毎日新聞 2011年5月17日 21時35分(最終更新)

 元室長の久世悟容疑者が収賄容疑で逮捕されたのを受け、会見する住宅金融支援機構の宍戸信哉理事長(中央)。左は阿部勝次理事、右は古川眞理夫総務人事部長=東京・霞が関の国交省で2011年5月17日午後5時17分、梅田麻衣子撮影

 長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の取り扱い業務への参入を巡り、独立行政法人「住宅金融支援機構」(旧住宅金融公庫、東京都文京区)の職員が業者から賄賂を受け取ったとして、警視庁捜査2課などは17日、元営業推進室長、久世悟容疑者(52)=横浜市保土ケ谷区西谷町=を収賄容疑で逮捕した。また金融業者「住宅金融モーゲージ」(東京都港区)元会長の堀川嘉次(65)=港区麻布十番2、元役員の西成田知子(35)=同=の2容疑者を贈賄容疑で逮捕した。

 フラット35は、機構と提携した民間業者だけが取り扱うことができる人気の住宅ローン。債権は機構が買い取るため、業者には貸し倒れのリスク無しで手数料収入が得られるメリットがある。捜査2課は、機構の幹部職員だった久世容疑者が、フラット35の取り扱いを目指していた堀川容疑者らに業務で知り得た秘密情報を伝えたとみて追及する。

 久世容疑者の逮捕容疑は、堀川容疑者らに他の提携業者の経営状況などの情報を提供した見返りとして、07年11月~08年9月、銀行振り込みなどで現金200万円を受け取ったとしている。

 久世容疑者は調べに「趣味のオーディオで大きな借金ができ、生活が苦しかった」などと容疑を認めているという。堀川容疑者も容疑を認めているが、西成田容疑者は「金は貸しただけ」と否認しているという。

 捜査2課によると、久世容疑者と堀川容疑者らは07年夏ごろ、住宅金融公庫OBを通じて知り合った。堀川容疑者らは当初、自社が機構の提携業者になることを模索したが、資本金5億円以上などを求める審査に通らない恐れがあった。このため、久世容疑者の提案で既に機構と提携している別の業者を買収する計画に切り替えたという。

 堀川容疑者らは、久世容疑者から得た内部情報を基に買収が可能な業者を選んだが、計画は08年秋までに資金不足で頓挫。提携は実現しなかった。【川崎桂吾、前谷宏】

毎日新聞 2011年5月17日 21時35分(最終更新 5月18日 0時35分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110518k0000m040109000c.html