■ 君が代判決:「起立命令は合憲」最高裁4例目 広島訴訟

 入学式などで君が代斉唱時に起立しなかったとして戒告処分を受けた広島県立高校の教職員と遺族ら45人が、県教委に処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は21日、「起立命令は合憲」と判断した。教職員側敗訴の1、2審判決が確定した。同種訴訟で最高裁の合憲判断は4度目。

 過去3度の判決は都立学校での「起立・斉唱命令」が争点になったが、今回のケースは多くの原告が起立命令しか受けておらず、主な争点は起立命令の違憲性になった。
 判決は「(思想・良心の自由の)間接的制約となる面があることは否定しがたい」としながら、職務の公共性などから制約が許される必要性や合理性がある、と判断した。ただ、斉唱まで命じられた一部原告については、田原睦夫裁判官(弁護士出身)が「内心の核心部分を侵害する可能性がある」との反対意見を述べた。


 広島県では00年に県教育部長が起立を命じる通知を出し、01~04年の入学式などで校長の起立命令に従わなかった原告らが処分を受けた。1審の広島地裁判決(09年2月)は起立命令を合憲として「教委側に裁量の乱用はない」と判断し、広島高裁判決(10年5月)も支持した。
 判決後、原告側弁護士は「被爆地である広島では君が代への抵抗感がかなりある。最高裁は君が代の強制が学校現場を荒廃させていることを理解すべきだった」と話した。
【伊藤一郎】

『毎日新聞』(2011年6月21日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110622k0000m040071000c.html


 ■ 君が代起立職務命令、合憲判断 最高裁4例目

 広島県立高校の教諭らが、卒業式などで「君が代」斉唱時に校長の命令に反して起立せずに戒告処分を受けたことを不服として県教委に処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は21日、教諭らの上告を棄却する判決を言い渡した。教諭らの敗訴が確定した。

 判決は、起立させる校長の職務命令について「思想・良心の自由」を保障した憲法19条に違反しないと判断した。同種の訴訟で「合憲」と判断した最高裁判決は4例目。
 原告の教諭ら42人は、2001~03年度の入学式や卒業式で君が代斉唱時に校長の命令に反して起立しなかったことから、県教委から戒告処分を受けた。
 第三小法廷は、先行した3判決の内容を踏襲。職務命令が個人の思想・良心の自由を「間接的に制約する面は否定しがたい」と認めつつ、教育上の行事にふさわしい秩序を確保する目的などを考慮すれば、「制約には必要性・合理性がある」と結論づけた。

 裁判官5人のうち、弁護士出身の田原睦夫裁判官は審理を高裁に差し戻すべきだとする反対意見を述べた。「一部の教諭らについては起立だけでなく斉唱まで命令されたと解釈できる」と指摘。「斉唱の命令は、内心の核心的部分を侵害する可能性がある」との考えを示した。(山本亮介)

『朝日新聞』(2011年6月21日)
http://www.asahi.com/national/update/0621/TKY201106210538.html