つれづれに千葉:バラ園の裏側で /千葉
毎日新聞
開いた口がふさがらない。東日本大震災のさなか、習志野市が幹部退職者6人を「市谷津バラ園」で再雇用した。園の業務を長年任されてきた市シルバー人材センターはそのあおりで仕事を減らされ、高齢者の給料は4割以上カット。退職者は週3日働いて月15万円以上もらう。高齢者の従来の給料の3倍という。納税者の見えないところで市はこんなことをしている。
再雇用は、定年退職した職員の生活を65歳の共済年金支給開始まで保障するために地方公務員法で認められている。だが、お年寄りが心細い年金の足しとする貴重な仕事を奪ってよいのか。「一生懸命に働いてきた高齢者を追い出して定年退職者の再就職の受け皿をつくり、血税で高い給料を払う、こんなことが許されるのか」。支局に寄せられた関係者の怒りの声に、市は耳を傾けるべきだ。
どの自治体も税収減で人件費圧縮は喫緊の課題だ。習志野市はこの15年間に退職者の不補充で400人を減らし、業務委託や臨時職員採用で約30億円を削減した。ところが、そこへ団塊世代の大量退職が重なり、今年の再雇用希望者は99人と2年前から倍増。委託業務や臨時職員の仕事を退職者が占めていく構図が、今回の問題の背景にある。
公務員の給料は「民間準拠」と言いつつ、平均約600万円と民間より約200万円高い。民間では55歳で賃金の大幅ダウンは当たり前だが、公務員は定年まで右肩上がり。賃金体系に切り込む決断も必要だ。
統一選第2ラウンドは24日に投開票される。習志野市長選には新人5人が立候補し、それぞれ約800億円の借金を抱える財政再建策として人件費削減などの公約を掲げる。地方選挙は地縁血縁に大きく左右されるが、自治体運営が曲がり角に来ている今、まちの将来像をどう見据えているのか、各候補の公約をじっくり吟味して1票を投じる必要がある。【船橋支局長・橋本利昭】
毎日新聞 2011年4月20日 地方版
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20110420ddlk12070127000c.html
毎日新聞
開いた口がふさがらない。東日本大震災のさなか、習志野市が幹部退職者6人を「市谷津バラ園」で再雇用した。園の業務を長年任されてきた市シルバー人材センターはそのあおりで仕事を減らされ、高齢者の給料は4割以上カット。退職者は週3日働いて月15万円以上もらう。高齢者の従来の給料の3倍という。納税者の見えないところで市はこんなことをしている。
再雇用は、定年退職した職員の生活を65歳の共済年金支給開始まで保障するために地方公務員法で認められている。だが、お年寄りが心細い年金の足しとする貴重な仕事を奪ってよいのか。「一生懸命に働いてきた高齢者を追い出して定年退職者の再就職の受け皿をつくり、血税で高い給料を払う、こんなことが許されるのか」。支局に寄せられた関係者の怒りの声に、市は耳を傾けるべきだ。
どの自治体も税収減で人件費圧縮は喫緊の課題だ。習志野市はこの15年間に退職者の不補充で400人を減らし、業務委託や臨時職員採用で約30億円を削減した。ところが、そこへ団塊世代の大量退職が重なり、今年の再雇用希望者は99人と2年前から倍増。委託業務や臨時職員の仕事を退職者が占めていく構図が、今回の問題の背景にある。
公務員の給料は「民間準拠」と言いつつ、平均約600万円と民間より約200万円高い。民間では55歳で賃金の大幅ダウンは当たり前だが、公務員は定年まで右肩上がり。賃金体系に切り込む決断も必要だ。
統一選第2ラウンドは24日に投開票される。習志野市長選には新人5人が立候補し、それぞれ約800億円の借金を抱える財政再建策として人件費削減などの公約を掲げる。地方選挙は地縁血縁に大きく左右されるが、自治体運営が曲がり角に来ている今、まちの将来像をどう見据えているのか、各候補の公約をじっくり吟味して1票を投じる必要がある。【船橋支局長・橋本利昭】
毎日新聞 2011年4月20日 地方版
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20110420ddlk12070127000c.html