外国語の重要な発表が、日本で伝えられ、対応される際にどのような操作が生じるかの一例を挙げておこう。これが意図的なものだったら、マスコミも政府も許されないし、意図的でないとしたらあまりに拙劣であろう。
放射性物質 飯舘村、避難基準超す 日本にIAEA勧告
毎日新聞 3月31日(木)11時21分配信
放射性物質 飯舘村、避難基準超す 日本にIAEA勧告
【ウィーン樋口直樹】東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、同原発から約40キロ離れた福島県飯舘村で測定された放射線レベルが、国際原子力機関(IAEA)の避難基準を超えていたことが30日、分かった。IAEAはウィーンでの記者会見で、同原発から20キロ以内を避難指示圏に設定している日本政府に対し、状況を「注意深く」評価するよう勧告したことも明らかにした。
IAEAのフローリー事務次長は会見で、飯舘村での放射線レベルの測定値が「IAEAの作業上の避難基準のひとつを上回った」と述べた。その上で「我々は(日本政府に)状況を注意深く評価するよう勧告し、日本は既に評価中であることを示唆している」とも述べた。日本に対し事実上、地元住民への避難指示圏の見直しを促したものとみられる。
IAEAのこうした見解は、福島第1原発からどこまでの範囲の住民に避難指示を出すべきかを巡り、新たな議論を呼びそうだ。
IAEAによると、今月18~26日に同原発から25~58キロ圏で土壌のヨウ素131とセシウム137の量を調べた。その結果、飯舘村は土壌1平方メートル当たり約200万ベクレルだった。IAEAの避難基準の約2倍に相当するという。ヨウ素131かセシウム137かは明確にしていない。同村の測定値は1カ所のみで測られた散発的なデータで、あくまで初期的な評価だという。
飯舘村は、避難指示圏の外側に設けられた屋内退避指示圏(福島第1原発から20~30キロ)のさらに外側にある。福島第1原発から遠く離れた場所で放射線レベルが突出していることについて、日本の文部科学省は「地形や風向きの影響と考えられる」としていた。
一方、天野之弥事務局長は30日の会見で、原発の安全対策などに関する初めての高官級会議を6月20~24日にウィーンで開催すると発表した。IAEA加盟国の首相や外相などに招待状を送るという。
このように報じられた内容は、原文ではこうなっている。
IAEAのホームページに記されている原文の該当部分
Based on measurements of I-131 and Cs-137 in soil, sampled from 18 to 26 March in 9 municipalities at distances of 25 to 58 km from the Fukushima Nuclear Power Plant, the total deposition of iodine-131 and cesium-137 has been calculated. The results indicate a pronounced spatial variability of the total deposition of iodine-131 and cesium-137. The average total deposition determined at these locations for iodine-131 range from 0.2 to 25 Megabecquerel per square metre and for cesium-137 from 0.02-3.7 Megabecquerel per square metre. The highest values were found in a relatively small area in the Northwest from the Fukushima Nuclear Power Plant. First assessment indicates that one of the IAEA operational criteria for evacuation is exceeded in Iitate village. We advised the counterpart to carefully access the situation. They indicated that they are already assessing.
「We advised the counterpart to carefully access the situation.」とある。新聞記事の「注意深く評価するよう」は誤訳(すぐ後のassessと混同したのでは?)であり、「事態に注意深くアプローチする(手段を講じる、対処する)ように」すなわち「避難指示を考えておくように」という内容の勧告をしたと理解すべきだろう。しかしそれに対して政府は…、
<放射性物質>「さらに精緻な計測をしたい」 枝野官房長官
毎日新聞 3月31日(木)11時48分配信
枝野幸男官房長官は31日午前の会見で、国際原子力機関(IAEA)が福島県飯舘村での土壌調査で測定された放射線量について「避難基準の一つを上回った」としたことについて「IAEAのモニタリングを踏まえながら、さらに精緻なモニタリングを行い、こうした状況が長期間継続する可能性をしっかり把握して対処したい」と述べ、数値を慎重に評価する考えを示した。
そのうえで枝野氏は「人体に影響を及ぼす可能性が長期間になりそうなら、退避等を検討せねばならない。その必要が生じた時にタイミングが遅れないよう万全を期したい」と述べ、放射線量が基準を長期間上回り続けた場合は、避難指示などを検討する考えを示した。
また、経済産業省原子力安全・保安院は「IAEAは『今回の結果は一つの指標に過ぎず、サンプルが少ないため、さらなる調査が必要』としており、政府としてもこの結果をしっかり受け止めている。飯館村には100人以上がまだ残っている。避難区域を広げるかどうかはまだ分からないが、住民には何らかの情報を提供したい」としている。
誤魔化されてはいけない。IAEAはぬかりなく事態に備え、住民を避難させるべく対処せよ、と言っているのだ。呑気に構えている場合ではない。 しかしその後政府は…。やはりだめか。
長期なら健康被害も=飯舘村の放射性物質―枝野長官
時事通信 3月31日(木)12時12分配信
枝野幸男官房長官は31日午前の記者会見で、国際原子力機関(IAEA)が福島県飯舘村内の土壌から高濃度の放射性物質が検出されたとして、状況を慎重に見定めるよう日本政府に求めたことについて、「直ちにそうしたもの(状況)ではない」との認識を示した。その一方で「長期間そうした土壌の地域にいると、その蓄積で健康被害の可能性が生じる性質のものなので、しっかり把握し対処していかなければならない」と述べ、周辺地域での放射線量調査を強化していく考えを示した。
同村の大半は、福島第1原発から30キロ以上離れており、半径20キロ圏内の避難区域には含まれていない。枝野長官は「(土壌汚染が)人体に影響を及ぼす可能性のある長期間になれば、退避などを検討しなければならない。その必要が生じた時にタイミングが遅れないように万全を期したい」と強調した。 ..
≪Prof. Shima's Life and Opinion Shima教授の生活と意見。≫
http://blog.livedoor.jp/insectshima/archives/52271979.html#more