産経新聞2011.6.5 21:09 (1/2ページ)
東日本大震災で遠隔地でも影響が出た「長周期地震動」対策について、超高層の庁舎を持つ各都府県でも取り組みに“温度差”がある。東京都や約1億円に上る被害が出た大阪府などは補強策を打ち出しているが、同地震動の影響については国も検証中で明確な指針がなく、対策に乗り出せない自治体もある。災害時の防災拠点にもなる庁舎の対策は急務で、国土交通省も指針作成を急いでいる。
「耐震化している建物とは思えない。長い揺れに気分が悪くなった」
第1庁舎が240メートルを超える東京都庁舎は大震災の影響で、約15分間にわたり4~5秒の周期で最大65センチ揺れた。人的被害はなかったが、揺れの大きさに職員の多くが不安を口にした。
都庁舎は昭和62年の建設時に短周期の地震動対策は施しているが、長周期の対策は取られていない。都の委員会は、東海地震と東南海地震が連動して発生した場合(マグニチュード8.3)でも倒壊の危険性はないとの結論を示したが、「一部機材の脱落で業務継続に支障をきたす可能性がある」と約40億円をかけた耐震補強の実施を決めた。
また、震源地から700キロ以上も離れた大阪府咲洲庁舎(大阪市住之江区)でも長周期地震動を観測。府は「想定より揺れが大きく、業務への影響もあったので緊急に対応したい」と震源地から遠い中での揺れに驚きを隠さない。平成23、24年度当初予算に計上する約23億円の長周期地震動対策関連予算に加え、追加で約7億円の補正予算を9月府議会に提出する。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110605/lcl11060521100002-n1.htm
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一方、茨城県は庁舎の耐震性や地盤の特性から独自に安全性を確認し、「国の指針が出れば再度検証するが、特段の対応は考えていない」。東海地震など巨大地震が起きた際の被害を想定し、通常基準より1.5倍近くの耐震性能で庁舎を建設した静岡県は「今回の地震でも大きな被害はなかった」と、新たな補強対策の必要性を否定する。
ただ、独自対策や安全性の確認をする自治体がある中で、国の対応を待たざるをえない自治体もある。
群馬県は「国の指針が出る前に動いて、見直さなければならなくなった場合の予算の余裕はない」という。香川県は「今の所は考えていないが、国が決めれば従う」と消極姿勢だ。
国交省は平成20年から建築物の設計用地震動の調査を実施。対策試案を精査中で、担当者は「今回の地震も反映させなければならない」と検証を急ぐ。
都の耐震安全性調査委員会のメンバーだった東京理科大の北村春幸教授は「長周期地震動は広い範囲に伝わり、思いもしない場所でも揺れる。行政の中核となる庁舎は災害時に早く復旧できる対策が求められる」と警鐘を鳴らしている。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110605/lcl11060521100002-n2.htm
東日本大震災で遠隔地でも影響が出た「長周期地震動」対策について、超高層の庁舎を持つ各都府県でも取り組みに“温度差”がある。東京都や約1億円に上る被害が出た大阪府などは補強策を打ち出しているが、同地震動の影響については国も検証中で明確な指針がなく、対策に乗り出せない自治体もある。災害時の防災拠点にもなる庁舎の対策は急務で、国土交通省も指針作成を急いでいる。
「耐震化している建物とは思えない。長い揺れに気分が悪くなった」
第1庁舎が240メートルを超える東京都庁舎は大震災の影響で、約15分間にわたり4~5秒の周期で最大65センチ揺れた。人的被害はなかったが、揺れの大きさに職員の多くが不安を口にした。
都庁舎は昭和62年の建設時に短周期の地震動対策は施しているが、長周期の対策は取られていない。都の委員会は、東海地震と東南海地震が連動して発生した場合(マグニチュード8.3)でも倒壊の危険性はないとの結論を示したが、「一部機材の脱落で業務継続に支障をきたす可能性がある」と約40億円をかけた耐震補強の実施を決めた。
また、震源地から700キロ以上も離れた大阪府咲洲庁舎(大阪市住之江区)でも長周期地震動を観測。府は「想定より揺れが大きく、業務への影響もあったので緊急に対応したい」と震源地から遠い中での揺れに驚きを隠さない。平成23、24年度当初予算に計上する約23億円の長周期地震動対策関連予算に加え、追加で約7億円の補正予算を9月府議会に提出する。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110605/lcl11060521100002-n1.htm
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一方、茨城県は庁舎の耐震性や地盤の特性から独自に安全性を確認し、「国の指針が出れば再度検証するが、特段の対応は考えていない」。東海地震など巨大地震が起きた際の被害を想定し、通常基準より1.5倍近くの耐震性能で庁舎を建設した静岡県は「今回の地震でも大きな被害はなかった」と、新たな補強対策の必要性を否定する。
ただ、独自対策や安全性の確認をする自治体がある中で、国の対応を待たざるをえない自治体もある。
群馬県は「国の指針が出る前に動いて、見直さなければならなくなった場合の予算の余裕はない」という。香川県は「今の所は考えていないが、国が決めれば従う」と消極姿勢だ。
国交省は平成20年から建築物の設計用地震動の調査を実施。対策試案を精査中で、担当者は「今回の地震も反映させなければならない」と検証を急ぐ。
都の耐震安全性調査委員会のメンバーだった東京理科大の北村春幸教授は「長周期地震動は広い範囲に伝わり、思いもしない場所でも揺れる。行政の中核となる庁舎は災害時に早く復旧できる対策が求められる」と警鐘を鳴らしている。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110605/lcl11060521100002-n2.htm