アメリカでも新たな原発計画の先行きが不透明になっている。
これ以上の投資は、株主の同意を得られない。
福島第一原発事故の後、米の電力会社原発建設取りやめは初。
米NRGエナジー、東芝参加の原発増設計画を断念
ロイター 4月20日(水)11時34分配信
4月19日、米NRGエナジーは、テキサス州での原発2基の増設計画を断念し、このプロジェクトに対する投資を損金処理する方針を示した。写真は昨年4月、同社のクレインCEO。カリフォルニア州で撮影(2011年 ロイター/Mario Anzuoni)
[ヒューストン 19日 ロイター]
米電力大手NRGエナジー<NRG.N>は19日、テキサス州での原子力発電所2基の増設計画を断念し、このプロジェクトに対する投資を損金処理する方針を示した。福島原発の事故を受け、米国で原発の安全基準をめぐる不透明感が高まったためとしている。
【写真】福島原発の惨状
同社は、東芝<6502.T>の米国法人東芝アメリカ原子力エナジー(TANE)との合弁事業であるニュークリア・イノベーション・ノース・アメリカ(NINA)に関連し、約4億8100万ドルを第1・四半期決算で税引き前費用として計上する。
NRGエナジーは東日本大震災直後にこのプロジェクトへの投資を停止し、従業員を減らしていた。
東芝は、米原子力規制委員会(NRC)が行う90日間の検証作業期間中は、引き続きこのプロジェクトの原発建設許可を求める方針。
NRGエナジーのクレイン最高経営責任者(CEO)は、プロジェクト拡張の将来的な復活について、不可能ではないが、可能性は小さいとの見方を示した。
≪下記、21日の毎日新聞【ニューヨーク共同】記事を追加します。≫
米国:米大手、原発増設投資断念 合弁の東芝に打撃--テキサス州
【ニューヨーク共同】
米電力大手NRGエナジーは19日、東芝と合弁で建設計画を進めてきたテキサス州の原子力発電所増設について、投資を打ち切ると発表した。福島第1原発事故により「米国での原発建設が不透明となり、建設が予定通り進む可能性が著しく減った」と説明した。原発事故が、米国でも直接的な影響を及ぼし始めた。
これを受け東芝は20日、「事業は続ける方向」と表明したが、事業主体の撤退は大きな打撃で、計画の存続が危ぶまれる。政府が成長戦略の柱とする原発輸出の後退は避けられない。
NRGはサウス・テキサス・プロジェクト原発の3、4号機への投資について、1~3月期に約4億8100万ドル(約400億円)の損失を計上する。
東芝はNRGが2008年に設立した会社に120億円程度を出資。東芝は出力が各135万キロワットの改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を受注していた。事業規模は約1兆円。目玉プロジェクトとして16年以降の運転開始に期待が高まっていた。
東芝の出資比率は9%程度で、今後「新たな出資先を探す」と説明するが、パートナーの確保は難航必至だ。
東芝と連携し、合弁会社への出資を計画していた東京電力は原発事故への対応で余力がなく「参画は困難だ」とコメント。原発運転のノウハウを持つ電力会社の参加が見込めない状態だ。仮に増設計画が中止になれば、東芝の業績への悪影響も懸念される。
毎日新聞 2011年4月21日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110421ddm003040082000c.html