◆ "君が代"処分に教職員を追い込む都教委
   ~有給休暇取得にも介入

  永野厚男(教育ライター)

 卒業式の”君が代”斉唱時の起立を強制する校長の職務命令に反したとの理由で、都教育委員会は都立学校6校の教諭6人を2011年3月30日付で懲戒処分にしたと発表した。
 ”君が代”不起立を理由に教職員を懲戒処分(履歴に残り、給与や昇任等で不利益を伴う)にする自治体は全国で10に満たないが、都教委が"10・23通達"発出の"手本"にした広島でさえ、今春16回目の不起立をした教諭を戒告処分に留めている。
 だが東京だけは1回目で戒告、2・3回目は減給、4回目以上は停職(最低でも1か月、児童・生徒と切り離し、授業等勤務不可)にする異常さ。
 この「都教委だけがやっている累積加重処分」を避けるため、東京の公立学校では、信念で起立できない教職員は、(1)年次有給休暇を取る、(2)受付や警備等、式場外の業務をし”君が代”時に起立せずとも処分を回避するよう、良心的な校長を含めて取り組んでいる学校は少なからずある。
 担任の場合も、(1)の1時間程度の休暇や、(2)の一定時刻までの式場外業務従事により、式冒頭の”君が代”の後、式場に入り、その後の呼名等の業務を遂行し、処分を回避することは可能なのだ。


 だが3月31日、被処分者の会など、対都教委訴訟を闘う六者の教職員原告団が都内で開いた「処分発令抗議・該当者支援総決起集会と記者会見」では、被処分者の会事務局が、

 ①都教委の勤労課長が昨年6月、「卒業・入学式では年次有給休暇の目的・理由を確認する必要がある場合もある」との文書を発した(理由確認は労働基準法違反)上、副校長昇任予定者の説明会でも詳細な説明をした、

 ②都教委の一部の学校経営支援センターは、式の当該学年のみならず他学年の担任まで(2)の業務はやらせるなと強い”指導”がある等、

 教職員を追い込む攻撃がなされている実態を報告。会場から「都教委はひどい!」という声が上がった。

 加藤良雄教諭は「震災から間もないのに勤務校に来た都教委職員は、名前を呼び捨てにして処分書を読み上げた。『こんなことをやってないで、もっと教育現場を良くする取り組みを』と言ったが、返事はなかった」と述べ、定年直前に停職6か月(扱い)発令の渡辺厚子教諭は、「昨日休暇を取り外出していたら、自宅の郵便受けに都教委職員が封筒に入れた処分書を突っ込んで行った。個人情報なのに…」と語った。

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