毎日新聞 6月4日
大阪府内の公立学校教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける全国初の条例が3日、府議会本会議で成立した。橋下徹知事が率いる首長政党「大阪維新の会」府議団が提出。公明、自民、民主、共産は反対したが、過半数を占める維新や、みんなの党などによる賛成多数で可決された。橋下知事は、不起立を繰り返す教職員の懲戒免職を盛り込んだ処分基準を定める条例案を9月議会に提出する方針を示している。
条例は「我が国の郷土を愛する意識の高揚」「服務規律の厳格化」などを目的に掲げ、府立と政令市を含む市町村立の小中学校、特別支援学校の教職員を対象としている。「学校の行事において行われる国歌斉唱にあたっては起立により斉唱を行うものとする」と明記し、府施設での国旗の常時掲揚も義務付けた。罰則規定はない。
討論で、維新は「模範となるべき教職員が繰り返し職務命令違反する行為が子供に与える影響は計り知れない。と必要性を強調。これに対し、公明は「条例よりも職務命令など管理監督を徹底すればすむ」、自民、民主も「条例化の必要はない」などと反論した。自民が提出した国旗の常時掲揚だけを義務付ける条例案は否決された。
本会議では、維新が提出した「大坂都構想」を含む大都市制度見直しの協議会設置条例案も、維新とみんななどの賛成多数で可決された。継続審議を求める公明、自民、民主は堆積、共産は反対した。条例では、各会派は9月末までに府市再編の枠組みについて協議結果を報告することが規定されているが、自民、民主は協議会に参加しない意向を示した。
維新は、府議会定数を109から88に削減する条例案についても、委員会審議を省略して採決するよう主張している。しかし、公明、自民、民主が反発し、採決は深夜にずれ込んだ。【高山祐、堀文彦、佐藤慶】
以下の記事:毎日新聞 6月3日(金)19時47分配信
<君が代起立斉唱条例>大阪府議会で成立…全国初
賛否が分かれる君が代起立斉唱条例をスピード成立させた大阪維新の会。「数の力」にのまれ、チェック機能を失った議会のあり方には危うさを感じざるを得ない。
◇危うい議会運営
条例案は橋下徹大阪府知事が5月上旬に維新幹部に作成を指示。同月25日に議長に提出されたが、所属議員全員に内容が示されたのは25日未明で、提出前に約2時間、非公開の協議をしただけだ。若手は「反対意見はなかった」と言うが、維新内でさえ十分に議論された形跡はない。
中西正人教育長は答弁で「条例化は必要ない」と異例の反論を展開し、他会派も継続審査を求めた。しかし、維新は教育常任委員会の審議を1日で打ち切り、議論は深まらなかった。橋下知事と維新は、今秋に予定される知事・大阪市長のダブル選に向けて、実績を一つでも積み重ねようという狙いがある。しかし、強引な議会運営には府民も納得しない。異論にも耳を傾ける謙虚さを求めたい。【堀文彦】
大阪府内の公立学校教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける全国初の条例が3日、府議会本会議で成立した。橋下徹知事が率いる首長政党「大阪維新の会」府議団が提出。公明、自民、民主、共産は反対したが、過半数を占める維新や、みんなの党などによる賛成多数で可決された。橋下知事は、不起立を繰り返す教職員の懲戒免職を盛り込んだ処分基準を定める条例案を9月議会に提出する方針を示している。
条例は「我が国の郷土を愛する意識の高揚」「服務規律の厳格化」などを目的に掲げ、府立と政令市を含む市町村立の小中学校、特別支援学校の教職員を対象としている。「学校の行事において行われる国歌斉唱にあたっては起立により斉唱を行うものとする」と明記し、府施設での国旗の常時掲揚も義務付けた。罰則規定はない。
討論で、維新は「模範となるべき教職員が繰り返し職務命令違反する行為が子供に与える影響は計り知れない。と必要性を強調。これに対し、公明は「条例よりも職務命令など管理監督を徹底すればすむ」、自民、民主も「条例化の必要はない」などと反論した。自民が提出した国旗の常時掲揚だけを義務付ける条例案は否決された。
本会議では、維新が提出した「大坂都構想」を含む大都市制度見直しの協議会設置条例案も、維新とみんななどの賛成多数で可決された。継続審議を求める公明、自民、民主は堆積、共産は反対した。条例では、各会派は9月末までに府市再編の枠組みについて協議結果を報告することが規定されているが、自民、民主は協議会に参加しない意向を示した。
維新は、府議会定数を109から88に削減する条例案についても、委員会審議を省略して採決するよう主張している。しかし、公明、自民、民主が反発し、採決は深夜にずれ込んだ。【高山祐、堀文彦、佐藤慶】
以下の記事:毎日新聞 6月3日(金)19時47分配信
<君が代起立斉唱条例>大阪府議会で成立…全国初
賛否が分かれる君が代起立斉唱条例をスピード成立させた大阪維新の会。「数の力」にのまれ、チェック機能を失った議会のあり方には危うさを感じざるを得ない。
◇危うい議会運営
条例案は橋下徹大阪府知事が5月上旬に維新幹部に作成を指示。同月25日に議長に提出されたが、所属議員全員に内容が示されたのは25日未明で、提出前に約2時間、非公開の協議をしただけだ。若手は「反対意見はなかった」と言うが、維新内でさえ十分に議論された形跡はない。
中西正人教育長は答弁で「条例化は必要ない」と異例の反論を展開し、他会派も継続審査を求めた。しかし、維新は教育常任委員会の審議を1日で打ち切り、議論は深まらなかった。橋下知事と維新は、今秋に予定される知事・大阪市長のダブル選に向けて、実績を一つでも積み重ねようという狙いがある。しかし、強引な議会運営には府民も納得しない。異論にも耳を傾ける謙虚さを求めたい。【堀文彦】