(映像:放射能汚染地域の地図) 最近、チェルノブイリ原発事故による人体への汚染について、またひとつ新しい事実が発見されました。汚染が5キュリー以下で、人体への影響が比較的少ないとされてきた黄色の地域に、赤の高濃度汚染地域に匹敵する人体汚染が起きていることがわかったのです。

 チェルノブイリ原発の西、ベラルーシとウクライナの国境沿いに広がるポレーシア地方は、プリピャチ川沿いに開け、広大な森と豊かな水に恵まれた農村地帯です。ポレーシア地方にある人口千人足らずの村・ゼルジンスクに、事故後はじめて検診車がやってきました。汚染の高い地域から巡回してきたため、この村の人々は事故後十年目にしてようやく検診を受けることになったのです。
 その結果、意外な事実が明らかになりました。ゼルジンスク村の人々の体内に蓄積された放射能の量が、極めて高かったのです。

(ゴメリ特別病院検診部:ナターシャ・ジノビッチ婦長) 「驚きましたよ。例外なく、みんな被爆量が高いのですから。ここは土地の汚染が低い地域のはずなのに、住民の被爆量は、最も汚染の高い地域と変わらないのです。どうしてこのような高い数値が出たのか、よくわかりません。」
 なぜ、この村の人たちの体内に多くの放射能が蓄積されたのでしょうか。その原因をつきとめるため、ベラルーシ国立土壌研究所のグループが調査を続けています。その結果、原因解明の鍵は土にあるのではないかとみています。一般に、土に含まれる粘土分は、放射能を取り込んで外に逃がさない性質をもっています。ところが、この村の土には粘土分が少なく、ほとんどが粒子の粗い泥炭です。このため、放射能が植物に急速に吸収されやすいというのです。

(映像:ベラルーシ国立土壌研究所)
 実際に、ゼルジンスク村の土の放射能を測定してみました。結果は、1068ベクレル。汚染はそれほど高くありません。しかし、牧草の放射能は、土の15倍、15544ベクレルにも及んでいます。この村では、放射能が土よりも牧草に大量に蓄積されていました。その結果、この村に降り注いだ放射能は、土から牧草へ、そして牧草から牛へ、さらにその牛が出す牛乳から人間へと、次々と濃縮されていったのです。ゼルジンスク村の人々は、汚染の高い地域と同じレベルの被爆を、この十年間受け続けていたのです。
 調査の結果、この村と同じ性質の土は、ホレーシア地方全体に広がり、およそ一万平方キロ、チェルノブイリ原発事故によるすべての汚染地域の一割近くに達することがわかりました。ベラルーシ国立土壌研究所のグループは、人体への影響という視点から見た時、放射能汚染地図が大きく書きかえられることになると警告しています。
 チェルノブイリ原発事故から十年。新しい放射能汚染の姿が見えはじめています。放射能が人体に何を引き起こすのか。その実態の解明は、まだ始まったばかりです。 <終>

投稿者 Peace Philosopher 時刻: 11:30 PM
『Peace Philosophy Centre』(Monday, April 25, 2011)
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_25.html

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