・九州ネットワーク(福岡市)顧問の市川俊司弁護士の話
玄海町長は、地位を利用して身内に利益誘導していると疑われても仕方ないだろう。
標準的な政治倫理条例は、首長や議員が公の地位を利用することを防ぐため、親族企業の公共工事の請負を制限している。たとえ条例が無くても、(原発立地自治体で)大きな影響力を持つ政治家は、私腹を肥やしていると思われないように自ら襟を正すべきだ。九州は政治倫理条例の先進地であり、福岡県など多くの自治体で浸透している。町に条例がない事を知らなかったというのは信じられず、けしからん話だ。
※九州の政治倫理条例では、首長や議員の3親等(おじやおい)内の親族企業が市発注工事を受注することを禁じた熊本県八代市の条例が厳格な内容で知られる。民主主義の向上をテーマにした研究に取り組む尾崎行雄記念財団の08年の調査では、条例内容に違いがあるものの、福岡県で約86%、熊本県で約67%の自治体が導入済みで、佐賀県は10%にとどまる。
『西日本新聞』(2011/7/10)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/252790
≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫
http://wind.ap.teacup.com/people/5489.html