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 音楽家も委託形式も「労働者」 最高裁、団体交渉権認める

 新国立劇場で合唱団員の契約更新を拒否された日本音楽家ユニオンの八重樫節子さんが、団体交渉などを求めた訴訟と、INAXメンテナンスで働く全日本建設交運一般労組の組合員が会社側に団体交渉を求めた訴訟の上告審判決が12日、最高裁判所第3小法廷で出されました。

 新国立劇場合唱団員訴訟で、那須弘平裁判長は、東京高裁判決を破棄し、八重樫さんを労働組合法上の「労働者」と認定しました。そのうえで採用拒否、団体交渉拒否で議論が尽くされていないとして、東京高裁に差し戻すよう求めました。

 2009年3月に出された東京高裁判決は、中央労働委員会が出した新国立劇場に団体交渉の応諾を求める救済命令を取り消し、不利益取り扱いに関する救済申し立てを棄却していました。


 INAXメンテナンス訴訟で、那須弘平裁判長は、東京高裁判決を破棄し、控訴を棄却。東京地裁判決の結論が確定しました。「カスタマーエンジニア」(CE)と呼ばれる委託契約の労働者を「労働者」と認定するとともに、団体交渉拒否は不当労働行為にあたるとしました。

 判決では、労働者としての認定について、賃金が支払われているかどうかなど、就労実態から判断されるとしました。

 INAXメンテナンス事件では、大阪と中央の労働委員会は、CEを労働組合法上の労働者として認定し、団体交渉に応じるよう救済命令を出しました。会社側が提訴した東京地裁の判決では、労働者と認め、団体交渉に応じるよう求めたものの、東京高裁では、「法的な使用従属関係にない」として、労働者性を認めませんでした。

 しんぶん赤旗
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-13/2011041305_01_1.html


 最高裁は、個人事業者として働く歌手や技術者を、「労働者に当たり、団体交渉権がある」と認めたもので、オペラ歌手は、新国立劇場運営財団と契約する八重樫節子さん。

 八重樫さんは、ウイーン国立歌劇場で研修を受けたり、二期会合唱団ソプラノ・パートリーダーをつとめるなどしてきました。
 新国立劇場での契約期間は1年更新で、年間約40回のオペラ公演に出演してきましたが、年収は300万円程度。

 八重樫さんは03年に契約を打ち切られます。労働組合、「音楽家ユニオン」に所属していました。財団は、八重樫さんは労働者ではないとして団体交渉を拒否してきました。


 最高裁は判決で、

▽不可欠な労働力として組織に組み込まれていた

▽仕事の諾否の自由が実質的になかった

▽契約内容が一方的に決められていた

▽仕事の場所や時間が拘束されていた

―などとして、「労組法の労働者に当たる」と判断しました(「日経」13日付)。