≪5月14日の朝日新聞朝刊の1面に下記の記事が掲載
  夕刊では、知事は不起立者への「処分のルール化」にまで、言及≫

 知事は、まず、府教委に職務命令に対して、全員を一人残らず起立させることとして、それができないなら、条例によって政治で強制するとする大阪府幹部へのメール(5月7日と8日付け)で迫っています。その1週間後に「条例化」を表明しています。


 橋下知事から府幹部に宛てたメールでは 知事は一方で学校における国歌斉唱の根拠を指導要領に求めながら、 一方では(このメールでは)、起立を社会常識として教育の問題ではないとして、政治判断で命じることのできる問題だとしています。

さらに、起立しない教員の学校名、氏名を報告せよと迫り、教育員会に職務命令をもって従わせるよう迫っています。

これは、教育への政治介入そのもので、不当な介入です。

大阪府議会5月議会の日程は、5月19日から6月3日です。

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◆「君が代」起立条例案 大阪維新の会 府立校教員に
朝日新聞2011年5月14日朝刊

 大阪府の橋下知事が率いる地域政党「大阪維新の会」の府議団は、府立学校の入学式や
卒業式などで君が代を斉唱する際、教員に起立を義務づける条例案を5月府議会に提出する
方針を固めた。維新の会は府議会で過半数を占めており、可決される公算が大きい。
文部科学省によると、都道府県で君が代斉唱時の起立を条例化したケースはないとみられる。
 府議会では、自民党が府立高校を含む府の施設で常に常に国旗(日の丸)の掲揚を義務づ
ける条例案を提出する方針を決めている。これを受け、維新の会は国旗掲揚の義務化に、

君が代斉唱の際の起立義務化も追加した対案を準備することにした。同会は今後、自民と
協議して条例を一本化することも検討する。
 維新の会の条例案は罰則を設けないものの、教員が起立を拒むなど条例に違反すれば、

地方公務員法反などで処分される可能性もある。
 入学・卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱は1989年の学習指導要領改訂で義務づけられたが、
文科省は斉唱の際の方法は示しておらず、学校現場の判断に任せている。府教委は2002年
以降、各府立学校に対し「教育公務員としての責務を自覚し、国歌斉唱に当たっては起立し斉
唱する」と文書で指示してきた。
 維新の会の松井一郎幹事長は条例について「起立しての斉唱は公務員として当然のこと」と
説明。橋下氏も府幹部にメールで「(起立しない教員は)公務員の身分保障に甘え過ぎ」「教委
がマネジメントできなければ条例化するしかない」と主張していた。
 国歌斉唱時の起立を各教委が学校側に通達し、従わない教員を処分する動きは各地に広がる。
09年度には北海道、東京都、大阪府、広島県、香川県、広島市の計8教委が、校長の職務命令
に従わなかったとして教員計24人を懲戒処分した。
 最高裁は07年、君が代のピアノ伴奏を拒んで処分された音楽教諭の訴訟で、「校長の職務命令
は合憲」と判断。一方、東京高裁は今年3月、都立学校の教職員167人の処分を「懲戒権の乱用」
として取り消すなど司法判断も分かれている。大阪府で条例が成立すれば、波紋が広がりそうだ。
(池尻和生、佐古将規)

◆橋下知事、君が代起立条例案「処分ルール化も考える」
朝日新聞2011年5月14日夕刊

 大阪府知事で、地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹氏は14日、府立学校の教員に入学式
などでの君が代斉唱時の起立を義務づける条例案を5月府議会に提出するとした維新の会の
府議団の方針について、報道陣に「当然。条例や職務命令を守らない場合の処分のルール化も
目指す」と述べた。
 府教委は2002年から斉唱時に教員に起立させるよう府立学校に指示しており、橋下氏は「維新
の会が起立して歌えと言っているのではなく、府教委が決めていること。命令を守らないのはごく
ごく一部の教員だ」と語った。
 自民党府議団は府施設で国旗常時掲揚を義務づける条例案を準備中で、維新の会は同府議
団と協議する方針。同府議団には「国旗と国歌はセットだ」などとして維新の方針に賛同する意見
も多いが、花谷充愉府議団幹事長は14日、朝日新聞の取材に「条例で縛るのは最後の手段。
維新案の内容を見て賛否を判断したい」と慎重な姿勢を示した。(富田祥広、京谷奈帆子)