『Peace Philosophy Centre』(Monday, April 25, 2011)
大原発事故から25年:『チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染』(NHK・1996年放映)が伝える大事なこと
4月26日はチェルノブイリ原発事故25周年です。亡くなった方たち、今も被害に苦しむ人たちに想いを馳せています。
福島事故が「レベル7」と発表された後、4月13日に仲間たちにこう書きました。
もうレベル7となった以上、危機意識を喚起する必要はないと願いたい。しかし今度は、福島がチェルノブイリと比べいかに軽度かと強調し、そしてチェルノブイリの被害自体の過小評価の傾向がエスカレートしているようだ。(略)
上で触れているチェルノブイリ後10年、20年の節目で制作されているNHKの2つの番組は YouTube 等で出回っており、もちろん著作権侵害で削除されるのは仕方ないことですが、非常に重要な番組なので、内容を書き起こして記録することにしました。まずは10年目、1996年放映の『チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染(1996)』。書き起こしをしていただいた原京子さんに深く感謝します。関心のある方は、NHKからDVDが販売されているか、「オンデマンド」で視聴ができるかなど調べられてはいかがかと思います。
▼ チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染
(映像:チェルノブイリ原発4号炉)
十年前の今日、チェルノブイリ原発4号炉の爆発事故によって人類史上最悪の放射能汚染が引き起こされました。30万人以上の人々が家を失い、今も700万人以上の人々が汚染された大地に暮らしています。事故直後、コンクリートによって封じ込められた4号炉は、いまだに強い放射線を出し続けています。
放射能は、人々から大地と家を奪い続けています。おびただしい量の「死の灰」は、広大な地域に降り積もり、人が住むことのできない汚染台地を作り出しました。
事故がもたらした人体への影響は、十年という歳月を経て、風化するどころか、逆に深刻さを増しています。長い潜伏期間を経て、癌や白血病などが急激に増加しています。そして、放射能の影響は脳にまで及んでいることがわかってきました。被爆者の身体の中で何が起きているのか、世界中の科学者たちが詳しい調査や分析を続けてきました。その結果、新しい事実が次々と明らかになってきました。チェルノブイリ原発事故による放射能人体汚染は、十年という時を経て私たちの前に想像を遥かに越える姿を見せはじめたのです。
<タイトル 終わりなき人体汚染
~チェルノブイリ事故から10年~>
十年前、チェルノブイリ原発事故で被曝し避難してきた人々の間に、また悲劇が起きました。ひとりの幼い命が失われたのです。少女は、事故当時3歳でした。4ヶ月前、背中に小さなこぶができ、手術を受けましたがその後再発。みるみる病状は悪化し、癌で亡くなりました。5千人余の避難民が暮らすこの地区で、毎週のように人々が亡くなっています。少女の死は、チェルノブイリ事故の呪縛から今も逃れられない現実を、改めて見せつけたのです。
1986年4月26日未明、チェルノブイリ原子力発電所4号炉が突然、爆発・炎上しました。広島型原爆5百個分以上の放射性物質が放出され、原発周辺は強烈な放射能に包み込まれました。放射能が最初に襲った街は、原発からわずか3キロのプリピャチでした。しかし、事故が起きたことは市民には伝えられず、人々はいつもと変わらぬ朝を迎えていました。
事故当日のプリピャチの映像です。画面の一部が時々白く光るのは、強烈な放射線でフィルムが感光しているためです。
チェルノブイリから放出されたセシウム137などの放射性物質は、上空1500メートルにまで舞い上がり、ヨーロッパをはじめ、世界中に広がりました。原発から半径600キロの範囲の汚染は深刻で、その面積は12万平方キロ、日本の国土の3分の1近くにも達します。黄色から濃い赤になるほど、汚染のレベルが高いことを示します。(映像:汚染地域の地図)
一番濃い赤の地域は、東京のレベルの40倍以上にも達しています。最も汚染の少ない黄色の地域でも、日本の基準では立ち入り禁止区域に相当します。WHO・世界保健機関の調査によると、いまだに780万人もの人々がこの汚染地域で生活し、放射線を浴び続けています。広島や長崎では、人々は一瞬のうちに大量に被爆しました。しかし、チェルノブイリでは、住民が長期間にわたって少しづつ放射線を浴び続けているのです。
住民は、放射能が降り積もった大地から、直接放射線を浴びています。さらに、汚染された空気や水、そして食べ物が体内に入ることによって、身体の中からも被爆しています。住民はこの*十年間、二つの被爆を同時に受け続けてきたのです。
(映像:IAEAチェルノブイリ調査報告書(1991年))
チェルノブイリの放射能による人体への影響は、どのように考えられてきたのか。これは、事故から5年後、IAEA・国際原子力機関がまとめた報告書です。当時の住民の健康状態を調査した結果、「放射能が直接に影響したと考えられる健康被害は認められない」と結論づけています。そして、今後起こりうる住民の健康被害については、「将来、癌または遺伝的影響による増加があったとしても、それは自然の増加と見分けることが困難であろう」と予測しています。
(映像:ウクライナ共和国 キエフ市)
しかし、IAEAの予測に反して、その後深刻な事態が次々と起き始めました。
異変は、まず子供たちに起きました。この少女は、小児甲状腺癌の治療を受けています。本来、百万人に一人か二人しかかからないという小児甲状腺がんが、子供たちを中心に急激に増加しはじめたのです。
甲状腺は、身体や脳の発達に不可欠な甲状腺ホルモンを作る重要な器官です。チェルノブイリ事故により放出された放射性物質のひとつ、“ヨウ素131”は、体内に入ると甲状腺に蓄積しやすく、癌を引き起こします。その結果、甲状腺ホルモンの分泌異常が起き、成長期の子供の身体や脳の発達が遅れてしまう恐れがあります。
この少女は、事故当時4歳でした。チェルノブイリ型の甲状腺癌は、通常のタイプに比べて進行が早く、転移しやすい特徴があります。このため、発見され次第直ちに手術しなければなりません。この少女の甲状腺にも癌の黒い影が発見されました。
(キエフ内分泌代謝研究所;ミコラ・トロンコ所長)
「最初に子供たちに甲状腺癌が増え始めた時は、私も正直言って放射能の影響と言えるかどうか半信半疑でした。しかしその後、汚染の高い地域ほど患者が多く、しかも癌のタイプが通常のものと違うことから、放射能の影響に間違いないと確信しました。これから更に患者は増えていくと予想しています。」
(グラフ:ウクライナ・ベラルーシ・ロシア西部の小児甲状腺がん発生率)
*WHO・世界保健機関の調査によると、小児甲状腺がんは事故から4年後の1990年から急激に増え続けています。
(映像:キエフ小児産婦人科研究所)
最近、汚染地域に住む妊婦たちの身体に、様々な異変が起きていることがわかってきました。キエフ小児産婦人科研究所では、事故直後から汚染地域に住む妊婦2万人以上について、出産に関する詳しい調査を続けてきました。その結果、汚染地域の妊婦の貧血が事故前に比べて10倍に増えたほか、死産や早産が多く発生していることがわかりました。出産異常の原因をさらに詳しく分析してみると、子宮内の出血や早すぎる破水などが増える傾向にあり、主に母体の異常が死産や早産を引き起こしていることがわかりました。
妊娠5ヶ月のこの女性は、事故当時11歳でした。これまでに一度、死産を経験しているため、不安を感じてこの研究所に検査を受けにやってきたのです。
(医師)
「胎盤が厚くなりすぎています。胎児に酸素不足の兆候がありますね。」
胎盤は、胎児に酸素や栄養を供給する重要な役割を果たしています。胎盤は、通常この時期であれば2センチほどの厚みですが、この妊婦の場合5センチ以上に肥大しています。これは、子宮内の酸素が不足していることを示し、このままでは胎児の成長に深刻な影響が出る恐れがあります。画面右側が胎児の頭です(映像:胎児の超音波写真)。この胎児の頭の直径は4センチほどしかなく、通常の胎児に比べて成長が遅れていることがわかりました。この研究所では、「こうした妊娠中の異常は汚染地域の妊婦によく見られる」と指摘しています。
(キエフ小児産婦人科研究所:ダシケビッチ産婦人科部長)
「深刻な状況です。かつてのIAEAの予測と大きく食い違ってきています。私は、その原因は長期間の被爆のためだと思います。今後、長期的な被爆の影響を注意深く調査していかなければいけないと思います。また、妊婦や新生児に染色体の異常も見られるので、今後世代を越えた遺伝的影響が出てくるかもしれません。」
汚染地域では、事故後人工中絶の数が急増しています。放射能による被爆が、胎児に悪い影響を与えるのではないかという不安もあるからです。
ミンスク遺伝性疾患研究所。ここでは、チェルノブイリ原発事故によって被爆した妊婦の染色体にどのような変化が起きているのかを調べています。放射能の汚染地域に住む妊婦、2千人以上の血液細胞の染色体を詳しく分析してきました。その結果、被爆量が高い妊婦ほど、染色体の異常の程度が大きいことがわかりました。染色体には、親から子供へ生命の情報を伝える遺伝子がのっています。
右の染色体の上の部分にわずかな異常が見られます(映像:染色体の写真)。もし、この部分の遺伝子の異常が子供に受け継がれると、先天性の障害につながる可能性があると、この研究所の専門家はみています。
(ミンスク遺伝性疾患研究所:ゲナジー・ラジュック所長)
「我々の調査では、妊婦の染色体の異変ばかりでなく、新生児の先天性異常も汚染の高い地域ほど増えていることがわかりました。その原因としては、ストレスや栄養障害や化学物質による汚染など、様々な複合的要因が考えられます。しかし、それらの中でもひとつの大きな要因として放射能の影響を考えなければならないと思います。」
この研究所の調査によると、放射能の高濃度汚染地域では、先天性の異常をもった新生児の数が事故前の1.8倍に増加しています。しかし、汚染地域の妊婦の染色体異常と新生児たちの先天性異常の増加に因果関係があるかどうかは、まだわかっていません。ラジュック所長は、今後さらに詳しい調査と遺伝子レベルでの研究を進めていかなければならないと考えています。
放射能は、人類にとって未知の部分の多い存在です。チェルノブイリ原発事故によって放出された放射能が人体にどのような影響を与えているのか、その全容はまだ解明されていません。
投稿者 Peace Philosopher 時刻: 11:30 PM
『Peace Philosophy Centre』(Monday, April 25, 2011)
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_25.html
≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫
大原発事故から25年:『チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染』(NHK・1996年放映)が伝える大事なこと
4月26日はチェルノブイリ原発事故25周年です。亡くなった方たち、今も被害に苦しむ人たちに想いを馳せています。
福島事故が「レベル7」と発表された後、4月13日に仲間たちにこう書きました。
もうレベル7となった以上、危機意識を喚起する必要はないと願いたい。しかし今度は、福島がチェルノブイリと比べいかに軽度かと強調し、そしてチェルノブイリの被害自体の過小評価の傾向がエスカレートしているようだ。(略)
上で触れているチェルノブイリ後10年、20年の節目で制作されているNHKの2つの番組は YouTube 等で出回っており、もちろん著作権侵害で削除されるのは仕方ないことですが、非常に重要な番組なので、内容を書き起こして記録することにしました。まずは10年目、1996年放映の『チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染(1996)』。書き起こしをしていただいた原京子さんに深く感謝します。関心のある方は、NHKからDVDが販売されているか、「オンデマンド」で視聴ができるかなど調べられてはいかがかと思います。
▼ チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染
(映像:チェルノブイリ原発4号炉)
十年前の今日、チェルノブイリ原発4号炉の爆発事故によって人類史上最悪の放射能汚染が引き起こされました。30万人以上の人々が家を失い、今も700万人以上の人々が汚染された大地に暮らしています。事故直後、コンクリートによって封じ込められた4号炉は、いまだに強い放射線を出し続けています。
放射能は、人々から大地と家を奪い続けています。おびただしい量の「死の灰」は、広大な地域に降り積もり、人が住むことのできない汚染台地を作り出しました。
事故がもたらした人体への影響は、十年という歳月を経て、風化するどころか、逆に深刻さを増しています。長い潜伏期間を経て、癌や白血病などが急激に増加しています。そして、放射能の影響は脳にまで及んでいることがわかってきました。被爆者の身体の中で何が起きているのか、世界中の科学者たちが詳しい調査や分析を続けてきました。その結果、新しい事実が次々と明らかになってきました。チェルノブイリ原発事故による放射能人体汚染は、十年という時を経て私たちの前に想像を遥かに越える姿を見せはじめたのです。
<タイトル 終わりなき人体汚染
~チェルノブイリ事故から10年~>
十年前、チェルノブイリ原発事故で被曝し避難してきた人々の間に、また悲劇が起きました。ひとりの幼い命が失われたのです。少女は、事故当時3歳でした。4ヶ月前、背中に小さなこぶができ、手術を受けましたがその後再発。みるみる病状は悪化し、癌で亡くなりました。5千人余の避難民が暮らすこの地区で、毎週のように人々が亡くなっています。少女の死は、チェルノブイリ事故の呪縛から今も逃れられない現実を、改めて見せつけたのです。
1986年4月26日未明、チェルノブイリ原子力発電所4号炉が突然、爆発・炎上しました。広島型原爆5百個分以上の放射性物質が放出され、原発周辺は強烈な放射能に包み込まれました。放射能が最初に襲った街は、原発からわずか3キロのプリピャチでした。しかし、事故が起きたことは市民には伝えられず、人々はいつもと変わらぬ朝を迎えていました。
事故当日のプリピャチの映像です。画面の一部が時々白く光るのは、強烈な放射線でフィルムが感光しているためです。
チェルノブイリから放出されたセシウム137などの放射性物質は、上空1500メートルにまで舞い上がり、ヨーロッパをはじめ、世界中に広がりました。原発から半径600キロの範囲の汚染は深刻で、その面積は12万平方キロ、日本の国土の3分の1近くにも達します。黄色から濃い赤になるほど、汚染のレベルが高いことを示します。(映像:汚染地域の地図)
一番濃い赤の地域は、東京のレベルの40倍以上にも達しています。最も汚染の少ない黄色の地域でも、日本の基準では立ち入り禁止区域に相当します。WHO・世界保健機関の調査によると、いまだに780万人もの人々がこの汚染地域で生活し、放射線を浴び続けています。広島や長崎では、人々は一瞬のうちに大量に被爆しました。しかし、チェルノブイリでは、住民が長期間にわたって少しづつ放射線を浴び続けているのです。
住民は、放射能が降り積もった大地から、直接放射線を浴びています。さらに、汚染された空気や水、そして食べ物が体内に入ることによって、身体の中からも被爆しています。住民はこの*十年間、二つの被爆を同時に受け続けてきたのです。
(映像:IAEAチェルノブイリ調査報告書(1991年))
チェルノブイリの放射能による人体への影響は、どのように考えられてきたのか。これは、事故から5年後、IAEA・国際原子力機関がまとめた報告書です。当時の住民の健康状態を調査した結果、「放射能が直接に影響したと考えられる健康被害は認められない」と結論づけています。そして、今後起こりうる住民の健康被害については、「将来、癌または遺伝的影響による増加があったとしても、それは自然の増加と見分けることが困難であろう」と予測しています。
(映像:ウクライナ共和国 キエフ市)
しかし、IAEAの予測に反して、その後深刻な事態が次々と起き始めました。
異変は、まず子供たちに起きました。この少女は、小児甲状腺癌の治療を受けています。本来、百万人に一人か二人しかかからないという小児甲状腺がんが、子供たちを中心に急激に増加しはじめたのです。
甲状腺は、身体や脳の発達に不可欠な甲状腺ホルモンを作る重要な器官です。チェルノブイリ事故により放出された放射性物質のひとつ、“ヨウ素131”は、体内に入ると甲状腺に蓄積しやすく、癌を引き起こします。その結果、甲状腺ホルモンの分泌異常が起き、成長期の子供の身体や脳の発達が遅れてしまう恐れがあります。
この少女は、事故当時4歳でした。チェルノブイリ型の甲状腺癌は、通常のタイプに比べて進行が早く、転移しやすい特徴があります。このため、発見され次第直ちに手術しなければなりません。この少女の甲状腺にも癌の黒い影が発見されました。
(キエフ内分泌代謝研究所;ミコラ・トロンコ所長)
「最初に子供たちに甲状腺癌が増え始めた時は、私も正直言って放射能の影響と言えるかどうか半信半疑でした。しかしその後、汚染の高い地域ほど患者が多く、しかも癌のタイプが通常のものと違うことから、放射能の影響に間違いないと確信しました。これから更に患者は増えていくと予想しています。」
(グラフ:ウクライナ・ベラルーシ・ロシア西部の小児甲状腺がん発生率)
*WHO・世界保健機関の調査によると、小児甲状腺がんは事故から4年後の1990年から急激に増え続けています。
(映像:キエフ小児産婦人科研究所)
最近、汚染地域に住む妊婦たちの身体に、様々な異変が起きていることがわかってきました。キエフ小児産婦人科研究所では、事故直後から汚染地域に住む妊婦2万人以上について、出産に関する詳しい調査を続けてきました。その結果、汚染地域の妊婦の貧血が事故前に比べて10倍に増えたほか、死産や早産が多く発生していることがわかりました。出産異常の原因をさらに詳しく分析してみると、子宮内の出血や早すぎる破水などが増える傾向にあり、主に母体の異常が死産や早産を引き起こしていることがわかりました。
妊娠5ヶ月のこの女性は、事故当時11歳でした。これまでに一度、死産を経験しているため、不安を感じてこの研究所に検査を受けにやってきたのです。
(医師)
「胎盤が厚くなりすぎています。胎児に酸素不足の兆候がありますね。」
胎盤は、胎児に酸素や栄養を供給する重要な役割を果たしています。胎盤は、通常この時期であれば2センチほどの厚みですが、この妊婦の場合5センチ以上に肥大しています。これは、子宮内の酸素が不足していることを示し、このままでは胎児の成長に深刻な影響が出る恐れがあります。画面右側が胎児の頭です(映像:胎児の超音波写真)。この胎児の頭の直径は4センチほどしかなく、通常の胎児に比べて成長が遅れていることがわかりました。この研究所では、「こうした妊娠中の異常は汚染地域の妊婦によく見られる」と指摘しています。
(キエフ小児産婦人科研究所:ダシケビッチ産婦人科部長)
「深刻な状況です。かつてのIAEAの予測と大きく食い違ってきています。私は、その原因は長期間の被爆のためだと思います。今後、長期的な被爆の影響を注意深く調査していかなければいけないと思います。また、妊婦や新生児に染色体の異常も見られるので、今後世代を越えた遺伝的影響が出てくるかもしれません。」
汚染地域では、事故後人工中絶の数が急増しています。放射能による被爆が、胎児に悪い影響を与えるのではないかという不安もあるからです。
ミンスク遺伝性疾患研究所。ここでは、チェルノブイリ原発事故によって被爆した妊婦の染色体にどのような変化が起きているのかを調べています。放射能の汚染地域に住む妊婦、2千人以上の血液細胞の染色体を詳しく分析してきました。その結果、被爆量が高い妊婦ほど、染色体の異常の程度が大きいことがわかりました。染色体には、親から子供へ生命の情報を伝える遺伝子がのっています。
右の染色体の上の部分にわずかな異常が見られます(映像:染色体の写真)。もし、この部分の遺伝子の異常が子供に受け継がれると、先天性の障害につながる可能性があると、この研究所の専門家はみています。
(ミンスク遺伝性疾患研究所:ゲナジー・ラジュック所長)
「我々の調査では、妊婦の染色体の異変ばかりでなく、新生児の先天性異常も汚染の高い地域ほど増えていることがわかりました。その原因としては、ストレスや栄養障害や化学物質による汚染など、様々な複合的要因が考えられます。しかし、それらの中でもひとつの大きな要因として放射能の影響を考えなければならないと思います。」
この研究所の調査によると、放射能の高濃度汚染地域では、先天性の異常をもった新生児の数が事故前の1.8倍に増加しています。しかし、汚染地域の妊婦の染色体異常と新生児たちの先天性異常の増加に因果関係があるかどうかは、まだわかっていません。ラジュック所長は、今後さらに詳しい調査と遺伝子レベルでの研究を進めていかなければならないと考えています。
放射能は、人類にとって未知の部分の多い存在です。チェルノブイリ原発事故によって放出された放射能が人体にどのような影響を与えているのか、その全容はまだ解明されていません。
投稿者 Peace Philosopher 時刻: 11:30 PM
『Peace Philosophy Centre』(Monday, April 25, 2011)
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_25.html
≪パワー・トゥ・ザ・ピープル!!
今、教育が民主主義が危ない!!
東京都の「藤田先生を応援する会有志」による、民主主義を守るためのHP≫