銅山の煙害で荒廃した山肌、汚染水で荒れた下流の田畑。銅の化合物が原因で栃木、群馬などの農民らが苦しみ北海道まで移住した「足尾鉱毒事件」。
百年たったいま、今度は福島原発事故。福島の人たちが避難し、いつ帰れるかのめども立たない。
足尾鉱毒事件では当時の衆院議員の田中正造が国会で政府の責任を追及。「公益」に「有害」なものは許せなかったのである。
鉱業も原発も国策。「原発事故は足尾鉱毒事件の延長線上にある」と思い、群馬県館林市の「田中正造記念館」に足を運んだ。
東武鉄道佐野線の「渡瀬駅」前にある小さな記念館には、豊かな自然が購読によって壊される経緯がリアルに再現されている。
入口にあるブックレット=谷中村の足跡=の中に正造の言葉がある。「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」
記念館の針ヶ谷照夫副館長は言う。「鉱毒事件と原発事故はなぜか被害状況が似通っており、正造の言葉の重みがよみがえる」
ただ決定的に違うことがある。正造は9年間谷中村に移り住み、住民と心を一つにして離れなかった。
東北の避難先などはどうだろう。地元の国会議員らは今回の震災を未曾有」と言いながら、原発避難先を含めて、現地で汗をかく姿が見えない。いったいどちらを向いているのか。(長竹孝夫)
東京新聞2011年6月14日■こちら編集委員室■
百年たったいま、今度は福島原発事故。福島の人たちが避難し、いつ帰れるかのめども立たない。
足尾鉱毒事件では当時の衆院議員の田中正造が国会で政府の責任を追及。「公益」に「有害」なものは許せなかったのである。
鉱業も原発も国策。「原発事故は足尾鉱毒事件の延長線上にある」と思い、群馬県館林市の「田中正造記念館」に足を運んだ。
東武鉄道佐野線の「渡瀬駅」前にある小さな記念館には、豊かな自然が購読によって壊される経緯がリアルに再現されている。
入口にあるブックレット=谷中村の足跡=の中に正造の言葉がある。「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」
記念館の針ヶ谷照夫副館長は言う。「鉱毒事件と原発事故はなぜか被害状況が似通っており、正造の言葉の重みがよみがえる」
ただ決定的に違うことがある。正造は9年間谷中村に移り住み、住民と心を一つにして離れなかった。
東北の避難先などはどうだろう。地元の国会議員らは今回の震災を未曾有」と言いながら、原発避難先を含めて、現地で汗をかく姿が見えない。いったいどちらを向いているのか。(長竹孝夫)
東京新聞2011年6月14日■こちら編集委員室■